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第12話
しおりを挟む蒼紫の腕にすがるように捕まったら、気づいたみたいで。
キスしたまま、見つめられて。蒼紫は、ふ、と目を細めた。
そのまま、また、腕の中に引き込まれて。
遠慮のないキス。
息が、できない。動けない。
深く触れられて、ぞくん、と背中が震えた。
う、わ……。
また、涙がにじんできて。
うっすら開いた目に、蒼紫のドアップが映る。
今まで見てきた、どの蒼紫とも、違う。
熱っぽい瞳と視線が絡んだ瞬間、体がカッと熱くなった。
うわ……やば。
これ……なに…… 無理。
「……は……っ……あお、……すとっ、ぷ……」
「……無理」
「……っん」
抑えきれないみたいに、繰り返されるキス。
まだ嘘みたいな、キスしてるという現実を。
ただただ、噛みしめながら。
すごく短かったような気もするし、永遠に続いてるみたいにも思える時間を、過ごした。
「オレ、涼が好きだ」
「……蒼紫……」
「今までごめん……覚悟決めたから……もう誤魔化さないから」
そう言い切るが早いか、蒼紫の唇がまた、オレのそれに重なった。
「……涼が好きだ」
何度も、繰り返し、唇の間で囁いて、また深く、重なってくる。
「ん……っ……」
――キスシーンとか見かけるたびに。
蒼紫とキスしたら、どんななのかなあ、と、
想像しかけて――いつも、途中でやめた。
こんなの、だめだ、と思って。
考えちゃだめだって――。
それが。
急に現実になって、しかも、想像しかけたキスなんか、比べ物に、ならない位。
「――っ……ふ……」
息、一生懸命吸うけれど。
――ついていけない。
「……あお、し……」
ぎゅ、と蒼紫の腕を掴んだら。
「涼……?」
やっと、少し、離してくれた。
ふ、と上向いた蒼紫は、ふ、と息をついた。
「――も、時間だ。もうキスしないから、顔戻して、涼」
「……かお……?」
「本番まであと十分弱だから…息整えて?」
「ほん……ばん……?」
……ほんばんってなんだっけ。
……本番…… あ。
「本番? え、十分……?」
「正確にはあと五分ちょっとでここ出ないと」
「……あと五分……」
顔も熱くて息も早くて、何より、いまだオレは、蒼紫の腕の中にいた。
あと五分……さっき三十分前だったってことは……
結構長い時間、キス、してたんだ……。
しかも……あんな、キス……。
なんか、クラクラする。
「涼、正気に戻って。そんなエロい顔で、外には出さねーぞ」
「な……っ」
誰のせいなんだ。
……っなに、エロい顔って。
言われた言葉があんまりで、言葉を失う。
「ほら、顔。 戻せ」
ぶに、と、両頬をつままれて、引っ張られる。
「いたたただだ」
「聞きたいこと、たくさんあるだろうけど、それは後で全部話すから。とにかく――顔早く戻して、歌って、早く寮に帰ろうぜ」
「……うん……と、りあえず……離して? 蒼紫……」
「ん」
そこでようやく、そっと手を離して、オレを自分の腕の中から逃がしてくれた。
熱いままの両頬を、両手で挟んで、冷やす。
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