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婚約破棄を告げられました
確認したいことがあります
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「殿下、確認したい事がございます」
「何だ」
「フェリッリ男爵令嬢は殿下やその側近候補の方達と大変仲がよろしいようですが、馴れ初めを教えていただきたいのです」
「馴れ初めだと?」
「ええ。殿下達のご寵愛を受けるようになった経緯、でしょうか」
そう言われてジョバンニ達はお互いの顔を見合わせる。困惑している様子にナディアは待ってられないと言わんばかりに指名した。
「まずはエルネスト・ロッシ・ピアネリ様。貴方と彼女の馴れ初めをお教えくださいませ」
「いいだろう。僕とサブリナは学園の校庭で偶然出会ったんだ。あの頃の僕は魔術師団長の息子という理由で常に父と見比べられ、それでも必死に努力してた。けど、いつまでも認められない自分に苛立ちを覚えていたんだ」
「まあ、そうだったんですね」
「そんな時にサブリナは僕に寄り添ってくれた。一生懸命努力している僕を認めてくれて、頑張らなくてもいいんだって言ってくれたんだ」
「まあ、何てこと」
聞いて呆れるとはこの事だろう。
「では努力する事をお止めになった、と言う事ですか」
「そうだ!何もしなくてもサブリナは僕を認めてくれる!」
「フェリッリ男爵令嬢に認められるとどうなるんですか?」
「ど、どうなるとは…」
「彼女に認めてもらっている。それは分かりましたわ。で、努力をお止めになったピアネリ様は今後どのような人生設計をされてますの?」
「じ、人生設計…?」
虚を突かれた顔をしたエルネストは、思わず言葉を詰まらせた。勿論ナディアの質問の意味だって理解している。が、質問に答えられるかどうかは別問題だ。
「魔術師団長であられるピアネリ伯爵に対して劣等感を持っていた。努力しても父を超えられずに認めてももらえない。そこでフェリッリ男爵令嬢に出会い、努力する必要はないと言われた。ここまでは合ってます?」
「あ、ああ…」
「貴方に3つ突っ込ませていただきますわ」
「は?」
ビシッと指を三本立ててエルネストを見据える。ナディアが次に何を言うのか予想がつかないせいか、エルネストは少々たじろいでいるようにも見える。が、ナディアは遠慮なく言葉を発した。
「まずは一つ目。貴方のお父上であられるピアネリ伯爵はとても優秀な御方ですわね。幼少期から魔術の訓練を必死に続け、学園でも勉学に励み成績も優秀だと聞いておりますわ。勿論婚約者であったピアネリ伯爵夫人も大切にされていたとか」
「…だから何だ!」
「ですがこの頃のピアネリ伯爵の魔術の腕前は魔術師団の中でも10番目程だったと聞いております」
「えっ…」
まさかの初耳だったのか、ナディアの言葉にエルネストが目を見開いた。
「魔術師の家系で次期伯爵のピアネリ伯爵は必死だったそうですわ。当時の魔術師団長には足元にも及ばなかった魔術の腕前を、それから10年かけて磨き続けたそうです。18歳の学園を卒業されてから10年ですから28歳の時ですわね。ようやく魔術師団長と並ぶ実力を身に着けたのは」
「まさか…父上が…」
「それでも魔術師団長になるには能力不足だった。だからこそ、魔術師団長に任命されるのにまだ数年かかった。丁度ピアネリ伯爵が32歳の時だそうですわ」
「32歳だって!?じゃあ僕が生まれた時はまだ…」
「副師団長でしたわね。と言うか息子であるピアネリ様がそんな事も知らないなんて、そちらの方が驚きですわ」
「くっ…」
32歳と言う事は、エルネストは10歳だ。その頃にようやく魔術師団長になったと言うのか。
「ここで聞きますけど、貴方は今おいくつですか?まだ成人していない息子に負けるなんて、ピアネリ伯爵だって嫌でしょうね。現に今でも毎日一生懸命訓練をされてますし」
「え、父が訓練…?」
「当然でしょう?魔術師団長ともあろうお方が自身を磨く事をしないでどうするのですか。皆の命を預かる身での怠慢は許されませんわ。そんな事魔術師団の方々は当然知っておいでですわよ」
「まさか…」
「貴方は何か勘違いされてるようですけど、父親を超えるなんて事を簡単にできると思わない事ですわ」
「そ、そんな…」
がっくりとエルネストが項垂れる。そしてそんな彼を冷たく見下ろしたナディアはさらに言葉を続けた。
「二つ目。フェリッリ男爵令嬢と出会ってから、婚約者であるリオーネ様をないがしろにした事ですわね」
「それはっ!リオーネがサブリナに嫌がらせをしたからだ!」
「嫌がらせの事実はありませんね。きちんとお調べになったんですか?」
「サブリナがそう言っていた!」
「と言う事はピアネリ様は婚約者のリオーネ様のお話を一切聞かず、また彼女の事を信じようともせず、婚約者でもない他の女性の言葉のみを鵜呑みにしてリオーネ様を冷遇した、そういう事でよろしいですか?」
「そ、そんな風に言うとまるで僕が悪いみたいじゃないか!」
「まるで、ではなくその通りですわ。そもそも何故リオーネ様がフェリッリ男爵令嬢に嫌がらせをする必要が?」
「それはリオーネがサブリナに嫉妬したからだろう!?」
「まあ。嫉妬ですか」
「そうだ!」
今度は自信満々に言い放つエルネストだったが、周囲の視線が段々冷たいものになってきている事に気付いていない。
「では貴方は婚約者がいる身でありながら、婚約者が嫉妬すると思われる行動を分かっていてとっていた、そういう事ですね」
「は…?」
「でなければ嫉妬でいじめをするなんて発想、出てくるはずありませんもの」
「い、いや、しかしっ…!」
今更気付いても遅いが、完全に自分で自分の首を絞めた形になってしまっている。
エルネストが言い訳できずにブルブル震えていると、ナディアは優雅に扇子を揺らしてエルネストに流し目を送るように視線を向けた。
「三つ目。努力をすることを止めた先にある自分の未来を考えた事がありますか?」
「は…?どういう事だ」
「フェリッリ男爵令嬢と貴方は結ばれる事はありませんよね?」
「そ、そんなのまだ分からないじゃないか!」
「おい!サブリナに手を出す気か!?」
「で、殿下…!」
ヤバイとエルネストが口を噤む。それを冷ややかに見つめながらもナディアは話を続けた。
「貴方達がフェリッリ男爵令嬢を囲んでる事なんて知らない人はいませんわ。そんな事よりも努力をしなくていいと言って貴方を慰めた女性は他の男性のもの。では貴方の未来は?誰とどのような関係を持ち、そして貴方は将来どうありたいのです?」
「そ、そんなの僕が決められる事じゃないだろう!どうせリオーネと結婚させられて、父上が引退したら僕が伯爵と魔術師団を…」
「何を甘い事を仰ってるのかしら。さっき言いましたよね?貴方のお父上は今でも努力されていると言う事を。学生の身分で努力もせず、婚約者以外の女性を追いかける貴方がどうなるかなんて、ちょっと考えればわかるでしょうに」
「…どういう意味だ」
ゴクリと唾を飲み込み、エルネストがナディアを睨みつける。そんなエルネストが可笑しいと言わんばかりにナディアは笑顔を浮かべて呟いた。
「最悪の場合、廃嫡ですわね」
「バカな!!」
言われた言葉に激怒し、エルネストが怒鳴りつける。が、ナディアは涼し気な顔をして続ける。
「まさかこのまま何事もなく結婚して後を継げるとでも?ま、この件に関しては後々お父上であるピアネリ伯爵と婚約者のリオーネ様、そしてリオーネ様のお父上のモルゾン伯爵とお話してくださいな」
「……!!」
ガックリと項垂れるエルネストをナディアは一瞥し、今度はジャンカルロに視線を向けた。
「何だ」
「フェリッリ男爵令嬢は殿下やその側近候補の方達と大変仲がよろしいようですが、馴れ初めを教えていただきたいのです」
「馴れ初めだと?」
「ええ。殿下達のご寵愛を受けるようになった経緯、でしょうか」
そう言われてジョバンニ達はお互いの顔を見合わせる。困惑している様子にナディアは待ってられないと言わんばかりに指名した。
「まずはエルネスト・ロッシ・ピアネリ様。貴方と彼女の馴れ初めをお教えくださいませ」
「いいだろう。僕とサブリナは学園の校庭で偶然出会ったんだ。あの頃の僕は魔術師団長の息子という理由で常に父と見比べられ、それでも必死に努力してた。けど、いつまでも認められない自分に苛立ちを覚えていたんだ」
「まあ、そうだったんですね」
「そんな時にサブリナは僕に寄り添ってくれた。一生懸命努力している僕を認めてくれて、頑張らなくてもいいんだって言ってくれたんだ」
「まあ、何てこと」
聞いて呆れるとはこの事だろう。
「では努力する事をお止めになった、と言う事ですか」
「そうだ!何もしなくてもサブリナは僕を認めてくれる!」
「フェリッリ男爵令嬢に認められるとどうなるんですか?」
「ど、どうなるとは…」
「彼女に認めてもらっている。それは分かりましたわ。で、努力をお止めになったピアネリ様は今後どのような人生設計をされてますの?」
「じ、人生設計…?」
虚を突かれた顔をしたエルネストは、思わず言葉を詰まらせた。勿論ナディアの質問の意味だって理解している。が、質問に答えられるかどうかは別問題だ。
「魔術師団長であられるピアネリ伯爵に対して劣等感を持っていた。努力しても父を超えられずに認めてももらえない。そこでフェリッリ男爵令嬢に出会い、努力する必要はないと言われた。ここまでは合ってます?」
「あ、ああ…」
「貴方に3つ突っ込ませていただきますわ」
「は?」
ビシッと指を三本立ててエルネストを見据える。ナディアが次に何を言うのか予想がつかないせいか、エルネストは少々たじろいでいるようにも見える。が、ナディアは遠慮なく言葉を発した。
「まずは一つ目。貴方のお父上であられるピアネリ伯爵はとても優秀な御方ですわね。幼少期から魔術の訓練を必死に続け、学園でも勉学に励み成績も優秀だと聞いておりますわ。勿論婚約者であったピアネリ伯爵夫人も大切にされていたとか」
「…だから何だ!」
「ですがこの頃のピアネリ伯爵の魔術の腕前は魔術師団の中でも10番目程だったと聞いております」
「えっ…」
まさかの初耳だったのか、ナディアの言葉にエルネストが目を見開いた。
「魔術師の家系で次期伯爵のピアネリ伯爵は必死だったそうですわ。当時の魔術師団長には足元にも及ばなかった魔術の腕前を、それから10年かけて磨き続けたそうです。18歳の学園を卒業されてから10年ですから28歳の時ですわね。ようやく魔術師団長と並ぶ実力を身に着けたのは」
「まさか…父上が…」
「それでも魔術師団長になるには能力不足だった。だからこそ、魔術師団長に任命されるのにまだ数年かかった。丁度ピアネリ伯爵が32歳の時だそうですわ」
「32歳だって!?じゃあ僕が生まれた時はまだ…」
「副師団長でしたわね。と言うか息子であるピアネリ様がそんな事も知らないなんて、そちらの方が驚きですわ」
「くっ…」
32歳と言う事は、エルネストは10歳だ。その頃にようやく魔術師団長になったと言うのか。
「ここで聞きますけど、貴方は今おいくつですか?まだ成人していない息子に負けるなんて、ピアネリ伯爵だって嫌でしょうね。現に今でも毎日一生懸命訓練をされてますし」
「え、父が訓練…?」
「当然でしょう?魔術師団長ともあろうお方が自身を磨く事をしないでどうするのですか。皆の命を預かる身での怠慢は許されませんわ。そんな事魔術師団の方々は当然知っておいでですわよ」
「まさか…」
「貴方は何か勘違いされてるようですけど、父親を超えるなんて事を簡単にできると思わない事ですわ」
「そ、そんな…」
がっくりとエルネストが項垂れる。そしてそんな彼を冷たく見下ろしたナディアはさらに言葉を続けた。
「二つ目。フェリッリ男爵令嬢と出会ってから、婚約者であるリオーネ様をないがしろにした事ですわね」
「それはっ!リオーネがサブリナに嫌がらせをしたからだ!」
「嫌がらせの事実はありませんね。きちんとお調べになったんですか?」
「サブリナがそう言っていた!」
「と言う事はピアネリ様は婚約者のリオーネ様のお話を一切聞かず、また彼女の事を信じようともせず、婚約者でもない他の女性の言葉のみを鵜呑みにしてリオーネ様を冷遇した、そういう事でよろしいですか?」
「そ、そんな風に言うとまるで僕が悪いみたいじゃないか!」
「まるで、ではなくその通りですわ。そもそも何故リオーネ様がフェリッリ男爵令嬢に嫌がらせをする必要が?」
「それはリオーネがサブリナに嫉妬したからだろう!?」
「まあ。嫉妬ですか」
「そうだ!」
今度は自信満々に言い放つエルネストだったが、周囲の視線が段々冷たいものになってきている事に気付いていない。
「では貴方は婚約者がいる身でありながら、婚約者が嫉妬すると思われる行動を分かっていてとっていた、そういう事ですね」
「は…?」
「でなければ嫉妬でいじめをするなんて発想、出てくるはずありませんもの」
「い、いや、しかしっ…!」
今更気付いても遅いが、完全に自分で自分の首を絞めた形になってしまっている。
エルネストが言い訳できずにブルブル震えていると、ナディアは優雅に扇子を揺らしてエルネストに流し目を送るように視線を向けた。
「三つ目。努力をすることを止めた先にある自分の未来を考えた事がありますか?」
「は…?どういう事だ」
「フェリッリ男爵令嬢と貴方は結ばれる事はありませんよね?」
「そ、そんなのまだ分からないじゃないか!」
「おい!サブリナに手を出す気か!?」
「で、殿下…!」
ヤバイとエルネストが口を噤む。それを冷ややかに見つめながらもナディアは話を続けた。
「貴方達がフェリッリ男爵令嬢を囲んでる事なんて知らない人はいませんわ。そんな事よりも努力をしなくていいと言って貴方を慰めた女性は他の男性のもの。では貴方の未来は?誰とどのような関係を持ち、そして貴方は将来どうありたいのです?」
「そ、そんなの僕が決められる事じゃないだろう!どうせリオーネと結婚させられて、父上が引退したら僕が伯爵と魔術師団を…」
「何を甘い事を仰ってるのかしら。さっき言いましたよね?貴方のお父上は今でも努力されていると言う事を。学生の身分で努力もせず、婚約者以外の女性を追いかける貴方がどうなるかなんて、ちょっと考えればわかるでしょうに」
「…どういう意味だ」
ゴクリと唾を飲み込み、エルネストがナディアを睨みつける。そんなエルネストが可笑しいと言わんばかりにナディアは笑顔を浮かべて呟いた。
「最悪の場合、廃嫡ですわね」
「バカな!!」
言われた言葉に激怒し、エルネストが怒鳴りつける。が、ナディアは涼し気な顔をして続ける。
「まさかこのまま何事もなく結婚して後を継げるとでも?ま、この件に関しては後々お父上であるピアネリ伯爵と婚約者のリオーネ様、そしてリオーネ様のお父上のモルゾン伯爵とお話してくださいな」
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