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序章
当たられる田中
しおりを挟む「いてて‥なにすんねん‥」
俺は捻った腕をさする。
「お前‥目障りだわ、ほんと‥腹が立つ」
「はあ?」
「‥、どうして俺達がアイツのために巻き込まれなきゃいけねえんだよっくそ!?くそ!!俺は琴美の為にッ、必ず、見つけてやるーー」
壁をどつきながら何かを叫ぶ村上を白目で見つめる。
いやいや、おかしいし、怖いし
「‥?俺も一応巻き込まれた一員やねんし、気持ちはわかるけどさ、なんで俺に当たるん?」
「ッ!?分かったような口きいてんじゃねえよ!!」
ぶんっと風を切る音がして、
目を瞑る。
なんでこういちいち手出してくんの?
頭猿なんか?いや、それはお猿さんに失礼やな‥はあ、
俺だってお前みたいな暴力男とはごめんやわーー
ズキリと頬が痛んで、
俺は後ろにぶっ飛んだ。
痛い‥俺11才の弟にも負ける、もやし人間やねんから、手加減してほしい‥
「何してるのよ秋!!」
「っ、琴美」
「田中くん大丈夫?もう秋!!喧嘩するにしてもやりすぎよ!!」
喧嘩というか一方的な八つ当たりやねんけどな。
いてて‥口、切れたかも‥
「なんの騒ぎですか!?ッ、お怪我がっ」
口を手で多い、ガタガタと震える王女さん。
俺に近づいて、そっと切れた口元をハンカチで押さえてくれる。
男臭くてごめんやで‥。
「おい、秋‥喧嘩っ早いのは昔からだけどさ‥少しは落ち着けよ、な?」
「チッ」
ガバッと村上の首に腕を回す木下。
あーあ、怒りの原因に怒りをぶつけたくても、
きっとこの細マッチョなゴリラ木下には負けるって分かってんねんやろな。
だけど、俺に当たるのはおかしいぞ
「ね、ほら早く行こうよ!今から私達の魔力解放ってのをするんだって!!杖とかで炎とか出せちゃったりするのかな?」
倉本さんが、グイッと村上の腕に抱きつく。
頬を赤らめた村上が、にまにまと口元を緩ませた。
「ぷは、お前子どもかよ」
「な、なによ秋のバカー!いいじゃない!昔から魔法とか杖とか女の子の憧れなんだから!」
「わかったよ、すまなかった!よし、行こうぜ琴美?」
「うん!」
なにこの茶番‥
頭痛くなってきた‥お前らのその世界観こそ、俺にとっては異世界やで‥
「お怪我の具合は大丈夫ですか?一応、回復魔法を使ったのですが‥私にはお恥ずかしながら回復系の才能がなくて‥その、もし痛みが酷いようでしたら、医師に‥」
「え、いつのまに!?見たかった!てか、すごいな、そういえば、痛みが少し引いてるような‥」
「本当ですか!!」
「おう!ありがとう!俺はもう大丈夫やから、そのハンカチ汚してごめんな?」
「いいえ。貴方の傷の痛みに比べれば、気にすることではありません。そういえば、お名前を聞いていませんでしたね‥お伺いしても宜しいですか?」
「はは、王女さんは優しい人やな!俺は田中 金太郎です!王女さん、よろしく!!」
「っ!!リーネ、とは‥呼ばないのですね‥」
「?」
「あ、いえ!なんでもありません!‥さあ、行きましょう、タナカ様!!」
「う、うん」
行こっか、と、後ろにいるはずの少女に俺は問いかけようと振り向くけど
そこに少女はいなくて、
俺はキョロキョロと辺りを見回す。
「え、どこ行ったんやろ‥」
「タナカ様?」
「っ、なんでもない」
もしかして‥
ぶるっと震えた体を撫でながら、
俺は王女さんの後を追った
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