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第二章

第61話 虚構の推理

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「それは少し早計かと……」

「なんだと!?」

 冒険者は声を荒げ今にも掴みかからんと言わんばかりに手を伸ばした。

「冷静に成って下さい」

「魔力なしの半血が!! 天使さまの御言葉で命拾いしたな!!」

天使様って……いつからここはラブコメ世界になったんだ? CV石見〇菜香じゃないんだぞ?

「一つよろしいですか? 『爆発』と『呪い』と言う事実から想像力を働かせ過ぎなんですよ。確かに『爆発』と『呪い』を関連付けて考える方が合理的と言えます」

 俺は部屋の中をぐるぐると回る。

「しかし二つの出来事を無理矢理一つの現象で説明するのは乱暴です。例えば壺のようなモノが爆発し中に入っていた呪いや瘴気が漏れ、モンスターの活性化に繋がったとは考えられませんか?」

 『呪怨瓶じゅおんへい』と言う固有名詞を出さずに、『爆発オレ』と『呪いビン』を別々のモノだと認識させる必要がある。

「妄想だ!」

「貴方は想像力を働かせすぎなんです。想像力はよき下僕だが主人には不向きだ。もっともシンプルな理由が大体真実なんですよ」

「――なっ!」

「考慮に入れなくていい事柄など一つもありません。もし事実が推測と一致しないのなら、そのときは推理が間違っているということです。それに俺以外の方々はシンプルな理由を考慮していません。灰色の小さな脳細胞が活動させて考えてみてください」

「――あっ!」

 予想外なことにミナが声を上げた。

「『亜竜デミドラゴン』は基本的に人里付近に生息していない」

「その通り。だったら考慮するべきは、それ以上の存在かそれ以下の存在です」

「ドラゴンが出たとでも言いたいのか?」

 冒険者の口調には焦りが感じられた。
 『竜殺し』なんて程度の差はあれ勇者は大体出来ることだ。
 できないのは『呪術師』のようなサポート型ぐらいのものだ

「例えば夜闇や煙の中でドラゴンを目撃したとして翼をたたんでいたり、角度によってはトカゲ型に見えるでしょう。姿が見えなかったのは翼で飛翔するタイプでなかったり、透明になれたり、色が黒っぽかったりなんていくらでも理由は考えられますが……」

「つまり『単一の存在が爆発と呪いの犯人』と考えるのは根拠が足らないと言いたいのね?」

「その通りです。もしそうだったとしてもそれは最悪のケースです」

 爆発が原因でサラマンダーが目覚めたかもしれない。
 しかし『呪怨瓶じゅおんへい』から洩れた瘴気や、より強力なモンスター例えばドラゴンの気配で目覚めたのかもしれない。
 もしかしたらあの場にドラゴンが存在したかもしれないし、恐怖による見間違いかもしれない。
 呪いは騎士や冒険者の言うように亜竜やドラゴンのせいかもしれない。

 なぜなら強力なモンスターであるハズのフェンリルが近くの森に居たからだ。
 過程の仮定は箱の中の猫の生死のようにあやふやだ。

「だったらより一層森の調査をしなければいけないようね」

 そう言ってオットー姉さん向けた視線の先には酷い怪我人が居た。
 肘の先から欠損している。
 腕が残っているのなら高位のポーションで繋げることが出来る。

 しかし呪いが毒と判断されたのか、乱戦等で腕の損壊激しく消失したのかはわからないが、俺の魔術なら問題なく治せる範囲内だ。
 四肢を生やす専用のポーションがあったと思うのだが、高価なためか使われていない。
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