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第5章
犬には甘い
しおりを挟む「とにかく、離せ、そして退け」
「‥好きなのにダメなのか?」
ギラリと光る瞳に寒気がする。
その割には尻尾が垂れ下がった犬のような、そんな表情。ずるい、俺動物好きなんだって
「駄目です。」
「俺はお前が好きだ」
「ッ、」
急に真剣な顔して、何言ってんの
馬鹿じゃないのほんとこの人馬鹿
てか、いい加減退けよ
もう虚しくてしょうがないってば
「お前が好きだ」
ルーと仲直りする夢なんかみちゃってさ
「っ、うる、さい‥俺は嫌いだ」
監禁されてさ
押し倒されて
「‥俺は好きだ」
もう、訳わかんねえよ
だんだん、顔が赤くなる自分に腹がたつ。ほんっとッ、こういうの慣れないんだってば。
こんな奴に顔を赤くするのは、
やたら真剣な顔なのに、どこか嬉しそうに微笑むからだし
本当の気持ちだって伝えたいみたいに
何度も何度も繰り返して
ああ、これじゃあ言い訳みたいじゃないか!
いくらもがいても、この馬鹿力には敵わなくて
だんだん近づいてくる顔にハッとする。
「ッ、ちょ、近いってッ、いい加減にッ」
「はっ、なにしてるの」
ドキリと胸が高鳴るのと同時に、
冷めていく頭。
彼の声がやけに懐かしく感じて、
そして
その裏切り者をみるような瞳が
とても恐ろしく感じた
「り、オン‥さん、」
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