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終章 婚約者はマッチョ騎士!
230、愛を誓うふたり
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「オリビア嬢? さっきぶりだね。今日はここに泊まっていくの?」
アレキサンドライト家に到着したオリビアを出迎えたのは、王宮で別れたはずのレオンだった。予想外のことに驚き口をパクパクとさせていると、彼の背後からアレキサンドライト家の三男、サイラスが現れる。
「オリビアお義姉様、いらっしゃい! レオンから聞いたよっ。婚約おめでとう!」
「ありがとうございます、サイラス様」
屈託のない笑顔と祝いの言葉に微笑み礼をした。
夕食まで少し時間があったので、着替えに行くと言うリアムとは別行動することに。執事頭のアンドレに案内され、荷物を置きにゲストルームへ向かった。
「本日はこちらの部屋をご使用ください。何かあればお申し付けを」
「ありがとう。本日もお世話になるわね」
アンドレが去り、大きく息を吐いて、ソファに沈み込んだ。
「オリビア様、お疲れ様でした。それから、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう、リタ」
「まさか、レオン殿下までいらっしゃるとは思いませんでしたね」
「そうね」
リアムに誘われ、オリビアは学院の寮に待機していたリタを迎えに行き、アレキサンドライト家までやってきた。
明日送るということは、今日は泊まっていってほしいということだ。
せっかく正式な婚約者になったのだから夕食くらい一緒にと思っていたが、いきなりお泊まりコースになって焦り、リタを連れてきたのだ。ちなみにジョージにも声をかけたが、ニヤニヤと不快な笑みを浮かべ「いってらっしゃい」と言うので置いてきた。あれは明らかにからかっている目だった。思い出すと若干腹が立つ。
「きっと私が寮に戻っている間に、アレキサンドライト家に向かっていたのね。サイラス様とレオン殿下は友人だから」
「皆様と一緒に夕食だなんて、緊張しますね。がんばってください」
「ありがとう」
夕食はアレキサンドライト家の家族が全員揃い賑やかなものとなった。オリビアは婚約について祝福され、改めて彼らの家族になる日が待ち遠しく思った。
夕食も終わり、各々が談話室や自室で過ごそうと食堂を出る。自分はどうしようかと思っていたところ、リアムに声をかけられた。
「オリビア嬢、散歩に行かないか?」
「はい、ぜひ。ご一緒いたします」
オリビアは頷いてリアムの後をついていく。その道順には覚えがあった。しばらく歩くと鉄製のドアが出迎える。
「わあ、相変わらず綺麗です」
「今日は先にランプを置いておいたんだ。さあ、手を出して」
リアムの手を取り、庭の中を歩く。優しい光を放つオーナメント、虹色に煌めく噴水。秘密の裏庭は以前と変わらず幻想的で美しかった。
「今日までいろいろと忙しかったな。オリビア嬢、君は本当によくやったと思う」
「ありがとうございます。リアム様こそ、いろいろお力になっていただき感謝していますわ。あなたがいなければ、私もこの国も無事ではなかったでしょう」
「この場所で誓ったからね。私の力が必要な時は、何をおいても馳せ参じ共に困難に立ち向かうと」
「リアム様……」
ゆっくりと歩いていた足を止め、リアムが向かい立つ。彼に合わせて立ち止まり顔を見上げると、彼の笑顔が待っていた。優しい瞳にめいっぱいの愛情が溢れている。
「オリビア嬢、今日、指輪は持ってきている?」
「はい。いつも肌身離さず持っています」
オリビアはネックレスに通していた指輪を外し、リアムに渡す。彼はそれを受け取り、その場に跪いた。
「正式に婚約できたから改めて言わせてほしい。少し突っ走りすぎるところも、一生懸命で真っ直ぐなところも、照れ屋なところも、君の全てが愛おしい。オリビア・クリスタル伯爵家令嬢、この私、リアム・アレキサンドライトと生涯の伴侶になってください」
「はい。よろしくお願いいたします。私はリアム様を愛しております」
オリビアは薄紫の瞳を涙で揺らしながら、左手をリアムの前に出した。
「指輪をつけていただけますか?」
「もちろん!」
左手の薬指に大きな赤い宝石が輝く。この日をどんなに待ち侘びたことか。ほんの数ヶ月のことなのに、その間に起きた様々なことがオリビアの脳裏をよぎり感極まる。胸から溢れる思いが、涙になって流れ続けた。
「来春は君もまだ学生だし姉の結婚もある。だからその次の年の春、君が学院を卒業したら結婚しよう」
大きな手で涙を拭い、リアムがオリビアを抱きしめた。温かい腕の中で、彼の胸の鼓動に耳を傾け、幸せに浸る。
「はい、喜んで」
両腕を彼の背中に回す。この先二度と離れることがないようにと願いを込め、オリビアは精一杯の力で愛しい婚約者を抱きしめた。
>>最終話へ続く
アレキサンドライト家に到着したオリビアを出迎えたのは、王宮で別れたはずのレオンだった。予想外のことに驚き口をパクパクとさせていると、彼の背後からアレキサンドライト家の三男、サイラスが現れる。
「オリビアお義姉様、いらっしゃい! レオンから聞いたよっ。婚約おめでとう!」
「ありがとうございます、サイラス様」
屈託のない笑顔と祝いの言葉に微笑み礼をした。
夕食まで少し時間があったので、着替えに行くと言うリアムとは別行動することに。執事頭のアンドレに案内され、荷物を置きにゲストルームへ向かった。
「本日はこちらの部屋をご使用ください。何かあればお申し付けを」
「ありがとう。本日もお世話になるわね」
アンドレが去り、大きく息を吐いて、ソファに沈み込んだ。
「オリビア様、お疲れ様でした。それから、ご婚約おめでとうございます」
「ありがとう、リタ」
「まさか、レオン殿下までいらっしゃるとは思いませんでしたね」
「そうね」
リアムに誘われ、オリビアは学院の寮に待機していたリタを迎えに行き、アレキサンドライト家までやってきた。
明日送るということは、今日は泊まっていってほしいということだ。
せっかく正式な婚約者になったのだから夕食くらい一緒にと思っていたが、いきなりお泊まりコースになって焦り、リタを連れてきたのだ。ちなみにジョージにも声をかけたが、ニヤニヤと不快な笑みを浮かべ「いってらっしゃい」と言うので置いてきた。あれは明らかにからかっている目だった。思い出すと若干腹が立つ。
「きっと私が寮に戻っている間に、アレキサンドライト家に向かっていたのね。サイラス様とレオン殿下は友人だから」
「皆様と一緒に夕食だなんて、緊張しますね。がんばってください」
「ありがとう」
夕食はアレキサンドライト家の家族が全員揃い賑やかなものとなった。オリビアは婚約について祝福され、改めて彼らの家族になる日が待ち遠しく思った。
夕食も終わり、各々が談話室や自室で過ごそうと食堂を出る。自分はどうしようかと思っていたところ、リアムに声をかけられた。
「オリビア嬢、散歩に行かないか?」
「はい、ぜひ。ご一緒いたします」
オリビアは頷いてリアムの後をついていく。その道順には覚えがあった。しばらく歩くと鉄製のドアが出迎える。
「わあ、相変わらず綺麗です」
「今日は先にランプを置いておいたんだ。さあ、手を出して」
リアムの手を取り、庭の中を歩く。優しい光を放つオーナメント、虹色に煌めく噴水。秘密の裏庭は以前と変わらず幻想的で美しかった。
「今日までいろいろと忙しかったな。オリビア嬢、君は本当によくやったと思う」
「ありがとうございます。リアム様こそ、いろいろお力になっていただき感謝していますわ。あなたがいなければ、私もこの国も無事ではなかったでしょう」
「この場所で誓ったからね。私の力が必要な時は、何をおいても馳せ参じ共に困難に立ち向かうと」
「リアム様……」
ゆっくりと歩いていた足を止め、リアムが向かい立つ。彼に合わせて立ち止まり顔を見上げると、彼の笑顔が待っていた。優しい瞳にめいっぱいの愛情が溢れている。
「オリビア嬢、今日、指輪は持ってきている?」
「はい。いつも肌身離さず持っています」
オリビアはネックレスに通していた指輪を外し、リアムに渡す。彼はそれを受け取り、その場に跪いた。
「正式に婚約できたから改めて言わせてほしい。少し突っ走りすぎるところも、一生懸命で真っ直ぐなところも、照れ屋なところも、君の全てが愛おしい。オリビア・クリスタル伯爵家令嬢、この私、リアム・アレキサンドライトと生涯の伴侶になってください」
「はい。よろしくお願いいたします。私はリアム様を愛しております」
オリビアは薄紫の瞳を涙で揺らしながら、左手をリアムの前に出した。
「指輪をつけていただけますか?」
「もちろん!」
左手の薬指に大きな赤い宝石が輝く。この日をどんなに待ち侘びたことか。ほんの数ヶ月のことなのに、その間に起きた様々なことがオリビアの脳裏をよぎり感極まる。胸から溢れる思いが、涙になって流れ続けた。
「来春は君もまだ学生だし姉の結婚もある。だからその次の年の春、君が学院を卒業したら結婚しよう」
大きな手で涙を拭い、リアムがオリビアを抱きしめた。温かい腕の中で、彼の胸の鼓動に耳を傾け、幸せに浸る。
「はい、喜んで」
両腕を彼の背中に回す。この先二度と離れることがないようにと願いを込め、オリビアは精一杯の力で愛しい婚約者を抱きしめた。
>>最終話へ続く
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