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第一章
第4話
しおりを挟むオレが初彼女に振られた理由も、亮介のことも、尊にだけは話してある。
ばらさないのはもう、分かってるし。
お互いにいろいろ知りすぎてるので、秘密協定みたいなもの。
「とにかく、なめられないようにな?」
「あ、うん」
「翠はさ、中身は女っぽい訳じゃないし。いざ襲われても合気道で吹き飛ばせるから大丈夫だとは思うけど」
「一般人、吹き飛ばすのはあんまり」
「いざという時はってこと。お前に投げ飛ばされるとは、絶対誰も思わねーもんな。お前にそれが無かったら、オレ、結構心配してただろうけど」
「大丈夫だよ。そこらへんは、心配しなくて平気」
「そうだな。高校入っても、まだ続けんの?」
「もちろん。小三からだしさ、やめたくないから」
その時、コンコン、とノックの音。はーい、とドアを開けると、母さんと、妹の澪が入ってきた。
「お茶どうぞ。お菓子とかはまだいらないでしょ?」
「うん、ご飯食べたばっかりだし」
「尊くん、こんにちはー」
母さんと話してるオレの横で、澪が尊に笑顔で言ってる。「こんにちは、澪ちゃん」と尊が笑顔で返すと、澪、嬉しそう。
いつからか、澪は尊を王子だと思ってるらしい。
少し話してから、二人が出て行くと、尊は「かわいーな、澪ちゃん」とクスクス笑った。
「尊は王子らしいから。あ、でも、手は出さないでね」
「翠、馬鹿なのか? 小二だよ? オレ、そんなに困ってないし」
「はいはい。モテモテだもんな、尊」
「翠だって、普通に女子にモテるじゃんか」
「気を使ってくれなくていいよ。オレは、高校から頑張る」
「別に気ぃ使ってねーけど……まー頑張れー」
「もっとやる気で応援してよ!」
はは、と尊は笑って、ふとドアの方を見てから、オレに視線を戻す。
「ほんと、おばちゃんと、澪ちゃんと翠、そっくりだな」
「言わないで」
「理人りひとはおじさんにそっくりだしな」
「オレも父さんに似れば良かった」
「まあ、そこは選べねーからな」
「ほんと、それね」
うちの父は普通にかなりイケメンなのだ。母は超可愛いと、皆に言われる。親同士でも言われてるし、オレの友達も言う。授業参観で二人そろってくると、嫌と言うほど目立ってた。
高一のオレ、中二の弟の理人、小二の妹の澪。三人も産んで、そこそこ年もとってるのに、可愛いと有名な母さんに、オレはそっくり。遺伝子って怖い。性別を無視してくる。澪は女の子だから可愛くていいけど。でも、可愛いから、オレが守ってあげないとだけど。
理人は父さんにそっくり。まだ中二だけど、イケメンのオーラはひしひしとあって、羨ましすぎる。
「でもまあ、振られた件は、しょうがねーから、とっとと忘れて、高校、次の恋に行けよな?」
「当たり前だし!」
「亮介のことは驚きはしたけど。まあ、すげえ仲良かったのも、好きだったのかと思うと、分かる気はする」
「でも、一目惚れ……」
「だからさ、亮介も言ってたんだろ、別に顔だけじゃないって。最初にそれが出ちまっただけだろ」
そう言われて、オレは少し黙る。分かってるよ、オレだって。自分でも、ほんとに亮介が顔だけで言ったとは、思ってはないんだけど、でもやっぱりさ。
それを一番に出してくるのが、やっぱり嫌なんだよ。
ずっと一緒にいる中で、好きになったって言ってくれてたら全然違ったかもしれない。
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