【Rain】-溺愛の攻め×ツンツン&素直じゃない受け-

星井 悠里

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◇Rain本編

3



「……なんで雨、好きなんだよ?」

 変な奴、と言う、類の表情に、浩人はプッと笑った。

「そんな嫌そうな顔しなくても良くない?」
「……だって雨嫌い」
「そぉ?」

 人通りの少ない道路を、ゆっくりゆっくり歩く。


「―――……類は、雨の何が嫌いなの?」

 浩人の穏やかな声。
 ――――……不思議と、不機嫌な感情が、薄れていく。
                       

「……濡れるの嫌だし」
「嫌だし?」

「……傘さすのめんどくせーし」
「めんどくせーし?」

「……降った後暑くなるのも寒くなるのも気分悪ぃし」
「……気分悪いし?」

 浩人がクスクス笑いながら、類の言葉を繰り返して、先を促す。


「他は?」
「……服は濡れるし靴も汚れるし」

 浩人が途端にプッと吹きだした。

「何か、類、子供みたいだな」
「……るせーな。とにかく、嫌いなんだよ」

「――――……ふぅん。そっかー。嫌いかー」

 浩人は面白そうに類を見下ろしてきて。
 一瞬辺りを見回して。足を止めると。


「……何?  ……!」
  
 少し背をかがめて、浩人は類の唇にキスをした。
       

「な、にすんだよ、こんなとこで」      

 真っ赤になった類が声を潜めて、でも小声で怒っている。
 クスクス笑いながら、浩人は類を見つめる。     


「……傘あると、2人で隠れられていいじゃん?」
「……」

「―――……ちゃんと類、傘1本で迎えに来てくれたしな?」
「っ……お前が」

「ん?オレが?」


「……2本持ってきても捨てるって言ったからだろ」

 ぼそぼそと呟く類を浩人は愛おしそうに見つめて、道路側に傘を向けると。
 再びキスした。
       

「何でそんなに可愛いの?」
「……っの、バカ!」

 ますます赤くなる類に、浩人はクスクス笑う。
      

 2人でまた歩き出しながら。
 浩人は、類を見下ろした。


「なぁ、類」
「……んだよ」

 むすっとしている類に浩人は微笑みながら話しかけた。

 
「……濡れたらさ」
「……ん?」

「濡れたら、オレが拭いてやるし。傘さすの面倒だったら、オレがこうしてさしてやるし?」
「――――……」

「降った後暑くなったらどっか涼しいトコ連れてくし、寒かったらあっためてあげるし」
「……」

 見つめる類に、浩人はクスクス笑った。

「あと何だっけ? ……ああ。靴と服か。汚れたら洗ってあげるよ」

 言って、また、おかしそうに笑う。

「それでも雨嫌い?」

 ひたすら優しい声に、類は黙って浩人を見上げていた。


「オレ雨、好き。 こーして、類とくっついて歩ける」
「……お前が好きな理由って、それ?」
「そだよ?だってそうじゃないと、類、外ではくっついて歩いてくんないじゃん」

 冗談か本気か分からない口調で言って、浩人は笑う。


「――――……バカだなー……」

 類はそう呟く。 呟きに反して、ふっと微笑んで、浩人を見やった。


「――――……バカとか言ってても、類が可愛いから許すけど」


 クスクス笑いながら見つめてくる浩人が、何だかとても好きだと思えた。

 けれどそれは言えずに――――……。


「……早く帰ろ。パスタ食べたいし」
「何、それ。何かもっと違う事、言うのかと思った」
「何、違う事って」

「んー。 浩人、大好き、とか?」
「……早く帰ろ」

 浩人は「素直じゃないなー……」と笑う。


 うん。
 ……知ってるだろ。

 素直じゃないの。


 ……お前が一番、知ってるはず。







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