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俺の番クン
交際 申込み
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真正面にきちんと座る暁君が、大きな目を凝らして俺の一挙一動を捉えていたことに気付き、居心地悪くて座り直したんだけど⋯全く理解が追いつかんっ
「暁様に、番や婚約相手の縁談を持ち込む者が後を立たず、直接暁様に接触してこようとする強引な者もいまして、社長代行に復帰した尊様もかなり手を焼いております。
そこで⋯暁様のお相手として、申し分の無い相手だとはっきりわかる方を求め、今回このプロジェクトへ参加、無事に狭山様とのご縁を結ぶこととなりました。
今後のスケジュールとしましては、番は暁様の成長を待つことになりますが、早速本日より交際、明日から同棲という形を希望しております」
「狭山様のご都合は如何でしょうか」と流れるように続けられ、なんのセールスをされてるんだとますますわからなくなる。
いやいや、もう、本当に全部がよくわからない。
「どう見ても、年がさ⋯」
「8歳です」
ここで暁君の口が初めて開き、凛とした高くて響きのある声で答えられたんだけど。
8歳って!
親子差じゃんっ
「俺⋯28歳なんですが」
「こちらは承知の上でございます。
今回のプロジェクトには、鳳グループも協力という形で会場の無償提供から全てにおいてスタッフが入っており、事前にお相手の狭山様のことは存じておりますから」
藤原総支配人の深みのある笑顔が、俺の何を?とは聞けないくらい怖い。
どこまで調べられてるんだ⋯
「じゃ、じゃあさ、暁く⋯サマも困っただろう?」
「一樹、と呼んでもいいですか?
僕のことは、暁、と呼んでほしい。
あなたに様付けされるのは、寂しいです。
一樹が登録してから僕としかマッチングしなかったことに、僕は運命を感じています」
キリッと顔を引き締めて言われましても⋯無理だろう。
プロジェクトで選ばれてようが、未成年って言うか小学生だっ
「いやいや、そっちの都合でどんどん押し進められても困るって。
あ、暁には、高校卒業するまでこのプロジェクトの参加資格は無いし」
「あの、卒業はしています。
鷹司 凛太郎君」
突然思いもよらない名前を出され、血の気が下がった。
初顔合わせで出す気のなかった名前をサラリと、しかも全て知っていますと確信を持った口調で告げられ頭が真っ白。
死角からの攻撃に、取り繕えず身体ごと強張る。
「彼と同じ飛び級で、一緒の大学の経済学部に通ってます」
「⋯そ、それじゃ、益々、や、だろう?」
動揺して、声がつかえる。
こんな荒唐無稽な話を断るネタにはしたくないけど、知っているなら話は早い。
相手には、交際期間中に打ち明けるつもりではいたことだしな。
凛太郎は、和平とみなみの子ども。
けど、自分の身体で産めないみなみの代わりに俺が産んだ子どもだ。
優秀な跡継ぎのためにと、父親の命令で和平はこのプロジェクトに参加してみなみと知り合った。
合理的で鉄仮面な和平と、どちらかといえばぼんやりおっとりなみなみは紆余曲折あって互いに恋愛感情も芽生えゴールイン。
けど、直ぐに妊娠しないみなみに業を煮やした鷹司家が検査を受けさせて不育症が発覚。
プロジェクトの利点に反することは規約違反。
番の解除が認められる。
解除を求める鷹司家と、それを拒否する和平。
αの揉め事なんて俺は知ったことじゃなかったけど、自分のことを欠陥品だと責めて身を引こうとするみなみを見ていられなかった。
だから⋯大学を一時休学して代わりに産んだ。
卵子はみなみのを使ったから、俺は身体を貸しただけ。
凛太郎にも、そのあたりは説明してあるし、鷹司家の内紛は荒れに荒れたからαの世界じゃ代理出産のことを知ってる人間が居てもおかしくない。
「暁様に、番や婚約相手の縁談を持ち込む者が後を立たず、直接暁様に接触してこようとする強引な者もいまして、社長代行に復帰した尊様もかなり手を焼いております。
そこで⋯暁様のお相手として、申し分の無い相手だとはっきりわかる方を求め、今回このプロジェクトへ参加、無事に狭山様とのご縁を結ぶこととなりました。
今後のスケジュールとしましては、番は暁様の成長を待つことになりますが、早速本日より交際、明日から同棲という形を希望しております」
「狭山様のご都合は如何でしょうか」と流れるように続けられ、なんのセールスをされてるんだとますますわからなくなる。
いやいや、もう、本当に全部がよくわからない。
「どう見ても、年がさ⋯」
「8歳です」
ここで暁君の口が初めて開き、凛とした高くて響きのある声で答えられたんだけど。
8歳って!
親子差じゃんっ
「俺⋯28歳なんですが」
「こちらは承知の上でございます。
今回のプロジェクトには、鳳グループも協力という形で会場の無償提供から全てにおいてスタッフが入っており、事前にお相手の狭山様のことは存じておりますから」
藤原総支配人の深みのある笑顔が、俺の何を?とは聞けないくらい怖い。
どこまで調べられてるんだ⋯
「じゃ、じゃあさ、暁く⋯サマも困っただろう?」
「一樹、と呼んでもいいですか?
僕のことは、暁、と呼んでほしい。
あなたに様付けされるのは、寂しいです。
一樹が登録してから僕としかマッチングしなかったことに、僕は運命を感じています」
キリッと顔を引き締めて言われましても⋯無理だろう。
プロジェクトで選ばれてようが、未成年って言うか小学生だっ
「いやいや、そっちの都合でどんどん押し進められても困るって。
あ、暁には、高校卒業するまでこのプロジェクトの参加資格は無いし」
「あの、卒業はしています。
鷹司 凛太郎君」
突然思いもよらない名前を出され、血の気が下がった。
初顔合わせで出す気のなかった名前をサラリと、しかも全て知っていますと確信を持った口調で告げられ頭が真っ白。
死角からの攻撃に、取り繕えず身体ごと強張る。
「彼と同じ飛び級で、一緒の大学の経済学部に通ってます」
「⋯そ、それじゃ、益々、や、だろう?」
動揺して、声がつかえる。
こんな荒唐無稽な話を断るネタにはしたくないけど、知っているなら話は早い。
相手には、交際期間中に打ち明けるつもりではいたことだしな。
凛太郎は、和平とみなみの子ども。
けど、自分の身体で産めないみなみの代わりに俺が産んだ子どもだ。
優秀な跡継ぎのためにと、父親の命令で和平はこのプロジェクトに参加してみなみと知り合った。
合理的で鉄仮面な和平と、どちらかといえばぼんやりおっとりなみなみは紆余曲折あって互いに恋愛感情も芽生えゴールイン。
けど、直ぐに妊娠しないみなみに業を煮やした鷹司家が検査を受けさせて不育症が発覚。
プロジェクトの利点に反することは規約違反。
番の解除が認められる。
解除を求める鷹司家と、それを拒否する和平。
αの揉め事なんて俺は知ったことじゃなかったけど、自分のことを欠陥品だと責めて身を引こうとするみなみを見ていられなかった。
だから⋯大学を一時休学して代わりに産んだ。
卵子はみなみのを使ったから、俺は身体を貸しただけ。
凛太郎にも、そのあたりは説明してあるし、鷹司家の内紛は荒れに荒れたからαの世界じゃ代理出産のことを知ってる人間が居てもおかしくない。
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