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退院当日。病室から出るときに、一旦由良の周りからフェロモンを消したんだが。その辺から、既にヤバイ自覚はしていた。我慢しすぎて、とにかくヤバイ。番の由良を奪われたあの日を思い出して、由良が他のαの目に入ることに苛々してしまう。
煮詰まってるとしか思えないこの感情に、自分でも驚くしかない。
病院でフェラくらいさせたかったのに、由良の口が治る頃にはそれだけで終われそうになかったし。無理矢理動かして、腰を痛めでもされたら入院が長引いて本末転倒。そう言い聞かせ、退院するこの日まで手を出さなかったからな。仕事は全て断っていたが、望めば手に入るものがすぐ側に居るのに、味わえない状況が予想以上に身体にきていたらしい。
タクシーに乗り込み、家が近づくにつれてひとつのことしか考えられなくなる。
由良が欲しい
それは、願望ではなく貪欲な飢餓。乱れた感情が混ざり、濁り、この身体を侵食して。仕事の後の破壊衝動よりも暴力的なこの感情が抑えられない。
1人、あの部屋で由良の帰りを待ち続けた焦りと。由良の身体を好きにいたぶり、犯そうとしていたあの石への殺意。由良の治療を待つ間の、魂が凍りつくような寒々しい・・・由良を失うことへの恐怖心。
次第にコントロールが甘くなり、車内には、俺の濁った感情に引きずられたフェロモンが漏れてしまっていた。運転手が真っ青な顔で震えていたが、普通を装うゆとりなど無い。隣に座る、由良が呼吸する僅かな音にさえ発情が促される。その吐いた息ごと食らいつくしたくて堪らない。
タクシーを降りてからは、あと数分で由良を味わえるという期待と高まる実感に気持ちが逸り。由良に肩を貸しながら、一歩進むごとに熟れた由良の身体を今すぐ引き倒したくなる発情に目眩まで感じていた。病院での禁欲生活が完全に裏目に出ていた。
隣を俺に抱えられながら歩いていた由良からも、求愛フェロモンがまとわりついて絡んでくるからな。以前は、俺の発情を抑えられていたのに。この日は違った。俺の発情を煽るように、蕩けた由良の身体を薄いベールとなって包みこみ瞬きながら彩る。
そんな姿を見せられたら、上手くコントロールができない焦りより、由良への焦燥で頭の中が埋め尽くされるのは仕方が無い。
煮詰まってるとしか思えないこの感情に、自分でも驚くしかない。
病院でフェラくらいさせたかったのに、由良の口が治る頃にはそれだけで終われそうになかったし。無理矢理動かして、腰を痛めでもされたら入院が長引いて本末転倒。そう言い聞かせ、退院するこの日まで手を出さなかったからな。仕事は全て断っていたが、望めば手に入るものがすぐ側に居るのに、味わえない状況が予想以上に身体にきていたらしい。
タクシーに乗り込み、家が近づくにつれてひとつのことしか考えられなくなる。
由良が欲しい
それは、願望ではなく貪欲な飢餓。乱れた感情が混ざり、濁り、この身体を侵食して。仕事の後の破壊衝動よりも暴力的なこの感情が抑えられない。
1人、あの部屋で由良の帰りを待ち続けた焦りと。由良の身体を好きにいたぶり、犯そうとしていたあの石への殺意。由良の治療を待つ間の、魂が凍りつくような寒々しい・・・由良を失うことへの恐怖心。
次第にコントロールが甘くなり、車内には、俺の濁った感情に引きずられたフェロモンが漏れてしまっていた。運転手が真っ青な顔で震えていたが、普通を装うゆとりなど無い。隣に座る、由良が呼吸する僅かな音にさえ発情が促される。その吐いた息ごと食らいつくしたくて堪らない。
タクシーを降りてからは、あと数分で由良を味わえるという期待と高まる実感に気持ちが逸り。由良に肩を貸しながら、一歩進むごとに熟れた由良の身体を今すぐ引き倒したくなる発情に目眩まで感じていた。病院での禁欲生活が完全に裏目に出ていた。
隣を俺に抱えられながら歩いていた由良からも、求愛フェロモンがまとわりついて絡んでくるからな。以前は、俺の発情を抑えられていたのに。この日は違った。俺の発情を煽るように、蕩けた由良の身体を薄いベールとなって包みこみ瞬きながら彩る。
そんな姿を見せられたら、上手くコントロールができない焦りより、由良への焦燥で頭の中が埋め尽くされるのは仕方が無い。
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