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第二章

第62話 再生

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「その方がいい。俺は……冒険者は引退かな?」

「義手や義足の冒険者もいると訊くけど?」

 戦闘を生業とせずオマケに魔術を主体とするオットー姉さんにとっては、不便になるが戦えない程ではないと言う認識のようだ。

「それほど高度な義手や義足は高価だ。おまけに精密な動作が出来るモノほど壊れやすいらしい。戦闘に耐えるレベルとなれば簡易な構造か魔道具でもないと怖い」

 フック船長のようなモノや予め楯や剣を装備した状態で保てるモノのことを指していると思われる。
 科学の発達していない時代に義肢があるのか?―――

 と思うかもしれないが、元の世界の最も古い義肢の記録としては古代インドの聖典『リグ・ヴェーダ』(紀元前1500~1000年)に記されている。
 また北ケルト(アイルランド)神話のダーナ神王ヌアザは、戦で右腕を失いダーナ神族の王位を失うが鍛冶と工芸の神ゴヴニュが作った銀の義手を医療神ディアン・ケヒトにより装着している。(中世初期以降の記録であると同時にキリスト教のフィルターが入っていると思われる)

 存在が確認されているモノだとエジプトの古都テーベから出土した足の親指型の義肢(紀元前950年~710年)のものや、ほぼ同時期のイタリアの古都カプアから出土した義足は『カプアの脚』と呼ばれ、『サムニウム戦争』とほぼ同時期つまり紀元前300年頃のものと推定されている。

―――しかしどちらも司祭の娘や、ローマ・ラテン市民権を持った人間(有産市民や下級貴族あるいは属州民兵士)と考えられるため非常に高価なものだったと推定される。

「歴史的にも高価なものですから完全に元通りの生活は難しいでしょう」

「……」

「そう言うこった。俺は引退して冒険者や商人相手に武術の指南でもしようかね」

「それが良いと思うわ……」

 何時の時代もセカンドキャリアは難しい。
 特に武芸以外なんの取り柄もない冒険者は……
 先日のサラマンダー騒動で学んだのかグレテル先生が綺麗ごとを言ってくることはない。
 しかしその表情は助けて欲しいと言っている。
 コッロス公爵家のために魔術を使うと思うと腹が立つ。

 だけどこの街の人のためにと思えば不思議と腹は立たなかった。
 バレてもいいか……不思議とそう思えた。
 もし彼が冒険者でもなければ、見て見ぬ振りをして立ち去ったことだろう。
 見て見ぬ振りをして立ち去れば数日心がざわつく、それは言葉を交わしたからに他ならない。
 それは俺の我儘だ。

「彼の怪我を治療してもいいでしょうか?」

 随行している神官に一応許可を得ることにした。

「構いませんよ。先ほどのように【ヒール】を使われますか?」

 確かに俺の場合【ヒール】で腕を再生できるが、本来はもっと上級の回復魔術が必要になる。

「いえ、四肢を再生させます」

「し、四肢を! そんな高位の回復魔術を使えるのはこのベネチアンでも片手の指の数程度しかいません。失礼ですが魔力ゼロと言われたあなたに、そんな大魔術を行使できる魔力があるとは思えません」

「もっともなご意見です。しかし、今のままでは彼の腕は戻らないだったら俺に賭けるのは分の良い賭けではないでしょうか?」

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義手の下りは読みにくい、いらねえよと思われていることは百も承知ですのでカクヨム版では修正します。
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