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第2章
絆に気づく時
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ガーネルランド王国に、義務教育はない。学校は、お金がある人がいくところ。ただし、例外があった。
ひとつは、騎士学校。
ここは、国に仕える騎士団や街を守る警護団に入るための騎士養成学校。
力や剣などの試験があり、誰でも試験が受けられる。合格できれば、学費免除で勉強ができる。魔力がない人には、人気の学校だ。
ただし、卒業後3年間、騎士団や警護団で働くことが条件だ。その後は自由になれるが、たいていはそのまま仕事を続けるようだ。冒険者になる人も多いらしい。
もうひとつが、魔法学校。
こちらでは、子供は6歳になると魔力検査を受けなければならない。少しでも魔力があれば、魔法学校へ入学することが決められている。義務教育といえば、義務教育だね。
魔力暴走防止のためでもあるが、魔力がある人は一部の人に限られるので、人材確保が目的だ。こちらも、学費免除で勉強ができる。
ただし、卒業後3年間、国に仕えなければならない。魔力値が低くても、なにかしら仕事はあるそうだ。その後は自由になっても、仕事には困らないそうだ。魔力、万歳。
「魔法学校って、食堂から通えるの?」
ドリーに聞いてみた。
「魔法学校って、寮生活なのよ」
「えっ、そうなの?」
ちなみに、騎士学校も寮生活なんだって。
外出は自由に出来るそうだ。
ドリーとは毎日のように会っていたから、会えなくなるのは少し寂しいな。頻繁に食堂へ帰ることにしようかな。
「そういえば、私みたいに大きくなってから、途中入学する人っているの?」
「前に話したでしょう?精霊の加護を受ける人もいるって。何人いるかはわからないけど。毎年、途中入学の人はいるらしいわよ」
「よかった。歳の近い人がいるといいな」
食堂に帰ってから、おばさんたちに、魔力検査の結果と魔法学校入学の話をすると、びっくりするより納得された。
「やっぱり魔力持っていたね。学校へ入っちまうのは寂しいが、ここはあんたの家だ。帰れる時はいつでも帰っておいで」
「ありがとう、おばさん」
「アリサ、お前には俺達がついてる。負けんじゃねえぞ」
「ありがとう、おじさん」
日本でいじめられてたって知らないはずなのに、おじさんは知ってるみたいに、私を励ましてくれる。うん、負けないよ。
「お姉ちゃんがいなくなると、寂しいな」
「ミリア、これからもよろしくね」
「食堂のことは心配しなくていいから、しっかり勉強するんだよ」
「ありがとう、メイさん。手伝いが一人抜けると、忙しくなるね」
「それは大丈夫よ」
魔法学校などへ子供が入学する場合、その子供が家の働き手になっている家庭だってある。そんな時には、国から補助が出るんだって。至れり尽くせりだね。これも将来のためなんだとか。
魔法学校を卒業し、国への奉仕義務終了後、魔力持ちの人が他国へ行ってしまうこともあるそうだ。そのため、補助を出すことで、自国に残るようにさせようという思惑もあった。それが実を結んでいることもあるし、また他国で魔力のある子供を持つ親がガーネルランド王国へ移住することもあるという。
だから私が学校へ行ったら、おじさんたちは一人分の補助がもらえる。それでお手伝いを一人雇うこともできる訳だ。
でもおじさんは補助を受けないつもりだという。
「なんで?」
「忙しいと分かってたら、アリサは帰ってきたくなるだろう?」
「父さん、それはアリサの負担になるから。しかも言い方、悪いし…。あのねアリサ、父さんはあんたを本当の娘と思ってるの。だから、アリサの居場所を開けときたいだけなんだよ。私もあんたを本当の妹だと思ってる。だから手伝いとか関係なしで、気がねなく帰っておいで」
メイさんが言ってくれる。
『たかが学校へ行くだけなのに、お前たちはなんでそんなに深刻になっているんだ?』
シロガネは不思議そうだ。
「それはね、家族だからだよ、きっと」
私、この世界に来て、よかった。おじさんたちと出会って、よかった。
~~~~~~~~~~~~
いい表現にならず、自分の才能のなさがイヤになります。
少しでも、皆さんに話が伝わっているといいなと思っています。
ひとつは、騎士学校。
ここは、国に仕える騎士団や街を守る警護団に入るための騎士養成学校。
力や剣などの試験があり、誰でも試験が受けられる。合格できれば、学費免除で勉強ができる。魔力がない人には、人気の学校だ。
ただし、卒業後3年間、騎士団や警護団で働くことが条件だ。その後は自由になれるが、たいていはそのまま仕事を続けるようだ。冒険者になる人も多いらしい。
もうひとつが、魔法学校。
こちらでは、子供は6歳になると魔力検査を受けなければならない。少しでも魔力があれば、魔法学校へ入学することが決められている。義務教育といえば、義務教育だね。
魔力暴走防止のためでもあるが、魔力がある人は一部の人に限られるので、人材確保が目的だ。こちらも、学費免除で勉強ができる。
ただし、卒業後3年間、国に仕えなければならない。魔力値が低くても、なにかしら仕事はあるそうだ。その後は自由になっても、仕事には困らないそうだ。魔力、万歳。
「魔法学校って、食堂から通えるの?」
ドリーに聞いてみた。
「魔法学校って、寮生活なのよ」
「えっ、そうなの?」
ちなみに、騎士学校も寮生活なんだって。
外出は自由に出来るそうだ。
ドリーとは毎日のように会っていたから、会えなくなるのは少し寂しいな。頻繁に食堂へ帰ることにしようかな。
「そういえば、私みたいに大きくなってから、途中入学する人っているの?」
「前に話したでしょう?精霊の加護を受ける人もいるって。何人いるかはわからないけど。毎年、途中入学の人はいるらしいわよ」
「よかった。歳の近い人がいるといいな」
食堂に帰ってから、おばさんたちに、魔力検査の結果と魔法学校入学の話をすると、びっくりするより納得された。
「やっぱり魔力持っていたね。学校へ入っちまうのは寂しいが、ここはあんたの家だ。帰れる時はいつでも帰っておいで」
「ありがとう、おばさん」
「アリサ、お前には俺達がついてる。負けんじゃねえぞ」
「ありがとう、おじさん」
日本でいじめられてたって知らないはずなのに、おじさんは知ってるみたいに、私を励ましてくれる。うん、負けないよ。
「お姉ちゃんがいなくなると、寂しいな」
「ミリア、これからもよろしくね」
「食堂のことは心配しなくていいから、しっかり勉強するんだよ」
「ありがとう、メイさん。手伝いが一人抜けると、忙しくなるね」
「それは大丈夫よ」
魔法学校などへ子供が入学する場合、その子供が家の働き手になっている家庭だってある。そんな時には、国から補助が出るんだって。至れり尽くせりだね。これも将来のためなんだとか。
魔法学校を卒業し、国への奉仕義務終了後、魔力持ちの人が他国へ行ってしまうこともあるそうだ。そのため、補助を出すことで、自国に残るようにさせようという思惑もあった。それが実を結んでいることもあるし、また他国で魔力のある子供を持つ親がガーネルランド王国へ移住することもあるという。
だから私が学校へ行ったら、おじさんたちは一人分の補助がもらえる。それでお手伝いを一人雇うこともできる訳だ。
でもおじさんは補助を受けないつもりだという。
「なんで?」
「忙しいと分かってたら、アリサは帰ってきたくなるだろう?」
「父さん、それはアリサの負担になるから。しかも言い方、悪いし…。あのねアリサ、父さんはあんたを本当の娘と思ってるの。だから、アリサの居場所を開けときたいだけなんだよ。私もあんたを本当の妹だと思ってる。だから手伝いとか関係なしで、気がねなく帰っておいで」
メイさんが言ってくれる。
『たかが学校へ行くだけなのに、お前たちはなんでそんなに深刻になっているんだ?』
シロガネは不思議そうだ。
「それはね、家族だからだよ、きっと」
私、この世界に来て、よかった。おじさんたちと出会って、よかった。
~~~~~~~~~~~~
いい表現にならず、自分の才能のなさがイヤになります。
少しでも、皆さんに話が伝わっているといいなと思っています。
応援ありがとうございます!
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