神の種《レイズアレイク》 〜 剣聖と5人の超人 〜

南祥太郎

文字の大きさ
189 / 204
最終章 剣聖と5人の超人

剣聖と5人の超人(8)

しおりを挟む

 ――― vs ヘルドゥーソ、サイエン、リンリン ―――

水芒ワズヴォラウス!『豪砲マイスタ・キャノン』!!」

 ゴォォォォォォォォォォォォッ!!

 凄まじい水量を圧縮し、バジリスクに放つヴォルドヴァルド。

 ズガンッッ!!

 グッキュゥゥゥゥゥ……

 蛇の頭が切断され、見る間に消えゆくバジリスク。


 そのバジリスクが消え去ったのを確認したオレストが声を上げる。

「リンリンは闇の波動によって操られてしまった。相手は3人の超人だ。こちらも3隊に分けるぞ!」
「待て、オレスト!!」

 走りながらオレストを制止するマッツ。

「おお、来たか、マッツ! やっと片付いたか」
「待たせてすまなかった。よく耐えてくれた」

 息急き切って駆け寄るマッツ。
 この時、気を失っていたクラウスも、駆け付けたヒムニヤによって助け出されていた。

「フフ……クックック。遅かったな、マッツ・オーウェン。遂にリンリンを手に入れたぞ。あとはお前の神の種レイズアレイクを奪えば全て揃う」
「なに? 何を言ってるんだ、お前は」
「はっ!!」

 マッツのすぐ後ろにいたコンスタンティンが息を飲む。

「そうか、そういう事か……わかったぞ。マッツ、僕がランディア王都で君に言ったことを覚えているかい?」

 言われて記憶を辿るマッツ。

 ―――

「マッツ。僕も全てを知っているわけではないが…… 1つ、知っている情報を伝えておこう。魔神ミラーの召喚は、僕達、常人には無理なんだ」
「ほう?」
「召喚するには常人でない、特別な力を持った人物が必要だ……魔神ミラーの召喚を企む者がいたとして、『神の種レイズアレイク』を揃えるだけではなく、そのも必要だ、という事だ。君はその人物も探し出し、保護する必要がある」

 ―――

 マッツも同じようにハッとし、コンスタンティンの顔を見つめる。

「まさか……それがリンリンだと?」

 真剣な表情で頷くコンスタンティン。

「ああ。ヘルドゥーソの言動を見る限り、まず間違いないだろう。超人というものを知り、超人も同じ人間や森の妖精エルフの延長上にいる、とわかったが……言われてみれば確かにあの召喚術は桁外れだ」

 言われて、みるみる血の気が引いていくマッツ。

「なんだと……俺はわざわざここまでヘルドゥーソの元にリンリンを連れてきてしまったってのかッッ!」

 マッツを見つめ、無言になるコンスタンティン。

 そこに割り込むオレスト。こう言った時の嗅覚はやはり人の上に立つ将軍ならでは、といった所か。

「どうするね、マッツ。気持ちはわかるが、今、キレてる場合じゃねぇぜ」

 言われたマッツは厳しい視線をオレストに向けるが、決して短絡的に怒っているそれではない。

「いや、オレスト。大丈夫だ」

 そしてヒムニヤに向き直る。

「ヒムニヤ。1人でサイエンを抑えてくれるか?」
「勿論。引き受けよう」

 力強く頷くヒムニヤ。マッツも少し口元に笑みを浮かべ、頷き返す。

「ヴォルドヴァルドとマメの2人でリンリンを抑えてくれるか?」
「うむ。引き受けたッッ!」
「わかった」
「マッツ……てぇ事は……?」

 オレストが嬉しそうに舌舐めずりをする。
 そのオレストに大きく頷き、そして全員に号令をかけるマッツ!

「残りの皆! 全員でヘルドゥーソを倒すぞ!!」

「「「「おお!!」」」」

 そのくだりを楽しそうに眺めるヘルドゥーソ。

「フッフッフ……賢明な判断だ。だがそう……うまく行くかな?」
「行かせるとも! リディア! バフを皆に!」
「大丈夫! もうかけてるわ!」

 リディアと微笑み合い、ヘルドゥーソに向き直るマッツ!

「よし、いくぞ!」
「来ぉぉぉい! マッツ・オーウェン! お前だけはきっちりこの手で命を絶ってやる!!」

 そうして、ようやく1つの戦線になり、マッツを含んだ11人の戦士と『滅導師』ヘルドゥーソとの最後の戦いが始まった。


 ―

 1時間が経ち、2時間が経ち ―――

 マッツ達のパーティに疲労の色が濃く出始める。

『無限』と宣言しているだけあり、ヘルドゥーソの体力、魔力は尽きる様子を見せない。

 消し飛ばしても、吹き飛ばしても、穴を開けても、切り刻んでも次の瞬間には再生するヘルドゥーソ。

 そして無限の魔力を頼みに強力な範囲魔法を展開する。

 幸いな事にリディアとクラウスの2人が『絶対魔法防御ソリュマギィ・ヴァーンティン』を詠唱できる為、何とか致命傷には至らず、だが、膠着を強いられているマッツ達。

 打開策を探していた時、不意にリディアが小声で話し掛けてくる。

「マッツ!」
「ハァハァ……どうした?」
「あのさ。ずっと違和感があったんだけど。あのヘルドゥーソの髭、あれだけちょっとなものに見えるんだけど……あんたはどう?」
「うん。それは俺もだ…………あ!」

 何かに思い当たるマッツ。
 リディアを無視して考えを巡らせ始める。

「ちょっと待てよ……髭……髭だと……」

 ―――

「ヘルドゥーソにプレゼントを1つやった。そのお陰で『魔力の暴風域』における奴の体力は『無限』」

 ―――


(そうだ。エルトルドーがそんな事を言っていたな……)

(そして最後にヘルドゥーソの思念体と戦った時……)


 ―――

「あのさぁ……前から思ってたんだけど、お前、そのヒゲ、全然似合ってないぞ?」

(なに? 髭だと……)

(……不思議な奴だ。超人級の力を持ちながら、しかし資質に目覚めているようでもない)

(女の事ばかり考えているかと思えば、いやに鋭い)

 ―――


 あの時、確かにヘルドゥーソの奴はハッとした顔をしていた。

 待てよ……

 待て……


 フフ……

 宙を睨みながらニヤリとするマッツ。

「わかったぞ。奴の『無限の体力』の秘密。さすがは神の種レイズアレイクの第一発見者だ、リディア!」

 そう言うと力任せにリディアを抱きしめるマッツ。
 いきなり想定外の状況になり、リディアは顔を真っ赤にして立ち尽くす。

 魔剣シュタークスを振り上げ、全員に檄を飛ばすマッツ!!

「みんなッ! 総攻撃!」

(これだけやってどうにもならんってのに、総攻撃だと?)

 訝しげにマッツの顔を見るオレスト。
 そのオレストに、口元だけを上げて頷いてくるマッツ。

(突破口を探し当てたか? ……全く、大した奴だ)

「おうよ! アスガルドのイケメン将軍オレスト! いざ、参る!!」

 マッツの意を汲んだオレスト、真っ先に名乗りを上げ、ヘルドゥーソに向かう!

 しかしヘンリックも遅れてはいない。
 2人が並び、リタ、ディヴィヤ達がそれに続く。

 その後ろにマッツ。

「『闇抵抗付与ドンクル・レジスト』!」

 リディアのバフにより、最大限に闇属性抵抗を高める!

 リディアの両脇にコンスタンティンとクラウス。
 そしてさらにその後ろにアデリナを配置。

 バシュバシュバシュ!
 ドンドンドンドン!!

「相変わらず、懲りない事だ……」

 やられては再生するヘルドゥーソ。
 だが……不意にゾクリとする。

「良い勘だ。ヘルドゥーソ。だが、これで終わりだ」

 攻撃に紛れ、いつの間にやらヘルドゥーソの背後に忍び寄っていたマッツ。手をヘルドゥーソの口元に伸ばす。

「なに! やめろ!!」
「クックック……ビンゴかね……」

 今まで散々やられたお返しも入っているのか、悪い笑みを浮かべ、ヘルドゥーソのようなセリフを吐くマッツ。

「うおおおおッ! 『闇の波動』ォォ!!」

 掌をマッツに向けるヘルドゥーソ!

「無駄だ! 遅いッ!!」

 ベリッッ!!
 馬蹄髭を引き千切るマッツ!!!

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッッ!!

 傍目からは何が起こったのかわからないが、突然、雷撃に撃たれたように体が弾かれるヘルドゥーソ!

「ぐぅぅぅ……マッツゥゥゥ……オォウェンンンン!!!」

 親指と人差し指で髭を摘んでヒラヒラと靡かせ、悪い笑みを浮かべるマッツ。そのマッツを四つん這いで睨む。


「コンスタンティンッ!」

 マッツがそう叫んで髭を宙に放り投げると、阿吽の呼吸でビームによって焼き尽くすコンスタンティン。

「あああ! ……何という……何という勿体無い事を……」
「まさか、とはねぇ……ミラーさまのセンスもわかんねぇな」
「マッツゥゥゥゥ……コンスタンティンンンン……!! やはり、貴様らかぁぁぁぁぁぁ!!」

 激昂するヘルドゥーソにシュタークスをピタリと向け、言い放つ。

「さて、後は削りあいだ。覚悟しろ?」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...