神の種《レイズアレイク》 〜 剣聖と5人の超人 〜

南祥太郎

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第3章 英雄

マッツと仲間達(クラウス・シャハト)

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 ――― 2日目 ―――

 クラウス・シャハト(23) 男性。

 濃い青のローブを羽織り、フードは被らずに顔を出している。下は、ブカブカの白いワイドパンツと茶色の革製ハイカットブーツ、といういつものスタイルで登場したクラウス。

 最初、クラウスの要望を聞いた時は面食らったが、こいつもヒムニヤと旅を続けて行く間に強くなったのだろう。

 ビルマークで暗殺者と戦った時は、自身に持続回復をかけて相手の槍に刺さりに行くというぶっ飛んだ戦法を取った男だ。気骨もある。

「よし、じゃあここらでどうだ」

 町の外れまで行き、人気の無い、広い空き地に辿り着き、クラウスに確認する。

 クラウスが俺に希望したのは、ヘンリックと同じく、模擬戦だった。

 ヘンリック、リタは前衛だからわかるが、クラウスは意外だった。

「ええ。ここで」
「よし、じゃあ行くぞ」

 シュタークスを構え、グッと前足に体重を乗せる。

「いや、ちょ……待って待って!」
「ん?」

 慌てて、両手を前に突き出し、掌を振るクラウス。
 何だ、違うのか?

「隊長……僕は後衛ですよ? この距離で隊長と戦うなんて……出来る訳ないじゃ無いですか」
「お、おお。そうか、ごめんごめん」

 言いながら、距離を取る。

「僕達、魔術師が前衛と対決する場合、距離を詰められたら負けです。つまり、私は剣の届く距離に詰められないよう、攻撃、防御します」
「俺は本気で行っていいのかい?」
「当然です。お願いします」

 50メートル位、離れただろうか。

「まずはそれ位から始めたいです。段々と縮めていく感じで」
「わかった。コイン投げるぞ」

 コインを右手の親指で弾く。


 ――― チャリーン!


 ドンッ!

 猛ダッシュをかける。

「ラムネイル……」

 クラウスが詠唱を始める。クラウスは旅立つ前、攻撃呪文を1つも持っていなかった。ヒムニヤと過ごしたこの短期間で、どれだけ習得したのか、俺も把握しておきたい。

「アリヴァ・ミリ……」

 む、平行詠唱? クラウスが、そこまで……。
 ヒーラーとしてはランディアでは、ズバ抜けて優秀だったが……すごいぞ!

 距離は残り、30メートルほど。詠唱が早い。平行、且つ、高速詠唱か!

「『雹弾ハーグルブライト』!!」

 グッ!

 ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

 拳大の雹が、弾丸のように前方から射出される。だが、この距離なら避けるのに造作は無い。

 ヒョイと前方、斜めに避け、猛ダッシュを続ける……が、その地盤が緩む。

「『氷槍エイスピィア』!!」

 ミラー系魔法『氷の槍エイスピィア』とは異なる、ツィ系の氷系魔法!

 ドシュドシュドシュドシュドシュ!!!

 雹弾を避け、移動した場所の地面から、氷の槍が勢いよく飛び出してくる。俺の進行方向に沿って出て来るため、避け切るのは難しい。

 やるな、クラウス!

風竜剣技ダウィンドラフシェアーツ!!」

 地面に逃げる場所が無い。なら、上から行くぞ!

「『クシア』!!」

 数メートル上昇し、クラウス目掛けて飛ぶ。そして、飛んでいる間の攻撃に備え、先手を打つ。

青竜剣技ブリュドラフシェアーツ!」

 これに耐えられるか……? いや、クラウスなら大丈夫だ!

「『フリィ』!!」

 瞬時に生成された数十の斬撃が水属性の魔法斬撃となり、クラウスに降り注ぐ。

 が、クラウスは落ち着いて、両手を体の前に差し出して、何かを呟いた。

「『絶対障壁アブソル・バギアン』!!」

 何だって!?

 クラウスの前に虹色のバリアが発生、『飛』の斬撃は、そのバリアの前に全て弾かれる!

 だが、残り距離15メートル、ここからは俺の方が有利!

 まずは、バリアの強度を見させてもらおうか。

火竜剣技フラムドラフシェアーツアネヴォム』!!」

 バリアにレーザーをポイント、すぐさま爆発を起動!

 ドォォォォォン!!

 バリアがなくなる。焦るクラウス。

 残るは5メートル、もう手が届く!

「『粘水輪ヴィスコ・ヴァサ・イシュ』!!」

 ガッ!!

 ドッッシーーーン!!

 ぅあ、いったぁぁぁぁぁ!!

 勢いよく顔面から地面にぶつけてしまった。両足が動かないのだ。

 見ると、足にスライムのようなゼリー状のものが巻き付いている。

 そして、俺の頭に、クラウスのロッドが置かれる。

「やった……! 私の勝ちですね!!」

 汗だくで、微笑むクラウス。

「あ、ああ。ビックリしたよ。凄かったぜ! ……取り敢えず、このスライム、何とかしてくれ」

 クラウスがロッドを振ると、スライムが蒸発する。

「凄いな……この短期間でよくそこまで習得したな!」
「いえ、ヒムニヤ様が凄いんです。《神妖精》とまで言われたお方ですから!」
「いや、違うぞクラウス。ヒムニヤが凄いのは間違いない。が、お前も凄い。ヒムニヤをパーティに迎え入れて、まだ1ヵ月半だぜ。それでこれだけ魔法を習得できたのは、お前が凄いんだよ。誇っていい」

 体の土や埃を払いながら、クラウスに率直な感想を述べる。
 クラウスは顔を真っ赤にして俯いて照れている。

「さっきのバリア、凄かったな。でも、あれツィ系魔法じゃないよな」
「はい! あれはヒムニヤ様のオリジナルスペルです。ヒムニヤ様クラスになると一切の詠唱無しで、神の攻撃すら防ぎます。……が、私のは先程程度のバリアでしかありません」
「なるほどな。ま、これから、ドンドン強度を増していけばいいさ。初めから超人クラスで出来る訳無いんだからな。何事も努力だ」
「はいッ!」

 そうして俺達は勝った負けたを繰り返して、日が沈むまでやり合ったのだった。

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