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第2章

◇ヤキモチ*拓哉

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 ぱち、と部屋の電気を消す。いくつか操作して、窓際にあるオレンジ色の常夜灯だけを残した。鞄から、ゴムとローションを取り出して、布団の横に置いて。織田が無邪気に転がってる布団に手をついた。

「高瀬?」

 ドキドキした顔して、織田が起き上がる。
 じっと見上げてくる織田の前に座って、引き寄せて抱き締めた。
 
「――――……高瀬……今、する?」
「ん。いい?」

「……うん」
「――――……やっと触れる」

 首筋に顔を埋めてキスすると、腕の中の体が、びく、と揺れた。
 ……可愛い。

「――――……浴衣ってさ…… エロイよな……」
「……っエロおやじ……みたいな事、言うなよ」

 真っ赤になって、そんな事言ってくるのがおかしい。

「……だってエロおやじみたいな事、これからしようと思ってるし……」
「っ……っ高瀬、マジで、恥ずかしいから、やめて」

 やだやだ、とばかりに首を振ってる。

 ――――……なんだもう、これ。
 ほんとに可愛い。

 頬や首筋に何度も、キスする。
 くすぐったそうに藻掻かれるけれど、しつこく繰り返して。
 さいごに耳まで舐めあげたら、あ、と声を上げて、織田が大きく震えた。

「……っい、やだ……それ……」

 見上げてくる瞳に涙が浮かんで。
 可愛くて、一瞬で興奮して。やばい。

「――――……」

 浴衣の紐をほどいて、合わせ目から手を入れて、胸を撫でて乳首に触れる。びく、と震えた織田の髪が、オレの顔にふわ、と触れた。

 それだけで、ものすごく愛しく、感じてしまう。


「……織田……」

 キスしたくなって、ぐい、と顎を持ち上げて自分の方にむけさせたら。
 めちゃくちゃ涙目の、真っ赤な顔に、思わず、脱力。

「なんでもう、そんな泣いてんの……?」
「……っだって、なんか、ゆっくり、やるの――――……恥ずかしすぎ……」

 涙を指で拭き取って。
 その頬に、キスした。


「――――……ほんと、可愛いな」

 クスクス笑ってしまう。

「そんなに恥ずかしがられると……すっげえイケナイ事してる気分になるんだけど……」
「っ……イケナイ事、してんだよっっ……もう!」

 泣きだしそうな感じで言う、織田。

 思わず、よしよし、と撫でて、抱き締めてしまう。ひし、としがみつかれて、息をつく。 毒気を抜かれるってこういう事かな……。

「―――……なあ……織田、女とどーやってしてたの?」

「……それ、オレも、最近不思議で……」
「……そうなのか?」

 不思議なんだ、と。 ふ、と笑ってしまう。

「……なんかもう、今、恥ずかしすぎて…… キスすら、どうやってたか思い出せなくて……」

 はー、とため息ついてる織田。

「……織田って、何人位経験あるの?」
「――――……んーと…… 高校で2人で……大学は、付き合った子……何人だろ……って数えた方がいい?」

「……もういいや。数えないでいいよ」

 興味で聞いてみてしまったけれど、数えないと分かんない位って事は、結構相手が居たって事で。そりゃ、女とは、ちゃんとしてたんだろうなと分かりはしたものの。

 でも、なんか、少し、腹立つけど。
 これが嫉妬だとは分かっていて、んー、と自分に呆れながら、とりあえず織田を抱き締める。


 ……誰かの、過去なんかにヤキモチ妬く日が来るとは思わなかった。
 こんな感情、初めてで、少し自分に驚いてしまう。

 あったんだなー、嫉妬する、感情とか。

 ――――……欠落してるのかもと思ってた位、織田と会うまで感じた事、無かったのになあ。結構今モヤモヤしてて、ほんと驚いてる。



 すると。

「……たかせ」

 織田が、ぎゅう、と抱き付いてきた。


「数わかんないとか言ったから、怒った?」
「――――……怒ってはないよ」

「でもやだった?」

 じ、と見つめられる。



「完全にヤキモチ。――――……オレ妬くんだなーって、ちょっと驚いてるだけ」

「……ヤキモチって、初めてなの?」
「ん。覚えてる限り、あんまり感じた事ないな……去るもの追わずだったし」


「――――……オレは、めちゃくちゃ妬いてるけどね」
「ん?」

「高瀬が今まで付き合ってきた女の子達に」


 そんな宣言されると、おかしくなってしまう。


「……じゃあオレ達、お互い妬いちゃうってことで……これからは、妬かせないようにしようね?」

 そんな言葉に、ふ、と笑ってしまいながら頷いたら。
 織田の顔が少しほっとして、笑んだ。



「オレさ、女の子としてた時は普通にできてたと思うんだけどさ。今、されるっていうのがめちゃくちゃ恥ずかしいのと……あとは……オレ、ほんとに高瀬が、好きで……高瀬に色々見られるのとかが、死ぬほど恥ずかしい、んだよね……」

 ぎゅーーーー、と抱きついてくる。


「――――……でも高瀬と抱き合うのは、好き。だから……」
「――――……」



「……頑張る!」


 ――――……頑張るのか。

 一生懸命言ってくれてるのは分かるのだけれど。
 なんだか可愛すぎて、可笑しすぎて、クッと笑いがこみあげてきてしまう。








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