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8、男主人公との出会い
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しばし、夢中になって見ていると、お店のドアが開く音がして、ようやく我に返ったセレス。
慌ててドアの方を見ると、
「ーー!!」
店に入ってきたのは、男主人公であるアルフレッド·レイフィル·グレイヴィルア公爵、まさしくその人であった。
「ーーっ!」
言葉にならない言葉を手で口を押さえて必死に飲み込んだセレス。
ちょうどお店にいた女の子たちも、その艷めく黒い髪と美しい黒い瞳を持った何もかも完璧な美しい男性に見惚れていた。
ーーハッ。
私は気付かれないうちに視線を商品に戻す。
ーードキドキッ。
アルフレッドはゆっくりと店内を見回し、商品に向かって歩いていく。
そんな何気ない動きですら、BGMでも流れて優雅に歩いているように見えてしまう。
立ち止まっては商品を見て、また歩き出す。
それを繰り返しながら店内を進んでいくアルフレッド。
その足音が何故かわかった私は高鳴る心臓とともにその瞬間を待った。
意を決し、ゆっくりと移動を始める。
商品を手にとって見たりしながら進むとアルフレッドも同じように移動を続ける。
そして、ある商品を見つけてそれを手に取ろうとする。
すると、隣からもそれを取ろうとする手が伸びてくる。
可愛くて美しい小さな宝石箱
二人同時にそれを取ろうとして、驚いて顔を見合わせる二人。
「すみません」
「すみません」
顔をあわせて、そこで初めて相手が誰かわかったように驚く。
「ーーー公爵様!?」
「ーーーセレスティーヌ嬢!?」
数秒驚いたように見つめあうと、私は我に返ったように、
「ーーお久しぶりです。公爵様」
平民の装いをしてるが、完璧な淑女カーテーシーで挨拶する。
「ええ。お久しぶりですね。セレスティーヌ嬢、こんなところでお会いするとは驚きです」
アルフレッドも胸に手を当て丁寧に挨拶してくれる。
ーー実際には、この感じが二人の距離なんだろうな。
「公爵様はこちらにはどんなご用(ミシェルへのプレゼントを買いに)でいらしたので?」
あくまで自然にここにきた目的を質問。
「ーーいや」
すると、照れたように頭をかいたアルフレッド。
その推しの姿に、
ーーキターーーーーーッ!!!
ーーめっちゃくちゃ可愛くて尊いんですけどぉ!!
内心大騒ぎ。
少し言いにくそうにしていたアルフレッドは、「友人へのプレゼントを買いに…」とだんだん小声に。
ーーやっぱり、ミシェルへのプレゼント買いにきたのか。
ーーズキッ。
その胸に刺さった小さな痛みに気付かないフリをしていたセレス。
気がつけば、
「ーーーもしかして、ミシェルへのプレゼントですか?」
と小声で聞いていた。
その質問に照れながらも頷いたアルフレッド。
「もう何を買うのか決めてるんですか?」
そう聞くと、気まずそうに「まだ」だと答えたアルフレッド。
「ーー正直、女性に贈り物などしたことないので、何を贈ればいいのか悩んでいます」
警戒心が薄れたのか、正直に答えてくれたことに内心嬉しくなってしまうセレス。
ーー突っ込んでも、大丈夫かな?
私は思いきって、
「よければお手伝いしましょうか?」
と手伝いを申し出てみた。
驚くアルフレッドの返事を内心ドキドキしながら待っていると、
「ーーーありがとうございます。お願いできますか?」
と、自分の申し出を受けてくれたことに思わず心の中でガッツポーズを取っていた。
「ーー勿論です。」
こうして、アルフレッドの手伝いでミシェルへのプレゼントを選ぶお手伝いをするセレス。
ーーどうしよう。あれこれとたくさん選んで、少しでも長く時間かけようかしら?
少しでも信頼を得て、ミシェルとのことを聞き出そうと考えていた。
でも、ふとさっき同時に手に取ろうとした、小説に出てきたミシェルへのプレゼント『可愛くて美しい小さな宝石箱』が視界に入る。
他の商品を見ようとしても、気になってしまう。
ーー結局、
「もしかして、こちらを選ぶところでしたか?」
と、宝石箱を指差して質問していた。
セレスが指差した宝石箱を見て、
「ーーああ。いや、ちょっと見ようとしただけでまだはっきりとは決めていないです」
まだ選んでいる最中だと言う。
ーーあれ?これに決めたんじゃ?
不思議に思いつつ、せっかくなので宝石箱を手に取ると、いろんな角度から見ても、ふたを開けて中を見ても、
ーー滅茶苦茶私の好みなんですけど。
そう思いながら、気がつくと目を輝かせて見ていた。
そんなセレスをじっと見つめていたアルフレッドは、何かを考え込んでいた様子。
ハッと我に返ったセレスは、
ーーいけないいけない。ミシェルへのプレゼント選びだ。
と自分に言い聞かせると、
「ーーこれならミシェルも気に入ると思います。これにしますか?」
何でもないようにアルフレッドに聞くと、
「ーーいえ、もう少し色々見てみようと思います」
ーーあれ?宝石箱を選ばない?
不思議に思いつつ、二人で他の商品を見て回るーーそう、まるでデートのように……
いくつか見てから、『小鳥の小さな置物』に目を止める。
ーー何となく小説のミシェルが思い浮かんでくる。
ーー確かに小説のミシェルだったら好きそうね。
クスッと笑うと、アルフレッドが近付いてくる。
「ーーそれは?」
セレスが持ってるものを気にしてくる。
「えっと、これを見てると、しょ……じゃなくて、ミシェルが好きそうだなって思いまして」
私が笑うと、しばらくその置物をじっと見ていたアルフレッドが、
「では、それをミシェルへの贈り物とします」
そう言って、私から受け取ると、すぐさま『小鳥の小さな置物』を支払いに行ったアルフレッド。
その素早さに驚きつつ、アルフレッドが買わないのならと、あの宝石箱を自分で買おうと探すも、見つからず。
ーー誰かに買われちゃったかな?残念。
変わりに何気に気に入った髪留めなどを買おうと、ケイトに支払いを頼む。
入り口のそばで待っていると、アルフレッド、ケイトと順番に戻ってくる。
ー店から出ると、
「今日はありがとうございました。よろしければ、何かお礼をさせてください」
とのアルフレッドのお願いに、
思わず「はい!」と返事してしまったセレスであった。
慌ててドアの方を見ると、
「ーー!!」
店に入ってきたのは、男主人公であるアルフレッド·レイフィル·グレイヴィルア公爵、まさしくその人であった。
「ーーっ!」
言葉にならない言葉を手で口を押さえて必死に飲み込んだセレス。
ちょうどお店にいた女の子たちも、その艷めく黒い髪と美しい黒い瞳を持った何もかも完璧な美しい男性に見惚れていた。
ーーハッ。
私は気付かれないうちに視線を商品に戻す。
ーードキドキッ。
アルフレッドはゆっくりと店内を見回し、商品に向かって歩いていく。
そんな何気ない動きですら、BGMでも流れて優雅に歩いているように見えてしまう。
立ち止まっては商品を見て、また歩き出す。
それを繰り返しながら店内を進んでいくアルフレッド。
その足音が何故かわかった私は高鳴る心臓とともにその瞬間を待った。
意を決し、ゆっくりと移動を始める。
商品を手にとって見たりしながら進むとアルフレッドも同じように移動を続ける。
そして、ある商品を見つけてそれを手に取ろうとする。
すると、隣からもそれを取ろうとする手が伸びてくる。
可愛くて美しい小さな宝石箱
二人同時にそれを取ろうとして、驚いて顔を見合わせる二人。
「すみません」
「すみません」
顔をあわせて、そこで初めて相手が誰かわかったように驚く。
「ーーー公爵様!?」
「ーーーセレスティーヌ嬢!?」
数秒驚いたように見つめあうと、私は我に返ったように、
「ーーお久しぶりです。公爵様」
平民の装いをしてるが、完璧な淑女カーテーシーで挨拶する。
「ええ。お久しぶりですね。セレスティーヌ嬢、こんなところでお会いするとは驚きです」
アルフレッドも胸に手を当て丁寧に挨拶してくれる。
ーー実際には、この感じが二人の距離なんだろうな。
「公爵様はこちらにはどんなご用(ミシェルへのプレゼントを買いに)でいらしたので?」
あくまで自然にここにきた目的を質問。
「ーーいや」
すると、照れたように頭をかいたアルフレッド。
その推しの姿に、
ーーキターーーーーーッ!!!
ーーめっちゃくちゃ可愛くて尊いんですけどぉ!!
内心大騒ぎ。
少し言いにくそうにしていたアルフレッドは、「友人へのプレゼントを買いに…」とだんだん小声に。
ーーやっぱり、ミシェルへのプレゼント買いにきたのか。
ーーズキッ。
その胸に刺さった小さな痛みに気付かないフリをしていたセレス。
気がつけば、
「ーーーもしかして、ミシェルへのプレゼントですか?」
と小声で聞いていた。
その質問に照れながらも頷いたアルフレッド。
「もう何を買うのか決めてるんですか?」
そう聞くと、気まずそうに「まだ」だと答えたアルフレッド。
「ーー正直、女性に贈り物などしたことないので、何を贈ればいいのか悩んでいます」
警戒心が薄れたのか、正直に答えてくれたことに内心嬉しくなってしまうセレス。
ーー突っ込んでも、大丈夫かな?
私は思いきって、
「よければお手伝いしましょうか?」
と手伝いを申し出てみた。
驚くアルフレッドの返事を内心ドキドキしながら待っていると、
「ーーーありがとうございます。お願いできますか?」
と、自分の申し出を受けてくれたことに思わず心の中でガッツポーズを取っていた。
「ーー勿論です。」
こうして、アルフレッドの手伝いでミシェルへのプレゼントを選ぶお手伝いをするセレス。
ーーどうしよう。あれこれとたくさん選んで、少しでも長く時間かけようかしら?
少しでも信頼を得て、ミシェルとのことを聞き出そうと考えていた。
でも、ふとさっき同時に手に取ろうとした、小説に出てきたミシェルへのプレゼント『可愛くて美しい小さな宝石箱』が視界に入る。
他の商品を見ようとしても、気になってしまう。
ーー結局、
「もしかして、こちらを選ぶところでしたか?」
と、宝石箱を指差して質問していた。
セレスが指差した宝石箱を見て、
「ーーああ。いや、ちょっと見ようとしただけでまだはっきりとは決めていないです」
まだ選んでいる最中だと言う。
ーーあれ?これに決めたんじゃ?
不思議に思いつつ、せっかくなので宝石箱を手に取ると、いろんな角度から見ても、ふたを開けて中を見ても、
ーー滅茶苦茶私の好みなんですけど。
そう思いながら、気がつくと目を輝かせて見ていた。
そんなセレスをじっと見つめていたアルフレッドは、何かを考え込んでいた様子。
ハッと我に返ったセレスは、
ーーいけないいけない。ミシェルへのプレゼント選びだ。
と自分に言い聞かせると、
「ーーこれならミシェルも気に入ると思います。これにしますか?」
何でもないようにアルフレッドに聞くと、
「ーーいえ、もう少し色々見てみようと思います」
ーーあれ?宝石箱を選ばない?
不思議に思いつつ、二人で他の商品を見て回るーーそう、まるでデートのように……
いくつか見てから、『小鳥の小さな置物』に目を止める。
ーー何となく小説のミシェルが思い浮かんでくる。
ーー確かに小説のミシェルだったら好きそうね。
クスッと笑うと、アルフレッドが近付いてくる。
「ーーそれは?」
セレスが持ってるものを気にしてくる。
「えっと、これを見てると、しょ……じゃなくて、ミシェルが好きそうだなって思いまして」
私が笑うと、しばらくその置物をじっと見ていたアルフレッドが、
「では、それをミシェルへの贈り物とします」
そう言って、私から受け取ると、すぐさま『小鳥の小さな置物』を支払いに行ったアルフレッド。
その素早さに驚きつつ、アルフレッドが買わないのならと、あの宝石箱を自分で買おうと探すも、見つからず。
ーー誰かに買われちゃったかな?残念。
変わりに何気に気に入った髪留めなどを買おうと、ケイトに支払いを頼む。
入り口のそばで待っていると、アルフレッド、ケイトと順番に戻ってくる。
ー店から出ると、
「今日はありがとうございました。よろしければ、何かお礼をさせてください」
とのアルフレッドのお願いに、
思わず「はい!」と返事してしまったセレスであった。
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