1 / 41
プロローグ
プロローグ
しおりを挟む「桜の樹の下で笑えたら」
【side*安達 心春】
悠斗に会ったのは、小学校の入学式の前日。家族でお花見に行った、家のすぐ近くの広い公園。
一番大きな桜の樹が、満開の日だった。
桜の花を見上げて見惚れていたら、隣に、同じように見上げている男の子がいることに気付いた。
目があった瞬間に、にっこり笑ってくれた男の子。
綺麗だね、と笑い合って。
風で散ってくるピンク色の花びらを手でキャッチするという、それだけの遊び。
私はなかなか取れなくて。でも楽しくて。二人で夕方まで過ごした。
まっすぐに目を見て話してくれる、笑顔が優しい子。
相沢 悠斗くん。その名前を、思い浮かべながら眠った。
翌日入学式で再会して、びっくり。同じクラスだった。
悠斗の入学に合わせて引っ越してきたらしくて、出会った公園を挟んで向こう側に二分位の所に家があった。公園を突っ切れば、私の家から十分かからない位。
学区の端の私達の家の方から行く子が他に居なかったので、一緒に通うことになった。最初はお姉ちゃんとその友達が一緒だったけど、私達が慣れてからはお姉ちゃんとは別で行くようになって、悠斗とずっと二人だった。
六年間で、四年生の時だけ違うクラス。クラスが違っても、私達は一緒に帰った。
行きも帰りも一緒。
帰り道。桜の樹の下で寄り道した。
大きな桜の樹は、よりかかるのにちょうどよくて。2人で並んで、たくさん話した。
そこから一旦家に帰ってから公園でも遊んだ。他の子達も一緒の時もあったけど、悠斗と私は必ず一緒。
からかわれることもあったけど、それも、嬉しい位。
悠斗のことがずっと、好きだった。
中学生になって、悠斗はサッカー部、私は吹奏楽部で、お互い朝練。時間がずれてしまって、行きも帰りも一緒ではなくなった。
でもその分、スマホで連絡を取れるようになったから、いつもやり取りしていた。
会える時は、公園で会った。
ただ、話すだけ。
二人でブランコに乗って話したり。桜の樹に寄りかかって、話したり。
悠斗は、小さい頃は、くりくりした瞳がとっても可愛かった。
成長すると、どんどんカッコよくなっていって。「モテる」とか「イケメン」とかよく言われるようになった。
告白されたりも、噂ではよく聞いた。
でも。誰とも付き合わなかったし、変わらずにずっと、私の側に、居てくれた。
笑うのも、泣くのも、たまに何かに怒るのも、一緒だった。
桜の時期にブランコに乗ると、真上に桜の枝。高くこぐと、桜の花びらと青空に近付く気がする。
隣のブランコを見ると、悠斗が居て、笑顔。
悠斗は、私にとって、大好きな桜のイメージそのものだった。
優しくて。暖かい。
会ってから、ずーっと、大好きだった。
23
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
フッてくれてありがとう
nanahi
恋愛
【25th Anniversary CUP】にて、最終ランキング3位に入りました。投票してくださった皆様、読んでくださった皆様、ありがとうございました!
「子どもができたんだ」
ある冬の25日、突然、彼が私に告げた。
「誰の」
私の短い問いにあなたは、しばらく無言だった。
でも私は知っている。
大学生時代の元カノだ。
「じゃあ。元気で」
彼からは謝罪の一言さえなかった。
下を向き、私はひたすら涙を流した。
それから二年後、私は偶然、元彼と再会する。
過去とは全く変わった私と出会って、元彼はふたたび──
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
