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12、公爵の事情【小説編】
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小説『悪役公爵の哀しみ』
この小説の主人公である悪役公爵
アレクシア・ヴァルリア
彼は敵であろうと味方であろうと、たとえ誰であろうと、たとえどんな身分であろうと、悪事を働いた者や弱い者などをいじめたりするような人間を決して許さず、容赦なく徹底的にその罪に相応しい罰でその者を罰していた。
それが彼の使命で運命、そして、宿命。
彼は大切な者を守るためであれば、どんな犠牲をも厭わない。
無論、アレク自身も己の身さえも躊躇なく投げ出して、自分自身が傷付こうが怪我しようがお構いなしに戦って大切な者を守っていた。
アレクシア……アレク…はどんな強敵であろうと怯まずに立ち向かい、魔物でもドラゴンという最強種族が相手であろうとも一歩も退かない。
こんなにも正義溢れる人を呼ぶ名は、悪役公爵。
悪役公爵と書いて、ダークヒーローと読む。
どうして、アレクを悪役公爵、ダークヒーローなのだと呼ばれる理由は、もの凄く単純だった。
普通では、他の人は使わない手も例えば黒く染まるような手段でさえもアレクは目的のためであればいとも簡単にと使って、ギリギリのラインを保っている。
ーーだからこそ、大切な兄のチャールズの遺した忘れ形見である娘のエミリーが、自分に恨みを持つ者に殺されてしまった時、あらゆる手段を用いても、どんな手を使っても徹底的に調査をしていた。
普段から情報を得るために使っているのは、古くから公爵家に属している諜報部という存在。
中でも特に優秀で表であろうと裏であろうと調査を得意とする部下たちを惜しみ無く動かして調べていた公爵。
その部下たちの一部を使ってエミリーの事件を公明正大に、秘密裏に裏の世界までも調査させていたから、思わぬ情報も手に入ったのだった。
ーーそれは、兄の事件のこと。
ーーそう、アレクの兄であるチャールズ・ヴァルリアが死んだのは、本当は事故ではなく事件だということが分かった時、アレクは小説の中では部屋でかなり荒れていた。
犯人が信用していた相手だと知った時、屋敷に押し掛けてその相手を問い詰めた。
相手が必死に謝っているとはいえ、悪い奴がそう簡単には大人しく投降するわけもなく、案の定、剣を抜いて斬りつけてきたせいで相手を斬るしかなかったアレク。
残された書類から黒幕が側妃であることを知って、心に決意をした公爵は王宮へと乗り込んでいき、邪魔をしてくる……まあ、普通に騎士も仕える相手を守るために阻止しようと邪魔をしてきたのだけど、とにかく、謁見の間までの間で遭遇した騎士や使用人たちは、すべて次々と殺していって、最後には謁見の間にいた皇族たちをもその手にかけてしまう。
ーーそうして、公爵は血の海の中で狂ったように笑って終わるという……かなりハードでヤバくてエグい小説のラスト。
ーーそんなヤバい人を癒すのは、勿論、ヒロインという存在。
娘を殺されて、ちょっと暗い公爵とお見合いをしたヒロイン。
紹介してくれた人の手前、お見合いをした公爵と、娘の事件を知っていて公爵を気遣っていたヒロイン。
娘の事件を調べていた過程で兄の事件の真実を知ってしまった公爵。
部屋で荒れに荒れていたところに駆けつけたのはヒロイン。事情聞いて慰めて寄り添ったことで、二人は初めて結ばれる。
しかし、結ばれた愛おしい人を残して公爵が向かったのは犯人のところ。
その時、闇落ちしてしまった公爵。
ーー結局、王宮まで血の海にして狂ったように笑った公爵。
その間、ヒロインは公爵の屋敷のベッドで幸せそうに眠っていたという、とんでもない小説の結末。
ーー本を手にとって小説を読んでいた時とは違って、その読んでいた小説の中に転生してしまった私。
ーーホント、とんでもないことだわ。今流行りの世界に巻き込まれてしまうなんて……。
ーーまさか私がその立場になるんじゃないでしょうね。
できれば避けたいけど……。
そう考えると、本当に不安でしかないと思ったフィオナ。
「………………あ、れ?」
その時、ようやくある違和感に気が付いてしまうフィオナでした。
この小説の主人公である悪役公爵
アレクシア・ヴァルリア
彼は敵であろうと味方であろうと、たとえ誰であろうと、たとえどんな身分であろうと、悪事を働いた者や弱い者などをいじめたりするような人間を決して許さず、容赦なく徹底的にその罪に相応しい罰でその者を罰していた。
それが彼の使命で運命、そして、宿命。
彼は大切な者を守るためであれば、どんな犠牲をも厭わない。
無論、アレク自身も己の身さえも躊躇なく投げ出して、自分自身が傷付こうが怪我しようがお構いなしに戦って大切な者を守っていた。
アレクシア……アレク…はどんな強敵であろうと怯まずに立ち向かい、魔物でもドラゴンという最強種族が相手であろうとも一歩も退かない。
こんなにも正義溢れる人を呼ぶ名は、悪役公爵。
悪役公爵と書いて、ダークヒーローと読む。
どうして、アレクを悪役公爵、ダークヒーローなのだと呼ばれる理由は、もの凄く単純だった。
普通では、他の人は使わない手も例えば黒く染まるような手段でさえもアレクは目的のためであればいとも簡単にと使って、ギリギリのラインを保っている。
ーーだからこそ、大切な兄のチャールズの遺した忘れ形見である娘のエミリーが、自分に恨みを持つ者に殺されてしまった時、あらゆる手段を用いても、どんな手を使っても徹底的に調査をしていた。
普段から情報を得るために使っているのは、古くから公爵家に属している諜報部という存在。
中でも特に優秀で表であろうと裏であろうと調査を得意とする部下たちを惜しみ無く動かして調べていた公爵。
その部下たちの一部を使ってエミリーの事件を公明正大に、秘密裏に裏の世界までも調査させていたから、思わぬ情報も手に入ったのだった。
ーーそれは、兄の事件のこと。
ーーそう、アレクの兄であるチャールズ・ヴァルリアが死んだのは、本当は事故ではなく事件だということが分かった時、アレクは小説の中では部屋でかなり荒れていた。
犯人が信用していた相手だと知った時、屋敷に押し掛けてその相手を問い詰めた。
相手が必死に謝っているとはいえ、悪い奴がそう簡単には大人しく投降するわけもなく、案の定、剣を抜いて斬りつけてきたせいで相手を斬るしかなかったアレク。
残された書類から黒幕が側妃であることを知って、心に決意をした公爵は王宮へと乗り込んでいき、邪魔をしてくる……まあ、普通に騎士も仕える相手を守るために阻止しようと邪魔をしてきたのだけど、とにかく、謁見の間までの間で遭遇した騎士や使用人たちは、すべて次々と殺していって、最後には謁見の間にいた皇族たちをもその手にかけてしまう。
ーーそうして、公爵は血の海の中で狂ったように笑って終わるという……かなりハードでヤバくてエグい小説のラスト。
ーーそんなヤバい人を癒すのは、勿論、ヒロインという存在。
娘を殺されて、ちょっと暗い公爵とお見合いをしたヒロイン。
紹介してくれた人の手前、お見合いをした公爵と、娘の事件を知っていて公爵を気遣っていたヒロイン。
娘の事件を調べていた過程で兄の事件の真実を知ってしまった公爵。
部屋で荒れに荒れていたところに駆けつけたのはヒロイン。事情聞いて慰めて寄り添ったことで、二人は初めて結ばれる。
しかし、結ばれた愛おしい人を残して公爵が向かったのは犯人のところ。
その時、闇落ちしてしまった公爵。
ーー結局、王宮まで血の海にして狂ったように笑った公爵。
その間、ヒロインは公爵の屋敷のベッドで幸せそうに眠っていたという、とんでもない小説の結末。
ーー本を手にとって小説を読んでいた時とは違って、その読んでいた小説の中に転生してしまった私。
ーーホント、とんでもないことだわ。今流行りの世界に巻き込まれてしまうなんて……。
ーーまさか私がその立場になるんじゃないでしょうね。
できれば避けたいけど……。
そう考えると、本当に不安でしかないと思ったフィオナ。
「………………あ、れ?」
その時、ようやくある違和感に気が付いてしまうフィオナでした。
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