11 / 43
序章
当たられる田中
しおりを挟む「いてて‥なにすんねん‥」
俺は捻った腕をさする。
「お前‥目障りだわ、ほんと‥腹が立つ」
「はあ?」
「‥、どうして俺達がアイツのために巻き込まれなきゃいけねえんだよっくそ!?くそ!!俺は琴美の為にッ、必ず、見つけてやるーー」
壁をどつきながら何かを叫ぶ村上を白目で見つめる。
いやいや、おかしいし、怖いし
「‥?俺も一応巻き込まれた一員やねんし、気持ちはわかるけどさ、なんで俺に当たるん?」
「ッ!?分かったような口きいてんじゃねえよ!!」
ぶんっと風を切る音がして、
目を瞑る。
なんでこういちいち手出してくんの?
頭猿なんか?いや、それはお猿さんに失礼やな‥はあ、
俺だってお前みたいな暴力男とはごめんやわーー
ズキリと頬が痛んで、
俺は後ろにぶっ飛んだ。
痛い‥俺11才の弟にも負ける、もやし人間やねんから、手加減してほしい‥
「何してるのよ秋!!」
「っ、琴美」
「田中くん大丈夫?もう秋!!喧嘩するにしてもやりすぎよ!!」
喧嘩というか一方的な八つ当たりやねんけどな。
いてて‥口、切れたかも‥
「なんの騒ぎですか!?ッ、お怪我がっ」
口を手で多い、ガタガタと震える王女さん。
俺に近づいて、そっと切れた口元をハンカチで押さえてくれる。
男臭くてごめんやで‥。
「おい、秋‥喧嘩っ早いのは昔からだけどさ‥少しは落ち着けよ、な?」
「チッ」
ガバッと村上の首に腕を回す木下。
あーあ、怒りの原因に怒りをぶつけたくても、
きっとこの細マッチョなゴリラ木下には負けるって分かってんねんやろな。
だけど、俺に当たるのはおかしいぞ
「ね、ほら早く行こうよ!今から私達の魔力解放ってのをするんだって!!杖とかで炎とか出せちゃったりするのかな?」
倉本さんが、グイッと村上の腕に抱きつく。
頬を赤らめた村上が、にまにまと口元を緩ませた。
「ぷは、お前子どもかよ」
「な、なによ秋のバカー!いいじゃない!昔から魔法とか杖とか女の子の憧れなんだから!」
「わかったよ、すまなかった!よし、行こうぜ琴美?」
「うん!」
なにこの茶番‥
頭痛くなってきた‥お前らのその世界観こそ、俺にとっては異世界やで‥
「お怪我の具合は大丈夫ですか?一応、回復魔法を使ったのですが‥私にはお恥ずかしながら回復系の才能がなくて‥その、もし痛みが酷いようでしたら、医師に‥」
「え、いつのまに!?見たかった!てか、すごいな、そういえば、痛みが少し引いてるような‥」
「本当ですか!!」
「おう!ありがとう!俺はもう大丈夫やから、そのハンカチ汚してごめんな?」
「いいえ。貴方の傷の痛みに比べれば、気にすることではありません。そういえば、お名前を聞いていませんでしたね‥お伺いしても宜しいですか?」
「はは、王女さんは優しい人やな!俺は田中 金太郎です!王女さん、よろしく!!」
「っ!!リーネ、とは‥呼ばないのですね‥」
「?」
「あ、いえ!なんでもありません!‥さあ、行きましょう、タナカ様!!」
「う、うん」
行こっか、と、後ろにいるはずの少女に俺は問いかけようと振り向くけど
そこに少女はいなくて、
俺はキョロキョロと辺りを見回す。
「え、どこ行ったんやろ‥」
「タナカ様?」
「っ、なんでもない」
もしかして‥
ぶるっと震えた体を撫でながら、
俺は王女さんの後を追った
0
あなたにおすすめの小説
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる