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最終章 剣聖と5人の超人
剣聖と5人の超人(2)
しおりを挟む不意に辺りが明るくなる。
ヒムニヤの光の波動だ。
そしてクラウスが全体治癒をかける。
「座して最強。盲目の八英。ここに降臨し全ての邪を打ち払え! 『八葉の賢者』!!」
リンリンが叫ぶと白装束で身を覆った8人の賢者達が現れる。発現と同時に詠唱を始め、掌を前に向けると、一瞬でヘルドゥーソの体が四散する!!
だが、空中で復活、それと同時に指を空に向けると、一点から放射される稲妻の雨!!
「「「うがぅッッ!!」」」
「ふふ、頑張るでは無いか」
楽しげに笑うヘルドゥーソ。
「だが、戦力どうこう言っていた自分の愚かさが少しはわかったか? マッツよ」
「うるせえぞ。まだ戦いは始まったばかりなんだろ? 火竜剣技!」
ヘルドゥーソの額をポイントするマッツ。
「『爆』!」
体が弾け飛び、そして彼らの前方で何事も無かったかのように復活する。
「さて……そろそろ頭の悪いお前達にも戦力差というものがわかってきたであろう。それでも頑張る哀れな仔羊達に絶望をやろうか」
そう言うと、両手を胸の前で合わせ、
「待たせたな。出でよ、魔神共ッ!」
一気に両手を広げ、叫ぶ。
シュン!
シュン!!
シュン!!!
マッツ達を取り囲むように三方に出現する、一目でヤバい、とわかる者達。
ヘルドゥーソの方向を向いている一行の右側に現れたのは、瞳の無い目を持ち、皮膚の色はドス黒い赤、筋骨逞しい体に背中に羽を生やした悪魔のような出で立ちをした魔神。
「ディアボロスじゃ! 魔法無効の上、体の再生力は桁外れの奴じゃ」
リンリンが叫ぶ。
そして左側に現れたのは剣士風の、長髪で美しい容姿を持つ女性。膚の色は紫で瞳は碧眼、耳はエルフのように尖っている。
「こっちはメフィストじゃ。魔法、物理に強力な耐性を持ち、リタの聖剣に匹敵する炎を纏う2本の魔剣を持っている」
「7魔神の残り3体、やはり出してきやがったな……」
マッツが吐き捨てるのに、ヒムニヤがハッとする。
「なら、後ろにいるのは……サミジナッッッ!!」
マッツが後ろを振り返ると、頭部が馬の姿をし、グレーのローブを纏った小柄な体躯、手には杖、という何とも奇妙な出で立ちの魔神がいた。
「奴は魔法、物理に強力な耐性を持つ上、魔神の中では最強と言われる魔力を持つ。何より奴が恐ろしいのは死者の召喚を行える、という点だ。最優先で倒さねば取り返しのつかない事になろう」
心なしか声が震えるヒムニヤ。
戦いが始まるまでは、超人3人に神の末裔、竜人、更には次代の超人2人を加え、負ける事などあり得ない、と心のどこかで思っていた一行。
だがヘルドゥーソには毛ほどのダメージも与えられず、今、四方をそれぞれ単体でも強力な者共に囲まれ、ここが戦場であり、死地である事を改めて認識する。
悔しくもヘルドゥーソの言う通りの絶望を味わい出す一行。
だが、マッツ・オーウェンは戦いが始まれば怯まない。
どうすれば切り抜けられるか、どうすれば勝てるのかを経験と分析、そして直感から最善の判断を下す。
「オレスト! アデリナ、ヘンリック、クラウスはヘルドゥーソだ。俺達が行くまで堪えろ!」
「任せとけ!」
オレストの言葉は不思議とその場にいる皆を鼓舞し、安心させる。
「リンリンとマメはディアボロス! 2人で勝てッ!」
マメが竜人の姿になっている今、2人揃えばそれだけで圧倒的な戦力と判断したマッツ。
それに応えるかのように大きく頷くリンリン。
「任された! 行くぞ、マメ!」
「ああ」
更にリタとヴォルドヴァルドに向き直るマッツ。
「メフィストはリタとヴォルドヴァルド! お前達なら勝てる。リタ! 魔剣なんか叩き折って来い!」
「任せて!」
「安心して俺に任せるがいいッッッ!!」
普段なら耳を塞ぎたくなるヴォルドヴァルドの大きな声が、この時ばかりはこの上なく頼もしい。
「残りの皆は俺に続け! サミジナをやる!」
「「「おう!!」」」
――― ヘルドゥーソ vs オレスト、アデリナ、ヘンリック、クラウス ―――
「なんだ、私には4人しかこんのか」
目の前に並ぶ4人の戦士、オレスト、アデリナ、ヘンリックそしてクラウスを前に、明らかに拍子抜けの表情を見せるヘルドゥーソ。
「見くびられたものよ……だが、サミジナに戦力を集中したのは間違いではない。少しはわかっているらしいな」
「ふん。俺達4人を舐めると後悔するぜ」
舌で口元を舐めながら、双剣をキラリと光らせる。
「クク。お前はオリオンより弱かろうが。私に殺されたオリオンよりも弱いお前がどうやって私に敵うと……」
バッシュバッシュ!!
魔力を込めた衝撃波!
ヘルドゥーソの体を斜め十字に切り裂く!
「喋りがなげえよ」
「フン。オリオンの子孫も私に殺される運命か」
そう言うと、何やらモゴモゴと口を動かし、
「『冥府鳴動』!!」
不意に大地が揺れ出す。
いや、実際に揺れているわけでは無い。ヘルドゥーソの魔法によって感覚に干渉された彼らがそう認識しているだけなのだ。
総毛立つアデリナ。
彼女は以前、この魔法を浴びた事がある。
「古竜の大森林でリッチが使った魔法!! ヘンリック! 光撃!!」
必死で叫ぶアデリナ。
だが、更に大地が揺れ、方向感覚がなくなり始める。
その中で必死に狙いをつけ、光属性の六芒槍技を繰り出すヘンリック!
「六芒!『光撃』ッッ!!」
六芒全てをフル回転、光属性の魔撃を生成、放出させる。更に魔槍レベッカで相手の魔力を吸収、再利用する無限攻撃。魔力無限のヘルドゥーソに対しては、レベッカの素晴らしい超性能を最大現に発揮できる。
「オォォォォ……ウゥググググ!!」
「行けぇぇい、ペルセウス! どこにいようが……必ず当たるよ!」
ヴォルドヴァルドお手製の破魔の矢をつがえて発射!
弾道は大きく曲がり、ヘルドゥーソがいる方向へとホーミングする!
ドォォォォォォォォン!
「うう……あの2本の聖剣以外でも私にダメージを与えるか。言うだけのことは、あるな」
呻くようなヘルドゥーソの声が聞こえたかと思うと、大地の揺れが収まり、感覚が元に戻る。
「だが……私の体力、魔力はここでは無限。その意味を思い知れ。そして更に絶望せよ」
眼球が無く星が浮かぶ宇宙を秘めているかのようなヘルドゥーソの左目の奥が青く光る。
「『三千闇』」
宙に浮かぶ真っ黒なつらら。
その数、数千!!!
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