花屋の息子

きの

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7 みんなでご飯

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畑に何やら沢山埋まっている食べ物たち。
なんかちょっと見たことあるような……でもちょっと違うよな……?ラインで見覚えのある野菜たちが畑のそばに収穫されてある。


「この食べ物たちに見覚えはあるか?これは…で、これは…というんだが、葉だけを食べるんだ。茎は固くて普通は食べない。そっちに植えてあるのはまだ収穫シーズンじゃない野菜だ。スープにすると美味い」


ダリさんの丁寧な説明を聴きながら、シエルさんの丁寧な作業を真似して野菜を引っこ抜く。
ついている土を払ってあげると鮮やかな緑が現れた。なんか、レタスとかキャベツっぽい。いや、触った感じ柔らかいからどっちかっていうとレタス寄りか…?


「イオリ兄様、お野菜食べられる?」

「ん?そうだな、大体は食べられるよ。にがーいものは苦手だけどね」

「ほんと?じぇしかと、一緒!にがいのは、キライ!!」


小さい子っぽいなぁ。俺も園児のお昼ご飯タイムに花壇の水やりしに行った時、阿鼻叫喚だった気がする。これはやだあれはやだで校庭まで逃げ出す子もいたっけ。パワフルだったなあ。


「でもね、じぇしかがきらいなお野菜はね、多くないの。ちゃんと食べられるようにがんばってるの!」


しっかりとしていて慣れた動きで野菜をぽんぽん収穫していきながら語るジェシカ。
こんな小さなうちから苦手克服とか偉すぎだろ。俺の友達に見習わせたい。偉すぎ。

溢れた気持ちに思わず汚れた手を拭って頭をぽんぽんと撫でてあげると、ジェシカはぽかんとこちらを見あげた後、「へへへへ……」とはにかんだ。


いやかわいすぎだろ。



「俺たちの子供たちがかわいい」

「相性良さそうでよかったわ~」




「暗くなってきたし、寒くなってきただろ。そろそろ家に入ってご飯だぞー!」


ダリさんの言葉で収穫はおしまい。
お喋りしながらの作業だったからそんなに量は穫れてない気がしたけど、これでも明日の朝ごはんの分までしっかりあるらしい。
一気に多く取りすぎても長く保存ができないから適量を収穫することが大事だってダリさん。
この世界には冷蔵庫とかないのかな?

あと、今まで忘れていたけど、日本で見たアニメや漫画では、異世界転移とか異世界転生には魔法がつきものだった。
この世界にもあるのかな...。

気になったけれど、そこでまた「魔法って何?」とか聞かれるとめんどくさいから、まだ聞かないことにした。魔法の説明とかよく分かんない。


みんなで収穫した野菜を抱えて、家に戻って夜ご飯。
野菜たっぷりのシチューのようなものに、パンをつけて食べる。
うん、元の世界と比べてそんなに食文化の違いがなくて良かった。


「イオリは、どんなものを食べていたんだ?」

「ええっと、お米っていう穀物を炊いて食べてました。それが主食だったんです。でもこのパンも食べてました」

「オコメ...か。世界中の食べ物を知り尽くしていないからこの世界に絶対ないとは言えないが、今まで聞いたことがない食べ物だな...」


や、やっぱり。でもパンは通じるんだ。


「……イオリ兄様、おいしい?」


主食が違う、という話をしていたからだろうか。
隣で食べていたジェシカが聞いてきた。
なんて賢いんだこの子は、天才か?いやお姫様だから賢いに決まってるけど。


「うん、おいしいよ」


俺のその言葉を聞いて安心したのか、ほっとした顔になって食事を再開するジェシカがかわいくて、食事中というのに、思わず頭を撫でてしまった。













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