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朝ゴハン
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ギルドから謹慎を受けて早3日。
ただ今シェナは、
「サラダはできた。スープもよし。さて、次は・・・」
『梟屋』の台所で朝ごはんを作っている真っ最中だった。
最初は、ココロさんが朝食を作ってくれた。だが、ココロさんとゼノンさんは朝から色々仕事があり、そんな中朝食を作ってもらうのはしのびないと、料理をかって出たシェナだった。
台所や冷魔庫、貯蔵庫のモノは好きに使っていいと言われ、遠慮なく使わしてもらっている。
魔法で熱湯消毒して乾かした少し大ぶりのガラス瓶。その中に『梟屋』の裏で飼われいる牛山羊の搾りたてのミルクを注ぎ、そこで塩を一摘まみ入れる。
しっかり瓶の蓋を閉める。
「風よ」
手に風を呼び、瓶が入るくらいの大きさの風の球を出す。
出来た風の球の中に瓶を入れる。風の力で宙に浮く瓶。
「シェイク」
シェナが唱えると、風の球が上下に小刻みに動き出し、中の瓶を振り出す。
瓶を振る風の球からジャボジャボとミルクが振られる音がする。
次に大きめのボールに小麦粉と砂糖を入れる。
棚から小瓶を取り、中に入っている小石くらいの大きさの白い粒を二つ取り出す。
白い粒、クスクスと言う木の実を乾燥させた物を、小皿に乗せ、スプーンの背で押し潰すと、簡単に砕ける。
粗方砕けたクスクスの実を小麦と砂糖に加え、混ぜる。
クスクスの実は近くの林で簡単に採れる木ノ実で、そのまま食べても脂質系のまろやかな味でほのかに甘くて美味しいが、乾燥させて小麦粉に加えると、小麦粉で出来る生地が焼いたらしっとりフワフワになる。
この世界ではふくらし粉としてよく使われる。
但し、クスクスの実を入れすぎると、膨らみはするがエグ味や苦味が出てしまうので注意がいる物でもある。
別のボールに卵とミルクを合わせ、しっかり混ぜ卵液を作る。
小麦粉を混ぜたモノに卵液を加え、しっかり混ぜる。
混ぜる。混ぜる。混ぜる。
「あー、手が疲れる」
結構大きめのボールを抱え混ぜ、混ぜ。
粉感が無くなりトロっとモッタリとした生地ダネが出来た。
今度は大きめのフライパンを火にかける。
フライパンが温まったら油を薄く引く。
大きめの木のスプーンで生地ダネを掬い熱したフライパンに落としていく。
こんもり、となるよう落とす。
シュワーと生地ダネが熱されたフライパンで焼かれふわりと甘い香りが辺りに漂う。
薄黄色の生地ダネの表面がプツプツと気泡が出てくる。
「よし」
気合いを入れ、フライパンの取っ手を掴みフライパンを揺する。
フライパンの中で生地ダネが揺られて動く。
「よっと!!」
掛け声と共にフライパンを振ると、片面焼かれた生地が宙を舞いクルっと一回転してフライパンの中に戻る。
面になった表面は焼けて薄い茶色に色付いている。
「うん。いい色」
美味しいそうな焼き色に満足そうに頷き、フライパンに蓋をする。
しばらくして蓋を開くと、フライパンの中にはふっくらと膨らんだ生地。
レシピではこの料理を『パンケーキ』と言った。
拳大くらいのまん丸、ふっくらと焼けた『パンケーキ』はフンワリ甘い香りを放つ。
フライパンの取っ手を持ちひっくり返す。
ひっくり返して、フライパンから離れた『パンケーキ』が用意していた皿の上にパフンと乗る。
「よし。次」
シェナはこの工程をあと5回繰り返した。
3枚の丸い皿の上に『パンケーキ』が二枚づつ乗せていく。
「そろそろかな」
風の球の中、ミルクを入れた瓶がジャボジャボ言う音から液体が振られる音からダボッダホッと柔らかい固まりが振られる音に変わっていた。
今まで振られ続けられていた瓶を風の球から取り出す。
蓋を開けると、瓶の中身、ミルクは薄黄色の柔らかい固まりと白く薄い水に分かれていた。
シェナは小指で固まりの方をちょっと掬い、味を見る。
濃いミルクの味にまろやかな脂質。微かに感じる塩っ気。
「うん。バター完成」
瓶の中の薄い水を捨てて、出来立てのバターを三つの小皿に分ける。
「うーん、いい匂いね」
ココロさんが台所に入ってきた。
「今日の朝ご飯は何?シェナちゃん」
「今日はサラダと野菜のスープ。それと『パンケーキ』です」
「まぁ!丸くてふっくらしてて美味しいそうだわ」
皿に乗った『パンケーキ』を見て目を輝かせるココロ。
「今、テーブルに運びます。ココロさんは先に食卓へ」
「あら、ダメよ。シェナちゃんが美味しい朝ご飯を作ってくれたんだから、運ぶのくらいは私にやらせて」
「こっちももう、終わったんで大丈夫です」
「だったら、二人で運びましょうね。既に待ちきれなくて、ゼノンが食卓で待っているし」
クスクスと笑うココロさん。
ゼノンさんはあいも変わらず、無愛想だが、私の料理は気に入ってくれたようで、一緒に食事を食べている。
二つの大きなお盆に作った朝ご飯と飲み物、小さな小瓶を三つ乗せる。
「さあ、早く行きましょう。せっかくの朝ご飯が冷めちゃう」
「ふふ、はい」
ただ今シェナは、
「サラダはできた。スープもよし。さて、次は・・・」
『梟屋』の台所で朝ごはんを作っている真っ最中だった。
最初は、ココロさんが朝食を作ってくれた。だが、ココロさんとゼノンさんは朝から色々仕事があり、そんな中朝食を作ってもらうのはしのびないと、料理をかって出たシェナだった。
台所や冷魔庫、貯蔵庫のモノは好きに使っていいと言われ、遠慮なく使わしてもらっている。
魔法で熱湯消毒して乾かした少し大ぶりのガラス瓶。その中に『梟屋』の裏で飼われいる牛山羊の搾りたてのミルクを注ぎ、そこで塩を一摘まみ入れる。
しっかり瓶の蓋を閉める。
「風よ」
手に風を呼び、瓶が入るくらいの大きさの風の球を出す。
出来た風の球の中に瓶を入れる。風の力で宙に浮く瓶。
「シェイク」
シェナが唱えると、風の球が上下に小刻みに動き出し、中の瓶を振り出す。
瓶を振る風の球からジャボジャボとミルクが振られる音がする。
次に大きめのボールに小麦粉と砂糖を入れる。
棚から小瓶を取り、中に入っている小石くらいの大きさの白い粒を二つ取り出す。
白い粒、クスクスと言う木の実を乾燥させた物を、小皿に乗せ、スプーンの背で押し潰すと、簡単に砕ける。
粗方砕けたクスクスの実を小麦と砂糖に加え、混ぜる。
クスクスの実は近くの林で簡単に採れる木ノ実で、そのまま食べても脂質系のまろやかな味でほのかに甘くて美味しいが、乾燥させて小麦粉に加えると、小麦粉で出来る生地が焼いたらしっとりフワフワになる。
この世界ではふくらし粉としてよく使われる。
但し、クスクスの実を入れすぎると、膨らみはするがエグ味や苦味が出てしまうので注意がいる物でもある。
別のボールに卵とミルクを合わせ、しっかり混ぜ卵液を作る。
小麦粉を混ぜたモノに卵液を加え、しっかり混ぜる。
混ぜる。混ぜる。混ぜる。
「あー、手が疲れる」
結構大きめのボールを抱え混ぜ、混ぜ。
粉感が無くなりトロっとモッタリとした生地ダネが出来た。
今度は大きめのフライパンを火にかける。
フライパンが温まったら油を薄く引く。
大きめの木のスプーンで生地ダネを掬い熱したフライパンに落としていく。
こんもり、となるよう落とす。
シュワーと生地ダネが熱されたフライパンで焼かれふわりと甘い香りが辺りに漂う。
薄黄色の生地ダネの表面がプツプツと気泡が出てくる。
「よし」
気合いを入れ、フライパンの取っ手を掴みフライパンを揺する。
フライパンの中で生地ダネが揺られて動く。
「よっと!!」
掛け声と共にフライパンを振ると、片面焼かれた生地が宙を舞いクルっと一回転してフライパンの中に戻る。
面になった表面は焼けて薄い茶色に色付いている。
「うん。いい色」
美味しいそうな焼き色に満足そうに頷き、フライパンに蓋をする。
しばらくして蓋を開くと、フライパンの中にはふっくらと膨らんだ生地。
レシピではこの料理を『パンケーキ』と言った。
拳大くらいのまん丸、ふっくらと焼けた『パンケーキ』はフンワリ甘い香りを放つ。
フライパンの取っ手を持ちひっくり返す。
ひっくり返して、フライパンから離れた『パンケーキ』が用意していた皿の上にパフンと乗る。
「よし。次」
シェナはこの工程をあと5回繰り返した。
3枚の丸い皿の上に『パンケーキ』が二枚づつ乗せていく。
「そろそろかな」
風の球の中、ミルクを入れた瓶がジャボジャボ言う音から液体が振られる音からダボッダホッと柔らかい固まりが振られる音に変わっていた。
今まで振られ続けられていた瓶を風の球から取り出す。
蓋を開けると、瓶の中身、ミルクは薄黄色の柔らかい固まりと白く薄い水に分かれていた。
シェナは小指で固まりの方をちょっと掬い、味を見る。
濃いミルクの味にまろやかな脂質。微かに感じる塩っ気。
「うん。バター完成」
瓶の中の薄い水を捨てて、出来立てのバターを三つの小皿に分ける。
「うーん、いい匂いね」
ココロさんが台所に入ってきた。
「今日の朝ご飯は何?シェナちゃん」
「今日はサラダと野菜のスープ。それと『パンケーキ』です」
「まぁ!丸くてふっくらしてて美味しいそうだわ」
皿に乗った『パンケーキ』を見て目を輝かせるココロ。
「今、テーブルに運びます。ココロさんは先に食卓へ」
「あら、ダメよ。シェナちゃんが美味しい朝ご飯を作ってくれたんだから、運ぶのくらいは私にやらせて」
「こっちももう、終わったんで大丈夫です」
「だったら、二人で運びましょうね。既に待ちきれなくて、ゼノンが食卓で待っているし」
クスクスと笑うココロさん。
ゼノンさんはあいも変わらず、無愛想だが、私の料理は気に入ってくれたようで、一緒に食事を食べている。
二つの大きなお盆に作った朝ご飯と飲み物、小さな小瓶を三つ乗せる。
「さあ、早く行きましょう。せっかくの朝ご飯が冷めちゃう」
「ふふ、はい」
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