幸せの歌

幸せの歌

　私はそうして華々しくデビューを飾ったのであった。

　私は話題性もあり、休みが無くなるぐらいに色々な場所から出演依頼が殺到し、時の人となった。私は少しでも知名度を上げて、色んな人に元気を与えられる存在になりたいという目標があったため、バラエティー番組だろうが、地方の営業だろうが呼ばれればどんな物にも出演した。反響は多き過ぎてデビューからほとんど休みなく働いているため、結局卒業旅行にも行くことが出来なかったのはとても残念だった。

　その年の年末は紅白にも出場した。あの1年は自分で言うのもあれだが、私をテレビで観ない日はなかったのではないかと思うほどだった。しかし、すぐにはもう一つの夢であるアニメの主題歌を歌いあの人と再会することが出来なかった。しかし、何か目標は？と聞かれる度にアニメの主題歌を歌いたいと言っていたかいがあり、見事アニメの主題歌に抜擢された。そして更に奇跡が重なり、あの人がそのアニメの主役を勝ち取ったのだった。

　そうして、そのアニメは映画化されるほどの大ヒットとなり、私とあの人も再開することが出来たのだ。勿論連絡先も交換した。お互い顔は知っているものの、連絡先は知らなかったので、改めて連絡先を交換した時は笑ってしまったのも良い思い出だ。

　連絡をちょこちょこ取り合うようになり、彼も私も甘いものが好きという共通点もあり何度かカフェデートを重ねた。そんなある日彼から「結婚を前提にお付き合いしてください」と言われ付き合い始めた。

　私も彼も多忙であまり会う事が出来なかったが、出来るだけ時間を作る努力はした。しかし、それでもあまり会う事が出来なかったので同棲をしようかと話していたのだが、彼が「これから先も君以外の人は考えられない。遅くても早くても一緒なら、結婚してくれない？」と少し変わったプロポーズをしてくれ私達は結婚することとなった。

入籍を済ませ、色んな人達に報告も終えた。世間でも、しばらくはそのニュースで持ち切りであった。


そして、今日いよいよあの人との結婚式だ。
一時期は世の中に絶望し、引きこもりだった私。そんな私に夢や希望を与えてくれたのは彼だった。落ち込んで、めげそうになった時に励ましてくれたのも彼だった。私には彼が必要。そして、彼にも私がそういう存在であれば良いと思う。これから先も辛い事に出会うと思うけれど、彼と一緒ならそれも乗り越えて行けると思う。

私はこの日の為に作っていた新曲を披露した。その曲の名前は「幸せの歌」




ーFINー