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第4話 高校生
恋
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初めて話をして、告白をして、その流れで終わるなんて。
気がつくと僕ははらはら涙を流していた。
「おい、何で泣いてんの」
「だって…もう終わ……。気色…悪い奴を捕まえて警告したかっただけでしょ。電車に乗るの気まずくなる」
僕はただ見ているだけで幸せだった。それが他人を不快にさせている事までは気が回らなかった。
はー、と大きなため息をついて、朔は椅子に座り直した。
「そんな奴に俺が連絡手段教えるか?スマホ貸せ」
朔は僕のスマホを取り上げて何か打ち込んで返してきた。
「はい、俺の番号とLINE。これでいつでも連絡取れるぞ。俺がウザくなったらブロックすればいい。いい時代だよなあ」
「ちょく…せつ…、会いた……」
「怜央がもし本気なら」
お店の人が注ぎ足してくれた水をぐっと飲んで朔が僕を強い目でつらぬいた。
「俺に本気なら会おうとするだろう?ダルくなったら連絡しない。今は便利で楽な時代だ。最初連絡先聞くのが難しいけどな。そこを突破したらあとは自分次第だよ」
静かに涙を流している僕に、朔の当たりは優しくなる。
「ここまで俺がお膳立てしたのはなあっ、俺も怜央のことが好きなの!わかんない?すごくない!?頑張ったよ俺」
好きな人が僕の事好きって。
「そうなの…?」
「ほかに何か理由あるか?」
「…だって……」
人は裏切る。
「恋愛の前に怜央はまず治療が先だね。俺とつきあってみてよ。少し変わるかもよ?」
ほかに客がいない静かな店内で、朔は僕の横に座って肩に腕を回してきた。
何が起きるかわからずぼうっとしていると、朔が僕の唇にふれるようなキスをしてきた。
「えっ、あ!…ええ…!?」
「これでわかった?俺の本気度」
髪を梳かれながら僕は心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいバクバクしていた。
いつも見ていた怖い顔が消えて、朔の雰囲気がふわりと優しく感じる。
この人にならだまされてもいいや。
「怜央も単純だな。俺は悪い人間かもしれないのに」
「いいよ悪くても」
「そういう考えはやめろ。少なくとも俺の前では」
そうだね。あまりにネガティブだと暗いオーラが広がってみんな嫌な気分になる。
「でも怜央になら奈落の底に落とされてもいいよ」
朔は困惑した顔で、僕になんと言えばいいかわからなくなっていた。
高校在学中は電車に乗り合わせてしまうけど、卒業したら終わるから。
「俺は怜央が落ちそうになったら引っぱって助ける存在なの!勝手に崖の上に立つな!」
今までそんな事言われたことがない僕は、どんな顔をしてその言葉を受け止めたらいいかわからなかった。
お会計の時、朔はコーヒーチケットで払っていた。僕は驚いてまじまじと見てしまった。
「学生さんはドリンク1杯無料なの」
店主はにっこり笑って僕の烏龍茶代も受けとってくれなかった。
気がつくと僕ははらはら涙を流していた。
「おい、何で泣いてんの」
「だって…もう終わ……。気色…悪い奴を捕まえて警告したかっただけでしょ。電車に乗るの気まずくなる」
僕はただ見ているだけで幸せだった。それが他人を不快にさせている事までは気が回らなかった。
はー、と大きなため息をついて、朔は椅子に座り直した。
「そんな奴に俺が連絡手段教えるか?スマホ貸せ」
朔は僕のスマホを取り上げて何か打ち込んで返してきた。
「はい、俺の番号とLINE。これでいつでも連絡取れるぞ。俺がウザくなったらブロックすればいい。いい時代だよなあ」
「ちょく…せつ…、会いた……」
「怜央がもし本気なら」
お店の人が注ぎ足してくれた水をぐっと飲んで朔が僕を強い目でつらぬいた。
「俺に本気なら会おうとするだろう?ダルくなったら連絡しない。今は便利で楽な時代だ。最初連絡先聞くのが難しいけどな。そこを突破したらあとは自分次第だよ」
静かに涙を流している僕に、朔の当たりは優しくなる。
「ここまで俺がお膳立てしたのはなあっ、俺も怜央のことが好きなの!わかんない?すごくない!?頑張ったよ俺」
好きな人が僕の事好きって。
「そうなの…?」
「ほかに何か理由あるか?」
「…だって……」
人は裏切る。
「恋愛の前に怜央はまず治療が先だね。俺とつきあってみてよ。少し変わるかもよ?」
ほかに客がいない静かな店内で、朔は僕の横に座って肩に腕を回してきた。
何が起きるかわからずぼうっとしていると、朔が僕の唇にふれるようなキスをしてきた。
「えっ、あ!…ええ…!?」
「これでわかった?俺の本気度」
髪を梳かれながら僕は心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいバクバクしていた。
いつも見ていた怖い顔が消えて、朔の雰囲気がふわりと優しく感じる。
この人にならだまされてもいいや。
「怜央も単純だな。俺は悪い人間かもしれないのに」
「いいよ悪くても」
「そういう考えはやめろ。少なくとも俺の前では」
そうだね。あまりにネガティブだと暗いオーラが広がってみんな嫌な気分になる。
「でも怜央になら奈落の底に落とされてもいいよ」
朔は困惑した顔で、僕になんと言えばいいかわからなくなっていた。
高校在学中は電車に乗り合わせてしまうけど、卒業したら終わるから。
「俺は怜央が落ちそうになったら引っぱって助ける存在なの!勝手に崖の上に立つな!」
今までそんな事言われたことがない僕は、どんな顔をしてその言葉を受け止めたらいいかわからなかった。
お会計の時、朔はコーヒーチケットで払っていた。僕は驚いてまじまじと見てしまった。
「学生さんはドリンク1杯無料なの」
店主はにっこり笑って僕の烏龍茶代も受けとってくれなかった。
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