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大人たちの夏
夏帆とくまさんの場合(1/1)※
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モモと穂高さんの仲、本当によいのでは?と感じていた私がコテージのロフトから降りるのをちょっとだけ躊躇っていれば外のテラスから戻ろうとしたくまさんも私と同じ考えだったようで目と目が合っちゃった。
頷くくまさん、頷く私。
くまさんと暮らし始めてからこんなアイコンタクトを交わす機会が増えていた。物静かだけど決断力のあるイイオトコのくまさん。そんな彼の生き方が私は大好きだった。
・・・
モモと三人でビアガーデンに行きたい、と私が言い出した時の話。
珍しく「俺の同僚を呼んでも良いか」とくまさんに聞かれて、その人物がくまさんとよく飲みに行っている穂高さんだと知って了承する。くまさんの交友関係は広く、その中でも穂高さんは仕事の相棒なのだと頼りにしている存在。
実直なくまさんが信頼している人ならウェルカムだし……モモが恋愛から離れてちょっとだけ、時間が経っていた。
私みたいな大失恋じゃなくて、モモなりに考えがあっての事だったから私はそれに突っ込まなかった。
高校生の時から一緒なんだもの、親友の性格はお見通しだ。
最近暑くて夜も飲みに行って無かったから違う人と知り合う機会も減っていたし、良い気分転換になるかもなーって思っていた。
・・・
それで、当日。
美味しそうにビールを飲むモモを初めて見た時の穂高さんの表情。
惚けちゃって、分かるよ。モモは可愛いんだもの。
きゅっと上がった目尻は私からすればチャームポイントなのだと本人にはしつこく言わないけれど猫の目みたいで良いな、と思っている。
だって猫、可愛いじゃん。モモ、可愛いし。
サングラスだって似合ってるし、効果倍増じゃん。
「ねーくまさん」
その日の夜、買って来たお惣菜と炊いたご飯で夕食を済ませてお風呂も終わって。
ソファーに横になっていたくまさんの下、そのソファーに寄りかかってラグの上に座っていた私は振り向いて、問う。
「モモと穂高さん、どう思う?」
「ん?ああ……」
くまさんでもゆったり寝ころべる大きなソファー。
ごろりと仰向けになったくまさんは「そのことなんだが」とあまり回りくどい事をしない人が「ひょっとすると二人は気が合うんじゃないか、と見ていて思ってな」と言う。
くまさんにしてはなんか珍しいこと言ってるけど声の感じが少し、重い。きっとくまさんには何か考えがあるのかも、とくまさんの方に向かって座り直す。
ちゃんと聞くよ、の私の姿勢を見たくまさんは「穂高もな、よくよく話を聞いたら昔、フラれたようなんだ」と話を始める。
「確かにその時は人手不足で仕事も忙しかったがまあ、そうなってしまったからには相性が合わなかったんだろう」
「世の中、優しい人の事を物足りないとか言う贅沢なヤツもいるからねえ……見た感じ、穂高さん良さそうだったからさ。モモって一人でなんでもやっちゃうから、たまには甘えていいんだよーって言うか、お試しの恋愛してみたって……て、自分勝手に考えちゃった……」
どう言葉にしたら良いのかわからなくて語尾をしぼませならソファーの座面とくまさんの背中の間に手を突っ込む。
「くまさん」
「ん?」
「くまさんは、二人にはどうなって貰いたい?」
「……穂高も桃ちゃんも共通の友人として楽しくやっていけたら、と最初は思っていたんだがあの二人の感じを見ていたらな」
「お節介なこと、したくなっちゃった?」
普段、野暮な事をしない彼が頷く。
それくらい、くまさんは穂高さんの事を頼りにしている証でもある。
私がモモの事をずっとの親友だと、何でも話せる大切な人だと思っているのと同じで。
「今度の旅行さ……モモ、断って来ると思うんだよね」
「桃ちゃんならそうするだろうな」
「うん。でも、それならもうさ」
「穂高も誘うか」
「流石くまさん話が早い!!好き!!」
べしょ、とくまさんのお腹に上半身を乗せる。
「ぐへへ……」
「お前その笑い方、外でやってないだろうな」
「大丈夫、モモとくまさんの前だけ……ぐふふ」
だって、口がにやけちゃうんだもん。
これは絶対にもモモを誘わなきゃいけない。
「くまさんも穂高さんのことよろしく」
おう、と頷くくまさんがわしわしと私の頭に悪戯をしてくるので私も応戦してくまさんのお腹にぐりぐりと顔を押し付ける。
半分は遊びみたいなもので、もう半分は……したい、かも、と言う期待。
その気になってくれたら良いなーって上半身を乗せたままごろごろとくまさんのお腹を両手で押したりしていればさっきまで一緒に見ていたテレビの投稿動画特集を思い出したのか「猫か」と言われた。
くまさんのお腹が大好き。
がちがちの筋肉じゃなくて程よい脂肪と、程よい筋肉。
くまさん曰く「俺が太ったらその辺で買える服が無くなる」と言って最近は穂高さんが通っているらしいジムにもたまに行っている。
「腹を揉むな」
「だって、なんか」
そんな気分なんだもの。
くまさんに触っていたいから、誘ってるんだもの。
「起きろ」
「やだ」
「ここじゃゴムがない」
なら起きる。
ばっとくまさんから体を離して一目散にベッドに向かって座ればすぐに来てくれたくまさんが思いっきり私のことを押し倒した。
「わ、ちょっと」
「夏帆」
「ん……ん?」
割りこまれて広げられた足の間に当たったくまさんの物の大きさがいつもと違うような気がして疑問符が浮かぶ。私たちはいつもこんな感じで始まるのに今日はおっきいな、と思っているとちょっと擦りつけられた。
「どしたの、くまさん」
「わからん」
だが、と自分の物を確認しているくまさんもどうして今日はそんな事になっちゃってるのか不思議そうにしている。
キスしようよー、と不思議そうにしているくまさんの首に抱きついてみてもくまさんは納得していない様子だった。
「まだお前に触ってもいないのにな」
「まあ私がお腹をこねてたけどね……興奮した?」
「腹を揉まれただけでコレか」
軽く息をつくくまさんの口角が少し上がる。
「……それ、反則」
本人は気が付いてないみたいだけど普段はしっかりフェイスのくまさんが私にだけ見せてくれるらしいその、ちょっとエッチな顔のギャップ。
初めて見たときは焦ったなー。
そう言うの、すごく好きなんだもの。
「少し浮かせろ」
「ん」
寝間着だった膝丈のコットンパンツを中のショーツごと豪快に脱がされて、ついでに上半身も同じようにあっという間にTシャツもおやすみブラも取っ払われて裸になってしまえばくまさんも着ていたシャツを脱ぐ。
そう、その体。
くまさんに抱きしめてもらうとそれだけでちょっと、ヤバいのだ。
「夏帆」
名前を呼んでくれる声が好き。
それでそのまま優しくキスをしてくれるくまさんが大好き。
「むぐ」
「変な声出すな」
これからもっと出ちゃうのに?
私はちょっとアレなオンナかもしれないけど、彼は気にしてない。私は他の子より性欲が強い、と自分でも分かっていて――正直、求めすぎて失敗してしまった事もある。
だって、好きな人とぴったりくっついて、一緒の時間を過ごせる幸せは……いっぱい欲しい。
それで失敗してしまった時のダメージから、私は前の人とレスになっていた。
すごく、怖かった。
だからあっけなく捨てられちゃったのも、その人に新しい女の子が出来たのも、自業自得なんだって思ってた。その子はきっと、私みたいな事はしないんだな、って。
それから暫くして出会ったくまさん。
モモにも大丈夫かな、って確認を取ったくらいに恐るおそるお付き合いを初めて……いざ、そう言う雰囲気になった時。
怖くなって、泣いた。
号泣した訳じゃ無いけど、涙が滲んでしまったらくまさんが慌てて体を引こうとして、でもそれはイヤで。くまさんといっぱいしたい、と言う気持ちはあるのに過去の事を引きずっているのだと裸のまま正直に伝えた。
萎えちゃうかもしれない、冷めちゃうかもしれない。
でもくまさんになら打ち明けてもいい、とその時は思った。
「まだ怖いか」
「え、」
「不安そうだった」
くまさんは優しい。
そして、そんな私を受け入れてくれた。
「乗るか?」
「……うん」
あぐらをかいて座り直してくれたくまさんの上に抱き付けばくまさんはしっかりと私の背中に腕を回して、それで。
「んんッ……」
ゆっくりと腰を沈める私を待って、支えてくれている。
「ぜんぶ、入った……?」
「まだだな」
不思議。
今日、全然感覚が分からない。
いつもよりくまさんがおっきいから?それとも、もしかして私も結構アレな日?暑さとアルコールでやられちゃった?
「夏帆、少し力を抜け」
「ん……ッ」
返事をする前に口を塞がれてしまった。
舌先が少し私の事を探るように、しばらく離してくれない。
そして変な体勢のままの私は耐えられなくなって自然とくまさんの事を全部、収める。
「夏帆」
「ん……?」
「支えてやれないから、しっかり掴まってろ」
あ、と息を飲んだのに声が出る。
私から手を離して後ろ手に手をついたくまさんの激しさについて行けなくなる。
「や、ちょっと……ッ、これ」
肌と肌がぶつかり合う音が凄くて、揺れる体をどうにか崩れてしまわないように必死になって、たたみ掛けられるように息をする間もくれないようなくまさんの衝動に何も考えられなくなる。
「待っ、て……いっちゃう、やだ……ッあ、あ」
音と、くまさんの獣みたいな呼吸と、どうしようもできない私の声だけがある。
「夏帆……ッ」
「やだ、やだ……っ、まだ、」
いきたくない。
終わっちゃうの、やだ。
それなのに、今日のくまさんは。
呼吸が整わない。
くまさんに縋ったまま肩で息をする私はあれ?とやっとくまさんの状態に気が付いた。
「くまさ……ん、まだいって、ない?」
「そう言う日、らしいな」
「ひ、ッ……う、」
もう凭れかかっている私の体をそのまま抱いてごろんと上手に上下が入れ替わるとくまさんが再び、ずくずくと揺れ動き始める。
そうなんだ、そう言う日なんだ。
「まだ行けるか?」
問いかけて来るくまさん。
「もち、ろ……」
やっぱりだめ!!と思わせるような事をしてくるくまさんの肩を掴んで、その激しさに揺れる。揺れ続ける。
私が先に呆気なくいっちゃえばくまさんも流石に身震いをしていた。
「うう……くまさん、ぬいて……」
こんなの駄目だよ、と言う私の顔はきっとだらしない。
待ってろ、とゆっくり、優しく引き抜くその瞬間まで止まらないお腹の淡い余韻にくまさんが頭を撫でてくれて、それで。
私とくまさんは体の相性もすごくいい、らしい。
「あまり二人に期待しすぎるなよ」
「うん。それはちゃんとする」
「俺も」
ぽんぽん、と頭を撫でてくれるくまさんの胸元に顔を擦りつける。私はこんな風にゆっくりする時間も大好きだった。
・・・
夏の終わりのビアガーデン。
私の目の前には浴衣姿のモモがいる。その隣には同じく浴衣姿の穂高さんがいて、モモがのぼせてしまわないか体調の事を時々心配していた。
妬けるぜ、と思った所で私も……モモにそんな思いをさせてしまっていたのかもしれない、と今更ながら反省する。ちょっと、無神経に誘い過ぎたかもしれない。
「ねえ夏帆、くまさんも」
モモがちら、と穂高さんアイコンタクトをする。
「もっと涼しくなったら、また四人で旅行に行かない?今度は私たちがエスコートするから」
笑っているモモ、綺麗になったな。って言うかフェイスパウダー替えた?浴衣姿の今日は一段と輝いて見えるよ。
隣の穂高さんに「色々プランを用意してるんですよね」と笑い掛ける目もとが本当に素敵で。
やっぱり妬ける。
「モモ取られちゃったー!!」
家に帰ってからくまさんに泣きつく。
俺も穂高を取られてしまったようだ、といきなり私を担ぎ上げてずんずんとお風呂場に連れて行くくまさん。
「浴衣、来年は買うか?早い内ならイベント事にも間に合うだろう」
「え、え?」
「風呂、入るぞ」
このまま二人で、お風呂に?!
「と言うことは……」
「あまり派手に騒ぐなよ。風呂場は防音じゃない」
この声の感じは、もしかしなくても。
ぐへへ、とにやけた笑い声が出そうになってぎゅっと口を噤む。
脱がして、脱がされて。
私たちの熱はまだ、冷めない。
おしまい。
(次のおはなしにつづきます⇒)
頷くくまさん、頷く私。
くまさんと暮らし始めてからこんなアイコンタクトを交わす機会が増えていた。物静かだけど決断力のあるイイオトコのくまさん。そんな彼の生き方が私は大好きだった。
・・・
モモと三人でビアガーデンに行きたい、と私が言い出した時の話。
珍しく「俺の同僚を呼んでも良いか」とくまさんに聞かれて、その人物がくまさんとよく飲みに行っている穂高さんだと知って了承する。くまさんの交友関係は広く、その中でも穂高さんは仕事の相棒なのだと頼りにしている存在。
実直なくまさんが信頼している人ならウェルカムだし……モモが恋愛から離れてちょっとだけ、時間が経っていた。
私みたいな大失恋じゃなくて、モモなりに考えがあっての事だったから私はそれに突っ込まなかった。
高校生の時から一緒なんだもの、親友の性格はお見通しだ。
最近暑くて夜も飲みに行って無かったから違う人と知り合う機会も減っていたし、良い気分転換になるかもなーって思っていた。
・・・
それで、当日。
美味しそうにビールを飲むモモを初めて見た時の穂高さんの表情。
惚けちゃって、分かるよ。モモは可愛いんだもの。
きゅっと上がった目尻は私からすればチャームポイントなのだと本人にはしつこく言わないけれど猫の目みたいで良いな、と思っている。
だって猫、可愛いじゃん。モモ、可愛いし。
サングラスだって似合ってるし、効果倍増じゃん。
「ねーくまさん」
その日の夜、買って来たお惣菜と炊いたご飯で夕食を済ませてお風呂も終わって。
ソファーに横になっていたくまさんの下、そのソファーに寄りかかってラグの上に座っていた私は振り向いて、問う。
「モモと穂高さん、どう思う?」
「ん?ああ……」
くまさんでもゆったり寝ころべる大きなソファー。
ごろりと仰向けになったくまさんは「そのことなんだが」とあまり回りくどい事をしない人が「ひょっとすると二人は気が合うんじゃないか、と見ていて思ってな」と言う。
くまさんにしてはなんか珍しいこと言ってるけど声の感じが少し、重い。きっとくまさんには何か考えがあるのかも、とくまさんの方に向かって座り直す。
ちゃんと聞くよ、の私の姿勢を見たくまさんは「穂高もな、よくよく話を聞いたら昔、フラれたようなんだ」と話を始める。
「確かにその時は人手不足で仕事も忙しかったがまあ、そうなってしまったからには相性が合わなかったんだろう」
「世の中、優しい人の事を物足りないとか言う贅沢なヤツもいるからねえ……見た感じ、穂高さん良さそうだったからさ。モモって一人でなんでもやっちゃうから、たまには甘えていいんだよーって言うか、お試しの恋愛してみたって……て、自分勝手に考えちゃった……」
どう言葉にしたら良いのかわからなくて語尾をしぼませならソファーの座面とくまさんの背中の間に手を突っ込む。
「くまさん」
「ん?」
「くまさんは、二人にはどうなって貰いたい?」
「……穂高も桃ちゃんも共通の友人として楽しくやっていけたら、と最初は思っていたんだがあの二人の感じを見ていたらな」
「お節介なこと、したくなっちゃった?」
普段、野暮な事をしない彼が頷く。
それくらい、くまさんは穂高さんの事を頼りにしている証でもある。
私がモモの事をずっとの親友だと、何でも話せる大切な人だと思っているのと同じで。
「今度の旅行さ……モモ、断って来ると思うんだよね」
「桃ちゃんならそうするだろうな」
「うん。でも、それならもうさ」
「穂高も誘うか」
「流石くまさん話が早い!!好き!!」
べしょ、とくまさんのお腹に上半身を乗せる。
「ぐへへ……」
「お前その笑い方、外でやってないだろうな」
「大丈夫、モモとくまさんの前だけ……ぐふふ」
だって、口がにやけちゃうんだもん。
これは絶対にもモモを誘わなきゃいけない。
「くまさんも穂高さんのことよろしく」
おう、と頷くくまさんがわしわしと私の頭に悪戯をしてくるので私も応戦してくまさんのお腹にぐりぐりと顔を押し付ける。
半分は遊びみたいなもので、もう半分は……したい、かも、と言う期待。
その気になってくれたら良いなーって上半身を乗せたままごろごろとくまさんのお腹を両手で押したりしていればさっきまで一緒に見ていたテレビの投稿動画特集を思い出したのか「猫か」と言われた。
くまさんのお腹が大好き。
がちがちの筋肉じゃなくて程よい脂肪と、程よい筋肉。
くまさん曰く「俺が太ったらその辺で買える服が無くなる」と言って最近は穂高さんが通っているらしいジムにもたまに行っている。
「腹を揉むな」
「だって、なんか」
そんな気分なんだもの。
くまさんに触っていたいから、誘ってるんだもの。
「起きろ」
「やだ」
「ここじゃゴムがない」
なら起きる。
ばっとくまさんから体を離して一目散にベッドに向かって座ればすぐに来てくれたくまさんが思いっきり私のことを押し倒した。
「わ、ちょっと」
「夏帆」
「ん……ん?」
割りこまれて広げられた足の間に当たったくまさんの物の大きさがいつもと違うような気がして疑問符が浮かぶ。私たちはいつもこんな感じで始まるのに今日はおっきいな、と思っているとちょっと擦りつけられた。
「どしたの、くまさん」
「わからん」
だが、と自分の物を確認しているくまさんもどうして今日はそんな事になっちゃってるのか不思議そうにしている。
キスしようよー、と不思議そうにしているくまさんの首に抱きついてみてもくまさんは納得していない様子だった。
「まだお前に触ってもいないのにな」
「まあ私がお腹をこねてたけどね……興奮した?」
「腹を揉まれただけでコレか」
軽く息をつくくまさんの口角が少し上がる。
「……それ、反則」
本人は気が付いてないみたいだけど普段はしっかりフェイスのくまさんが私にだけ見せてくれるらしいその、ちょっとエッチな顔のギャップ。
初めて見たときは焦ったなー。
そう言うの、すごく好きなんだもの。
「少し浮かせろ」
「ん」
寝間着だった膝丈のコットンパンツを中のショーツごと豪快に脱がされて、ついでに上半身も同じようにあっという間にTシャツもおやすみブラも取っ払われて裸になってしまえばくまさんも着ていたシャツを脱ぐ。
そう、その体。
くまさんに抱きしめてもらうとそれだけでちょっと、ヤバいのだ。
「夏帆」
名前を呼んでくれる声が好き。
それでそのまま優しくキスをしてくれるくまさんが大好き。
「むぐ」
「変な声出すな」
これからもっと出ちゃうのに?
私はちょっとアレなオンナかもしれないけど、彼は気にしてない。私は他の子より性欲が強い、と自分でも分かっていて――正直、求めすぎて失敗してしまった事もある。
だって、好きな人とぴったりくっついて、一緒の時間を過ごせる幸せは……いっぱい欲しい。
それで失敗してしまった時のダメージから、私は前の人とレスになっていた。
すごく、怖かった。
だからあっけなく捨てられちゃったのも、その人に新しい女の子が出来たのも、自業自得なんだって思ってた。その子はきっと、私みたいな事はしないんだな、って。
それから暫くして出会ったくまさん。
モモにも大丈夫かな、って確認を取ったくらいに恐るおそるお付き合いを初めて……いざ、そう言う雰囲気になった時。
怖くなって、泣いた。
号泣した訳じゃ無いけど、涙が滲んでしまったらくまさんが慌てて体を引こうとして、でもそれはイヤで。くまさんといっぱいしたい、と言う気持ちはあるのに過去の事を引きずっているのだと裸のまま正直に伝えた。
萎えちゃうかもしれない、冷めちゃうかもしれない。
でもくまさんになら打ち明けてもいい、とその時は思った。
「まだ怖いか」
「え、」
「不安そうだった」
くまさんは優しい。
そして、そんな私を受け入れてくれた。
「乗るか?」
「……うん」
あぐらをかいて座り直してくれたくまさんの上に抱き付けばくまさんはしっかりと私の背中に腕を回して、それで。
「んんッ……」
ゆっくりと腰を沈める私を待って、支えてくれている。
「ぜんぶ、入った……?」
「まだだな」
不思議。
今日、全然感覚が分からない。
いつもよりくまさんがおっきいから?それとも、もしかして私も結構アレな日?暑さとアルコールでやられちゃった?
「夏帆、少し力を抜け」
「ん……ッ」
返事をする前に口を塞がれてしまった。
舌先が少し私の事を探るように、しばらく離してくれない。
そして変な体勢のままの私は耐えられなくなって自然とくまさんの事を全部、収める。
「夏帆」
「ん……?」
「支えてやれないから、しっかり掴まってろ」
あ、と息を飲んだのに声が出る。
私から手を離して後ろ手に手をついたくまさんの激しさについて行けなくなる。
「や、ちょっと……ッ、これ」
肌と肌がぶつかり合う音が凄くて、揺れる体をどうにか崩れてしまわないように必死になって、たたみ掛けられるように息をする間もくれないようなくまさんの衝動に何も考えられなくなる。
「待っ、て……いっちゃう、やだ……ッあ、あ」
音と、くまさんの獣みたいな呼吸と、どうしようもできない私の声だけがある。
「夏帆……ッ」
「やだ、やだ……っ、まだ、」
いきたくない。
終わっちゃうの、やだ。
それなのに、今日のくまさんは。
呼吸が整わない。
くまさんに縋ったまま肩で息をする私はあれ?とやっとくまさんの状態に気が付いた。
「くまさ……ん、まだいって、ない?」
「そう言う日、らしいな」
「ひ、ッ……う、」
もう凭れかかっている私の体をそのまま抱いてごろんと上手に上下が入れ替わるとくまさんが再び、ずくずくと揺れ動き始める。
そうなんだ、そう言う日なんだ。
「まだ行けるか?」
問いかけて来るくまさん。
「もち、ろ……」
やっぱりだめ!!と思わせるような事をしてくるくまさんの肩を掴んで、その激しさに揺れる。揺れ続ける。
私が先に呆気なくいっちゃえばくまさんも流石に身震いをしていた。
「うう……くまさん、ぬいて……」
こんなの駄目だよ、と言う私の顔はきっとだらしない。
待ってろ、とゆっくり、優しく引き抜くその瞬間まで止まらないお腹の淡い余韻にくまさんが頭を撫でてくれて、それで。
私とくまさんは体の相性もすごくいい、らしい。
「あまり二人に期待しすぎるなよ」
「うん。それはちゃんとする」
「俺も」
ぽんぽん、と頭を撫でてくれるくまさんの胸元に顔を擦りつける。私はこんな風にゆっくりする時間も大好きだった。
・・・
夏の終わりのビアガーデン。
私の目の前には浴衣姿のモモがいる。その隣には同じく浴衣姿の穂高さんがいて、モモがのぼせてしまわないか体調の事を時々心配していた。
妬けるぜ、と思った所で私も……モモにそんな思いをさせてしまっていたのかもしれない、と今更ながら反省する。ちょっと、無神経に誘い過ぎたかもしれない。
「ねえ夏帆、くまさんも」
モモがちら、と穂高さんアイコンタクトをする。
「もっと涼しくなったら、また四人で旅行に行かない?今度は私たちがエスコートするから」
笑っているモモ、綺麗になったな。って言うかフェイスパウダー替えた?浴衣姿の今日は一段と輝いて見えるよ。
隣の穂高さんに「色々プランを用意してるんですよね」と笑い掛ける目もとが本当に素敵で。
やっぱり妬ける。
「モモ取られちゃったー!!」
家に帰ってからくまさんに泣きつく。
俺も穂高を取られてしまったようだ、といきなり私を担ぎ上げてずんずんとお風呂場に連れて行くくまさん。
「浴衣、来年は買うか?早い内ならイベント事にも間に合うだろう」
「え、え?」
「風呂、入るぞ」
このまま二人で、お風呂に?!
「と言うことは……」
「あまり派手に騒ぐなよ。風呂場は防音じゃない」
この声の感じは、もしかしなくても。
ぐへへ、とにやけた笑い声が出そうになってぎゅっと口を噤む。
脱がして、脱がされて。
私たちの熱はまだ、冷めない。
おしまい。
(次のおはなしにつづきます⇒)
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