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時間の流れ
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全国のダンジョンで同時多発した魔獣の地上への侵攻【スタンピード】から、半年が経過した。沖縄にあるダンジョンは討伐に成功し領地を取り戻したものの被害が大きく復興には時間がかかっている状況だ。
今回の事件を受けダンジョンの危険性が見直される事となり、探索者たちの仕事が激増した。1~2階層クラスの下級探索者、3~4階層クラスの中級探索者、5~6階層クラスの上級探索者、そして7階層以降攻略組のトップランカーに分別され、有事の際に対応出来るよう、自身の活動地域を出る場合は申請が必要となった。
那覇ダンジョンのギルドに一人のフードを被った女性が姿を現す。その姿を見て、周囲の探索者はざわつき始めた。
「おい、あの人って…」
「ああ、沖縄市のスタンピードを解決したっていうあの——」
「あの人、探索者になってまだ半年だってよ。それなのにもう5階層に到達するなんて…」
「しかもソロで攻略してるらしいの。憧れだよね~。」
その足は止まる事なく、受付へと向かった。
「嬢ちゃん、人気者になったなぁ~。あの頃が懐かしいぜ。もう立派な上級探索者様だもんよ。」
隆二がラフな感じで話しかけると、目の前に立っていた少女はフードを取る。その少女の名は金城茉央。かつて榊草介とパートナーを組んでいた少女だ。
「隆二さんまで揶揄わないで下さい。もう半年も経ってるんですよ。私だって成長します!」
「悪い悪い。そっか…あれからもう半年経ってんだよな。あいつ元気にしてっかな。」
何かを思い出すように上を見上げる。
「元気みたいですよ。この間もメール来ましたし。今、岡山にいるそうです。こういう情報は職員の隆二さんの方がよく知ってるんじゃないですか?」
「わざわざ調べるのも面倒だしなぁ。まあ、元気にやってんならいいや。それより、まさかお前を置いて行くとはあの時は思いもしなかったぜ。あいつ、今のお前見たら後悔すんじゃねえの。」
「仕方なかったんですよ。私には母もいるので、遠くへはいけません。草介さんも仕事で行ってる訳ですし…私は帰ってきた時に肩を並べて戦えるように頑張るだけです。」
昔のようなどこかびくびくした話し方はすっかりなくなり、今ははっきりと話せるようになっている。探索者として一人でやり続けることで得た自信がその原因だろう。
「あいつが聞いたら泣いて喜ぶんじゃねえの。でも階層だけで言ったらとっくに抜いてるだろ。あいつダンジョン潜ってねえし。」
「ハハ、そうですね。でもレベルで見たら敵いませんよ。救援部隊として未攻略のスタンピードに挑み続けるなんて…凄いですよね。」
スタンピードは全国各地で発生した。大半の都道府県は無事領土を取り返したが、逆に魔獣の侵攻に飲まれてしまった場所も幾つかある。そのような場所を魔獣から取り返すべく結成されたのが救援部隊だ。トップランカーを含む少数精鋭で構築されたこの部隊は今尚、全国各地を飛び回っていた。
————————————
岡山県倉敷ダンジョン付近
「アレが今回のターゲットですね。」
双眼鏡を持った少年が屋根の上から魔獣を観察している。
「特徴は人間の体に鳥の頭と羽、ガルーダです。氷華さんの全速力だと3分程度の距離。道は僕たちが開きます。」
「氷華先輩は前だけを見て下さい。私たちが氷華先輩には指一本触れさせないので。」
ブラウンのローブを着た栗色の髪の少女がメイスを取り出す。
「ありがと、頼りにしてる。」
作戦会議を終え、討伐に向かおうとしたその時、遠くからガルーダの叫び声が響く。
「伸晃《のぶあき》!!」
少年に声をかけると即座に理解し、双眼鏡で先程までガルーダがいた位置を見る。
「どうやら誰かと戦っている模様です。」
「ああもう!また連絡が噛み合ってないんだから…仕方ない、私たちも急ぐよ!」
「「はい!!」」
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今回の事件を受けダンジョンの危険性が見直される事となり、探索者たちの仕事が激増した。1~2階層クラスの下級探索者、3~4階層クラスの中級探索者、5~6階層クラスの上級探索者、そして7階層以降攻略組のトップランカーに分別され、有事の際に対応出来るよう、自身の活動地域を出る場合は申請が必要となった。
那覇ダンジョンのギルドに一人のフードを被った女性が姿を現す。その姿を見て、周囲の探索者はざわつき始めた。
「おい、あの人って…」
「ああ、沖縄市のスタンピードを解決したっていうあの——」
「あの人、探索者になってまだ半年だってよ。それなのにもう5階層に到達するなんて…」
「しかもソロで攻略してるらしいの。憧れだよね~。」
その足は止まる事なく、受付へと向かった。
「嬢ちゃん、人気者になったなぁ~。あの頃が懐かしいぜ。もう立派な上級探索者様だもんよ。」
隆二がラフな感じで話しかけると、目の前に立っていた少女はフードを取る。その少女の名は金城茉央。かつて榊草介とパートナーを組んでいた少女だ。
「隆二さんまで揶揄わないで下さい。もう半年も経ってるんですよ。私だって成長します!」
「悪い悪い。そっか…あれからもう半年経ってんだよな。あいつ元気にしてっかな。」
何かを思い出すように上を見上げる。
「元気みたいですよ。この間もメール来ましたし。今、岡山にいるそうです。こういう情報は職員の隆二さんの方がよく知ってるんじゃないですか?」
「わざわざ調べるのも面倒だしなぁ。まあ、元気にやってんならいいや。それより、まさかお前を置いて行くとはあの時は思いもしなかったぜ。あいつ、今のお前見たら後悔すんじゃねえの。」
「仕方なかったんですよ。私には母もいるので、遠くへはいけません。草介さんも仕事で行ってる訳ですし…私は帰ってきた時に肩を並べて戦えるように頑張るだけです。」
昔のようなどこかびくびくした話し方はすっかりなくなり、今ははっきりと話せるようになっている。探索者として一人でやり続けることで得た自信がその原因だろう。
「あいつが聞いたら泣いて喜ぶんじゃねえの。でも階層だけで言ったらとっくに抜いてるだろ。あいつダンジョン潜ってねえし。」
「ハハ、そうですね。でもレベルで見たら敵いませんよ。救援部隊として未攻略のスタンピードに挑み続けるなんて…凄いですよね。」
スタンピードは全国各地で発生した。大半の都道府県は無事領土を取り返したが、逆に魔獣の侵攻に飲まれてしまった場所も幾つかある。そのような場所を魔獣から取り返すべく結成されたのが救援部隊だ。トップランカーを含む少数精鋭で構築されたこの部隊は今尚、全国各地を飛び回っていた。
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岡山県倉敷ダンジョン付近
「アレが今回のターゲットですね。」
双眼鏡を持った少年が屋根の上から魔獣を観察している。
「特徴は人間の体に鳥の頭と羽、ガルーダです。氷華さんの全速力だと3分程度の距離。道は僕たちが開きます。」
「氷華先輩は前だけを見て下さい。私たちが氷華先輩には指一本触れさせないので。」
ブラウンのローブを着た栗色の髪の少女がメイスを取り出す。
「ありがと、頼りにしてる。」
作戦会議を終え、討伐に向かおうとしたその時、遠くからガルーダの叫び声が響く。
「伸晃《のぶあき》!!」
少年に声をかけると即座に理解し、双眼鏡で先程までガルーダがいた位置を見る。
「どうやら誰かと戦っている模様です。」
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「「はい!!」」
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