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第二章

第60話 的外れな推理

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「これはまだ未確認の情報なのですが……」

――と騎士は前置きを挟み話始めた。

「サラマンダーが原因とされていうのですが通常サラマンダーは呪いを使いません。恐らくサラマンダーに似た何か……例えば亜竜デミドラゴンなどが原因なのかもしれません」

「人里付近に亜竜デミドラゴンは生息していないはず……」

「だったらさ、亜竜デミドラゴンを起こすような何かがあったんじゃない?」

 ――とヒトが騎士が敢えて言語化しなかった部分を言語化する。
 『呪怨瓶じゅおんへい』の話はまだ誰にもしていない。ためこの騎士は推測を交えつつも核心に迫った考察には脱帽する。

「急ぎ探索部隊をだした方が良さそうですね……」

「それがいいかと……」

 こうして食事会は終わり、兵士達の病室は大部屋で怪我が酷い者には俺が【ヒール】をかけて完治手前まで治してあげた。
 冒険者達が入院している部屋は、十人以上用の大部屋だった。

 ベッドとベッドの間は人が一人立てる程度の隙間しかなく、コスト削減もここに極まれりと言った感じだった。
 部屋に入って直ぐ目に入った冒険者達は、傷口を包帯で覆っており傷が治りきっていないようで血が滲んで赤黒く変色している。

 コッロス公爵家や神殿に備蓄されていたポーションの数が少なかったため、何とか死者だけは出さないようにしたのだろう。

 医療の現場にいる人間には、『識別救急トリアージ』のような概念が産まれつつあるのだろうと考える。
 数日間でそれなりに回復したようだが、安静にしていないといけない患者が多そうだ。

「今回は苦労をかけました。みなさまお加減はいかがですか?」

「見ての通り平気です」

 冒険者は緊張した様子でオットー姉さんの問いかけに答えた。

「入院した当日は真っ青だったじゃねぇーか」

「うるせぇ」

「ふふふふ」「「「「「「ははははは」」」」」」

 公爵家の子女の前とは思えないぐらいフランクな態度には、秘密があった。

 オットー姉さんはコッロス公爵家内でも有数の慈善家として知られ、孤児院への寄付や炊き出し簡単な読み書きを教えてあげていた。

 かく言う俺も、オットー姉さんに読み書きは習ったことになっている。
 フランクな雰囲気は一転し真面目な話に戻った。

「騎士達から訊きましたが調査は大変だったそうですね」

「ええかなりの数の雑魚が何かに怯えるように、こちらに向かってきていたのでハッキリ言って調査できたことは、ほんの僅かです」

「パーティーの魔術師が言うには、強大な魔力の残滓と呪いを感じたとか……」

「強大な魔力の残滓と呪いですか?」

 両方ともに心当たりがある。
 『強大な魔力』は俺の魔力測定。
 『呪い』は先ず間違いなく『呪怨瓶じゅおんへい』による瘴気しょうきのことだ。

 両者共に立場も知識量も異なるハズなのに、同じような結論を導き出せるとは優秀な証拠だ。

「『強大な魔力』は騎士達の話から推察するに『亜竜デミドラゴン』のような強力なトカゲ型モンスターでしょう」

「確かに『亜竜デミドラゴン』の中には『呪い』を扱う種類も居ると訊いた事がある……」

「なら騎士達の言うように『亜竜デミドラゴン』の仕業なのでは?」

 彼らは騎士達とは違う結論を導き出せるポテンシャルはあったのに、余計な入れ知恵のせいで同じ結論になってしった。
「はぁ……」短い溜息を付くと真実を知っている俺が、虚を使って真実に導かないと重大な誤解が産まれそうだ。
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