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出会い
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動画を投稿し、コメントをしてくれる人達も少しずつ増えるてきていて、とても励まされていた。そんなある日高校2年生の時に進路希望の紙を渡される。勿論1番上に歌手と記入したかったのだが、後に行われる3者面談でばれてしまう。家族にばれればまた、夢を取られてしまうと思っていた私は結局家族に言い出す事が出来ず、自分の成績でも入れそうな無難な近くの大学名を記入した。その後の3者面談では、先生も両親もそれを見て安心しているようであった。
このままでは大学に進学ということになってしまう。しかし、親に言う勇気もなく一人で悶々と考える日々が続いた。少し人気が出てきて応援してくれるコメントもあるのだが、そうじゃないものもある。「プロにはなれない。所詮ここどまり。伸びしろがない。」というようなコメントも届くようになった。実際プロに比べて実力もまだまだなのも知っているがやはり落ち込んでしまう。家に籠っていても気分が落ち込むだけだったので、気分転換がてらいつも行くところとは違う公園へと足を運んだ。
公園では何人かの子供と、私と同じぐらいの年ぐらいの男の子が遊んでいた。この中の誰かのお兄ちゃんなのだろう。ぼーっと子供たちを見続ける。元気に遊びまわっており、悩んでるのがばからしくなりそうだ。そうして子供たちを見守っていると、帰宅時間が来たのか次々と帰って行く。しかし、最後の一人が帰ってもその同じぐらいの年ぐらいの男の子は公園にいたのだ。私は驚き「えっ?」と声を出してしまった。その声に気づきその男の子と目が合ってしまう。その男の子は首を傾げた後こちらに向かってきて、私の座っている横に腰を下ろし「俺がどうかした?知り合いだっけ?ごめん。覚えてなくて。」と話しかけてきた。子供たちと遊んでいたので、誰かのお兄ちゃんだと思っていたら、皆子供たちが帰ってしまって驚いてしまったと正直に話した。「ああ、なるほど。違う、違う。たまたまそこの道を通りかかったら子供たちが喧嘩をしていたから俺が止めたんだよ。そしたら子供たちと仲良くなり遊んでいたんだ。」とのことであった。なるほど。っと思ったと同時に、その声に聞き覚えがあった。帽子を目深く被っており最初は気が付かなかったのだが、この声は私の大好きなあの人の声と瓜二つではないか??そう思い私は恐る恐る彼に尋ねた。
「違ってたらすみません。もしかして、あなたは声優の奥田 宏樹さんですか?」
「えっ?なんでわかったの?子供たちにも気付かれなかったのに。」
「やっぱり!私あなたの大ファンで!もしよかったらサインをいただけませんか?」
「俺なんかのサインでよければいくらでも」
と笑顔で答えてくれた。憧れのあの人にこんなところで出会えるなんて。嬉しくて、嬉しくて。普段では考えられない程積極的に話し、サインまでもらえることになるなんて。夢見心地ではあったが、サイン色紙がなかったため、あの人と出会うきっかけとなったアニメキャラクターのお気に入りのキーホルダーを持っていたので、それにサインをしてもらうことにした。初めて会った人とは思えない程親近感があり、気づくと私は初めてあったあの人に悩みを話してしまっていた。憧れの本人を前にあなたに会いたくて、あなたみたいに人に元気を与えられる人になりたくてというのは流石に恥ずかし過ぎて言えなかった。しかし、歌手になりたいのだと。だけど、親に言えるほど自信も実力もないので、進路をどうしたらよいのか迷っていると話した。あの人はたまたま出会ったファンの1人でしかない私の言葉に耳を傾け話を聞いてくれた。そしてアドバイスもしてくれた。
「俺の持論になるから、人によって考えかたも違うので、なんとも言えないけど、諦めるのは簡単にできる。出来ない理由を付けて逃げるだけでいいから。でも、逃げても、立ち向かっても人生は1度きり。俺は楽しんだもの勝ちだと思っている。俺も声優になりたくて沢山悩んだ。高校に上がる前に親に話した。親はそんな不安定な仕事はやめておきなさいと言った。でも、どうしても諦めたくなくて頼み込んだ。親は、高校にきちんと通って親の認める点数を取る事を条件に認めてもらえた。最初はサブの役に選ばれれば成功って感じで嬉しかった。嬉しかったからがむしゃらに頑張ってたら、主役が回ってきた。キャラクターのイメージが俺にピッタリだって作者が言ってくれたから。主役が回ってきてセリフが沢山あってってなったら、いままでより、もっともっと楽しくなってきた。それで、子供たちから、面白かった。元気もらえた。ってお便りが届くようになって、もっともっと頑張らないとなって思えた。自分が楽しんで演じていたから、それが子供たちにも伝わったんだと思う。諦めなかったから、今の俺がいる。失敗して後悔したり、諦めて後でしとけば良かったなって後悔したり。後悔するのは、老後とか後から沢山するから、今はとりあえず前に立つ壁に全力でぶつかっていくんだ。君は?辛くって立ち向かえないと思うのなら、ここで辞めるのも傷が小さくて済むし良い手だとは思うよ。どうする?」
あの人の言葉は私の中にすっと入ってきた。やっぱり、この人の声はずるい。また、涙がかってに溢れてきてしまう。
「わたしは、私はやりたい。今度は諦めたくない。私まだ何も頑張れてない。話しをきいてくれてありがとうございました。元気がでました。やっぱりあなたは凄いです。私頑張ってみます。」
女の子を泣かせてしまったと、私の横であの人は慌てていたが、私の方はすっきりとしていた。帰り際ふと思い出したようにあの人が話す、
「君の名前知らないなと思って。でも、あえて聞かないでおく。何も知らない俺が君の事を知るぐらいまで有名になって会いにきてよ。待ってるから。」
そのまま、あの人は笑顔で手を振り立ち去ってしまった。
「うん、待ってて。あなたと同じ舞台に立てるようになったら、名前を教えに行くから。そしたら、その時は私と友達になってくれますか?」と暗くなってきている空に向かいつぶやいた。
このままでは大学に進学ということになってしまう。しかし、親に言う勇気もなく一人で悶々と考える日々が続いた。少し人気が出てきて応援してくれるコメントもあるのだが、そうじゃないものもある。「プロにはなれない。所詮ここどまり。伸びしろがない。」というようなコメントも届くようになった。実際プロに比べて実力もまだまだなのも知っているがやはり落ち込んでしまう。家に籠っていても気分が落ち込むだけだったので、気分転換がてらいつも行くところとは違う公園へと足を運んだ。
公園では何人かの子供と、私と同じぐらいの年ぐらいの男の子が遊んでいた。この中の誰かのお兄ちゃんなのだろう。ぼーっと子供たちを見続ける。元気に遊びまわっており、悩んでるのがばからしくなりそうだ。そうして子供たちを見守っていると、帰宅時間が来たのか次々と帰って行く。しかし、最後の一人が帰ってもその同じぐらいの年ぐらいの男の子は公園にいたのだ。私は驚き「えっ?」と声を出してしまった。その声に気づきその男の子と目が合ってしまう。その男の子は首を傾げた後こちらに向かってきて、私の座っている横に腰を下ろし「俺がどうかした?知り合いだっけ?ごめん。覚えてなくて。」と話しかけてきた。子供たちと遊んでいたので、誰かのお兄ちゃんだと思っていたら、皆子供たちが帰ってしまって驚いてしまったと正直に話した。「ああ、なるほど。違う、違う。たまたまそこの道を通りかかったら子供たちが喧嘩をしていたから俺が止めたんだよ。そしたら子供たちと仲良くなり遊んでいたんだ。」とのことであった。なるほど。っと思ったと同時に、その声に聞き覚えがあった。帽子を目深く被っており最初は気が付かなかったのだが、この声は私の大好きなあの人の声と瓜二つではないか??そう思い私は恐る恐る彼に尋ねた。
「違ってたらすみません。もしかして、あなたは声優の奥田 宏樹さんですか?」
「えっ?なんでわかったの?子供たちにも気付かれなかったのに。」
「やっぱり!私あなたの大ファンで!もしよかったらサインをいただけませんか?」
「俺なんかのサインでよければいくらでも」
と笑顔で答えてくれた。憧れのあの人にこんなところで出会えるなんて。嬉しくて、嬉しくて。普段では考えられない程積極的に話し、サインまでもらえることになるなんて。夢見心地ではあったが、サイン色紙がなかったため、あの人と出会うきっかけとなったアニメキャラクターのお気に入りのキーホルダーを持っていたので、それにサインをしてもらうことにした。初めて会った人とは思えない程親近感があり、気づくと私は初めてあったあの人に悩みを話してしまっていた。憧れの本人を前にあなたに会いたくて、あなたみたいに人に元気を与えられる人になりたくてというのは流石に恥ずかし過ぎて言えなかった。しかし、歌手になりたいのだと。だけど、親に言えるほど自信も実力もないので、進路をどうしたらよいのか迷っていると話した。あの人はたまたま出会ったファンの1人でしかない私の言葉に耳を傾け話を聞いてくれた。そしてアドバイスもしてくれた。
「俺の持論になるから、人によって考えかたも違うので、なんとも言えないけど、諦めるのは簡単にできる。出来ない理由を付けて逃げるだけでいいから。でも、逃げても、立ち向かっても人生は1度きり。俺は楽しんだもの勝ちだと思っている。俺も声優になりたくて沢山悩んだ。高校に上がる前に親に話した。親はそんな不安定な仕事はやめておきなさいと言った。でも、どうしても諦めたくなくて頼み込んだ。親は、高校にきちんと通って親の認める点数を取る事を条件に認めてもらえた。最初はサブの役に選ばれれば成功って感じで嬉しかった。嬉しかったからがむしゃらに頑張ってたら、主役が回ってきた。キャラクターのイメージが俺にピッタリだって作者が言ってくれたから。主役が回ってきてセリフが沢山あってってなったら、いままでより、もっともっと楽しくなってきた。それで、子供たちから、面白かった。元気もらえた。ってお便りが届くようになって、もっともっと頑張らないとなって思えた。自分が楽しんで演じていたから、それが子供たちにも伝わったんだと思う。諦めなかったから、今の俺がいる。失敗して後悔したり、諦めて後でしとけば良かったなって後悔したり。後悔するのは、老後とか後から沢山するから、今はとりあえず前に立つ壁に全力でぶつかっていくんだ。君は?辛くって立ち向かえないと思うのなら、ここで辞めるのも傷が小さくて済むし良い手だとは思うよ。どうする?」
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