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最終章 剣聖と5人の超人
剣聖と5人の超人(3)
しおりを挟む――― ディアボロス vs マメ、リンリン ―――
空を飛ぶディアボロスに向かい、高く跳ぶマメ。
それにディアボロスが気付いた時には既に殴るモーションに入っている!
そして、一撃!
ズッガァァァァンッ!
弾け飛ぶディアボロスの頭!!
しかし高速再生能力により、瞬時に頭部を回復させ、片腕をマメに向ける。
「『滅竜波』」
「あれはッ!」
驚いたリンリンが防御する間も無く、マメに向かって放たれる、対竜に特化した古代魔法。目に見えない波を受けてしまうマメ。
「おあッッ!!」
全身に浴びたマメが悲鳴とも呻きともつかない短い叫びを発し、落下する。
たった一発で虫の息になるマメ。
マメが地を這う姿など見たことがないリンリンが息を飲む。
「『滅竜剣』」
続け様に対竜の古代魔法を撃つディアボロス。全てに『滅竜波』が込められた剣を無数に召喚、マメに向けて空から地上に降ってくる!!
「マリンドラの地、『宝石の守護者』、額の鏡で全てを跳ね返せ!」
リンリンの頭上に現れる小さな竜、カーバンクル。
虹竜を小さくしたような姿でキラキラと不定色で煌めきながら、一声唸るとマメの全身に魔法を反射するバリアを張り、同時にマメの体力を回復させて消えて行く。
バシュバシュバシュバシュバシュバシュッ!
降り注いだ魔法の剣は、そのバリアに弾かれ、全てディアボロスに跳ね返る!
だが、ディアボロスは魔力無効、加えて対竜の魔法のため、ダメージは無い。
(やはり奴を倒すにはマメの攻撃力が必要!)
今度はリンリンに向け、その腕を伸ばすディアボロス。
掌から風を圧縮し、鎌鼬と化したそれを乱れ撃ちする。
「地獄の溶岩、火山すら燃やす炎の王、精霊界より舞い降り、全てを焼き尽くせ!!『炎の大精霊』ッッ!!」
リンリンの背後に、真っ赤に燃え盛る、悪魔のような姿をした炎の精霊、イフリートが現れる!!
「『極大爆炎』」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ディアボロスと同じように掌を宙に向け、そう呟くと鎌鼬を焼き尽くす圧倒的な灼熱のビームが放たれる!!
ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ―――ッ!
ビームを撃ち尽くすと消え去るイフリート。
魔法無効のディアボロスだが、体は焦げ、多少のダメージがあると思われた。
そして、カーバンクルの回復によって復活したマメがその隙にディアボロスの背後に回る。
再度の脳天への一撃!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッ!!
凄まじい勢いで地に叩きつけられ、体が半分に弾け飛ぶディアボロス!
スタッ。
その横に着地したマメが顎に手をやる。
「ふむ。再生力が厄介だな。だが『炎』は有効なようだ」
地中から這い出ながら、体を再生し始めるディアボロス。
そしてそれと同時に、『風』を体に纏わせ始める。
――― メフィスト vs リタ、ヴォルドヴァルド ―――
リタが手に持つ2本の聖剣、物理無効を切り裂くベテルギウスと最強の攻撃力を持つリゲル。
対するは魔神メフィストの持つ2本の魔剣、エルドラドとクリスティーナ。共に大出力の魔力を帯び、それをむき出しにした魔剣。
激しく打ち合う両者、が、しかし、メフィストはただの剣士ではなく、魔剣士である。
「『大火』」
斬り合いながら魔法を放つメフィスト。リタは一瞬で炎に包まれる。
だが、その炎を切り裂き、更にメフィストに一撃を加える。
ガキィィィィィン!!
ヴォルドヴァルドはリタが炎に包まれたと同時にメフィストを挟むようにしてリタと直線上の位置まで移動、そこで槍を回転させ始める。
「水芒!『豪砲』!」
そして凄まじい水圧の大砲をメフィストに向けて放つ!!
メフィストに直撃、思わず後ずさる。同時にその水でリタの体でなおも燃え盛る、魔法の炎を消化する。
「凄まじい威力……だが、効かんな」
「そうか。今のは消火用だッッ」
「……! クッ……デカい声だな、お前……黙らせてやる!『炎の荒縄』!!」
刹那、ヴォルドヴァルドの体に現れる炎の縄!
燃え盛りながら、炎の縄でヴォルドヴァルドを締め上げる!!
――― サミジナ vs マッツ、ヒムニヤ、リディア、コンスタンティン、ディヴィヤ、ラディカ、ナディヤ ―――
「こりゃまた大勢のお客さんだな」
しゃがれ声でボソッと吐き捨てるサミジナ。
「マッツ! こいつにはヘルドゥーソやディアボロスほどの再生力はないが、その力は魔神の中でも突出している。早く片付けるぞ!」
「ああ! わかった!! 青竜剣技!」
「ハァァァァ―――!!」
ヒムニヤの無詠唱魔法がサミジナめがけて発動!
ドンッッ!!
「『飛』!!」
何千というマッツの持つ魔剣、シュタークスのイメージが空中に発現、一気にサミジナに襲いかかる!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッッ!!
だが、それらの攻撃を特に驚くことも構える事もなく、ス―――ッと腕を上げ、薄く視認できるバリアで防ぎきる。
そして何やら口の中でブツブツと呟き出す。
ラディカとディヴィヤが前方から、そして後ろからナディヤが斬りかかる。
後ろにも目があるかのように、そして一体、何の体術なのか、器用にそれらを躱しきるサミジナ。
ラディカのカトラスをヒョイと掌で受け、それを皮切りに宙に跳ぶ!
「いかん! あいつに攻撃させるな!」
珍しく焦るヒムニヤの一喝、そして、無詠唱の連弾!
ドンドンドンドンドンドンドンドンッッ!!
それらを全てバリアで防ぎきり、その間ずっとモゴモゴと詠唱するサミジナ!!
おもむろに口を開く。
「さて……誰を呼べば気にいってくれるかのう……?『死者召喚』」
「まずいッッ!!」
焦るヒムニヤ。
ブゥゥゥゥン……ブゥゥゥゥン……
そしてマッツ達の前に現れる黒い双剣士と黒い弓士。
自我は無いようだ。体全体が漆黒で塗り潰されており、顔のパーツや服の模様などは一切、見えない。
俯き加減ではあるが、姿勢良く立ち、そして歴戦の猛者である事を裏付ける、隙のない構えを見せる。
そしてそれを見たヒムニヤ。
不意にガクガクと震え出す。
「待て、貴様……何だと……何という事を……!」
「どうした、ヒムニヤ! 大丈夫か?」
近寄るマッツに、悲しそうな目をするヒムニヤ。
「何という事だ。あれは……ロビンとオリオン!!」
「……何だって!? あれが……」
教科書にすら載っている、伝説の英雄。
遥かな昔、世界を股にかけ、超人達とも渡り合った2人。
「成る程、そう来たか。だが……」
実際に彼らと過ごした事のあるヒムニヤが複雑な表情をするのに、マッツが軽く肩をポンっと叩く。
「安心しろ、ヒムニヤ。死んだ人間が生き返る事は無い。肉体は滅びており、自我がないのなら、それは別人だ」
「……!」
ハッとするヒムニヤ。
「俺達に任せとけ! ディヴィヤ! ラディカ! ナディヤ! お前達は弓使いをやれ! 俺は双剣使いをやる!」
敢えてロビンとオリオン、という名前を言わずに指示するマッツ。
「ヒムニヤ、リディア、コンスタンティン! サミジナを……やれ!」
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