追放、転生、完璧王子は反逆者!!!

ぱふもふ

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第三章反逆王子

軋轢

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「聞こえたかな?そういうわけですので義兄上には我ら獣王国の宣戦布告の使者となってお帰りいただきます。」

そういってルイナが運んできた葡萄ジュースを飲む。

「ななな…何を言っておるの…だ?」

(宣戦布告だと?エラクレスが?追放者が?下民が?娼婦の子が?)

フェンネには全く理解ができなかった。

「宣戦布告の使者として帰ってもらうと言っているのです。生き長らえて良かったですねw。」

(ああ、良いぞ。この想像と現実との圧倒的な差の前に理解が追いついてない感じ、ああ!最高だ。)

エラクレスは目の前の景色に優越感をおぼえた。

「おおお、おい!エラクレス!そんなことが許されると思っているのか?!貴様は下賤な娼婦の子であり、王家の恥晒しなのだぞ!そしてこの王太子次期王の俺に僻地に追放されたのだぞ!」

ようやくエラクレスの言葉の意味が理解できたのかフェンネは捲し立てる……が。

「そういう類の言葉はもう聞き飽きた。連れて行け。」

控えていたゴブキン等がフェンネを掴んで無理やり連れて行こうとする。

「貴様は俺より圧倒的に下。下の下の下なのだ!それが…ま、待て!やめろ!俺は王太子だぞ!離せ!離…」

「おっと!大事なことを忘れてた!義兄上には生きて帰ってもらいますが、流石に侵略者にお咎めなしだとおかしいので、義兄上の鞭打ちツアーをやろうと思うので、心の準備をお願いします。ご安心を、他の捕虜も一緒ですので寂しくないですよ。」

「なんだと!この俺を鞭打ちだと?!許さ…」

バタン!

さらっととんでもないことを宣言するエラクレスに反論たわごとを最後まで言うことを許されずフェンネは連れ去られてしまった。

(さて、俺と龍たちにかかればネリーキア王国など一瞬で片付くが、それだと普段の魔物討伐と変わらないし、『王』である意味がない。『王』としてやはり大軍勢を率いなくてはな。)

「フィリク!」

「ここに!」

「キナーモら行政官や守備軍の諸将に戦の準備をするように命じよ。獅子王と虎王には俺が直接言っておいてやる。やられっぱなしじゃ癪だ。こうなったらこちらから攻め込んでやるぞ!」

「はっ…承知しました。」

今のは普段ハキハキと返事をするフィリクらしからぬ間であった。

「不満か?ネリーキア王国に楯突くのは?」

「いえ…決してそのようなことはございません。」

…と頭をさげたまま言うフィリク。彼の手は衣服を掴んでいた。

(『真偽判定』…『真』か。つまり、戦うことに異存は無し、か。ちょっと意外だな。転生者の俺とは違い、故郷に思い入れが強そうな気ごするが…まあ、良いとして、それじゃあ他のことに不満があるのだな。……カマをかけるか。)

「俺に嘘は通用しないことは知っているな?正直に話した方が信頼が揺るがないぞ。」

「この地に来た時に私は『エラクレス様の為されることに口を挟まぬ。』と申し上げました。」

「フィリク…真面目なのは結構だが、主君の求めに応じないのも考えものだと思わぬか?」

(ここまで俺に対して頑ななのは初めてだ。)

などと少しだけ驚きながらフィリクの返答を待った。しばらくすると意を決したのか話し始めた。

「それでは『申せ』と命じられたと思って申し上げます。私はエラクレス様の臣下であります。その御領地を侵す外敵を打ち払うことに何の異存もありませぬ。」

そこでフィリクは区切った。その隙にエラクレスは『真偽判定』を行うと結果は『真』であった。

「しかし、敵とは言え騎士の道に背くようなことは為されるべきではございません。大変申し上げにくいことですが、この度のなるものはいかがなものかと。いかに敵が憎くとも敗者を必要以上に嬲るのは賛同しかねます。」

(『真』…『真』…『真』…)

諫言を続けるフィリクに継続して判定をするエラクレス。

「なるほど、お前の求めることはわかった。つまり、騎士道にもとづいて鞭打ちツアーをやめたら良いのか?」

「いえ…まだございます。」

「申してみよ。」

「………この度の戦も従来通り獣人達を動員なさるのですよね?」

フィリクの声は少し震えていた。

「そうだ。彼らの前で大見得を切ったのだし、彼らも戦いたがっている。それが問題なのか?」

(フィリクの言った通り今までも、と言っても一度だが、彼らを率いて戦って来た。今更なにが問題なのか。)

「恐れながら…彼らは騎士ではありませぬ!」

フィリクは強い口調で言い切った。

(あ~ね。やっとわかったよ。すっかり忘れてたよ。フィリク…お前は変わらないな。)

「騎兵と騎士って違うのよね?」

「あ~の~フィリク殿?騎士とはよくわからぬが、ビース都に居た頃に主君と神への忠誠を誓う者と聞いたが、主君からの叙任が必要なのであろう?」

「そもそも我らには騎士という身分制はないのだから、騎士ではないのは当然ではないか。獅子人は例外だが、獣人の多くは…例えば虎人や豹人、狼人は部落の長が部落をまとめ、それを部落の者が一丸となって支えて厳しい環境を生き延びる。その上に君臨するのが諸王であり、更に上にいらっしゃるのが我らが獣王陛下だ。何を今さら。」

フィリクの言に困惑したエカ、メリア、グリゼルダは各々疑問を口走る。

「騎士に求められる行いの中に『弱者への慈悲』があります。」

「「「ああん?じひぃ?なんでぇ?」」」

ネリーキア騎士の説明を始めるフィリクであるが、あまりエカ達に響かないようだ。

「人を豊かにする強大な力の持つ者の下に多くが集う。弱者は何も言わず強者に従えば良いのだ!」

「そ…そそそ、そして…弱きに上に立つ……資格は…ない。ただ…強者に縋るだ…け…。」

「まあ、その強者が慈悲をかけたければ勝手すれば良いだけですけどね。があるわけ、ですから。」

(結局、誇り高いジークリンデと亡国の女王であるバルデグンドどころか、人族のルイナにも響かないようだ。ところで…)

「何も言わないどころか、ビービー喚いて従わなかった奴が何言っているんだ?」

「え!ええっとう…その…。」

奴隷服(上下一体で横から色々見える服)を着て仁王立ちして講釈垂れる姿にふと違和感を感じたから意地悪をしてしまうエラクレス。返答に困ってモジモジするジークリンデ。

「わかってる大丈夫だ。」

そう言うとほっとした表情になった…

ところを…

「い!イギギギギ!」

微量の電流を流され悶絶するジークリンデ。

「ハハハッ!引っかかったな。まあ、やってみたかっただけなんだけど。」

「エラクレス様!」

(おっと、ふざけすぎたようだ。フィリクが怒っている。)

「わかってる。だが、獣人を使わない事はできないし、軍紀を引き締めることもしない。」

エラクレスはきっぱりと言い切った。

(ここまで本気でぶつかり合ったことはないかもな。)

「な、なぜでございますか?!」

信じられないと言うように言い放った。ほぼほぼ反射的に言ってしまったのだろう。

だが…その瞬間…




















この場の空気は一気に氷付いた。




その空気を放つ元凶…エラクレスは先ほどまでの鞭打ちツアーを宣言したり、電流を流したりしていた悪戯な笑顔は消え失せ、傲慢で見る人をゾッとさせるような笑顔をしていた。

「蹂躙がしたいから。」

エラクレスはゆっくりと言った。

「な…なんとおっしゃります?」

その声がフィリクに届くと冷たい空気のことなど忘れ、思わず自分の耳を疑った。

「圧倒的な力で反抗的な勢力や人を叩き潰すのが楽しい。そもそも気になっていたのだが、騎士道とは守る価値があるのか?傭兵となった冒険者はおろか、騎士爵や準男爵、果ては戦術の名目で荒らし回る侯爵、伯爵は挙げればきりがないぞ。」

(まあ、騎士道って守ることが名誉であって称賛されるけど、守らない奴の方が多いから、守らなくても多少評判が下がるだけなんだよね。)

しかしフィリクは諦めない。

「なりませぬ!なりませぬぞ!彼らは騎士の恥であり、または止むを得ずその道に墜ちてしまった悪い例です!エラクレス様はヴァロワ公爵であられます。その上!神々より与えられた並ぶ者なき才覚の持ち主であり、その御力は御自身の願望を叶えるためのみに使われるべきではありませぬ!」

猛弁を続けるフィリク。ここでエラクレスはふと思いついた。

(神々…ね…。)

ますます傲慢な表情を深めた。
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