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第3章
魔法学校へ
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いよいよ、魔法学校に入学することになった。新学期となる日があるのだが、私のような精霊の加護者などの場合は、魔力制御もあるので途中入学は認められている。それにギルマスのハンクさんの推薦もあり、月待たずで入学できることとなった。
中途入学ってスゴく不安なんだけど、大丈夫かなぁ?
「いいか、アリサ、ツラい時はいつでも帰ってくるんだぞ」
「アリサ、昼飯はここで食べるようにするといいよ。毎日用意してやるからさ」
「父さん、母さんも、アリサは学校へ行くだけよ?しかも同じ街なんだから、心配ししすぎよ」
「だってよー、メイ。アリサは物忘れ病だぞ。いろんなことを忘れてるって、誰かにいじめられたらどうするんだ?」
「大丈夫ですよ、お義父さん。アリサちゃんはしっかりしてるし、やさしい子です。みんなとうまくやっていけますよ」
コイルさん、ありがとう。
「私も頑張って、早く仕事できるようにします」
コメットさん、ありがとう。でもムリしないでね。
「アリサ、カッコいい男の子がいたら仲よくなって、紹介してね」
ドリーってば、勉強にいくんだからね!でもカッコいい男の子、いるかな?
おじさんたちだけでなく、メイさん一家、ドリーまで、みんなが見送りにきてくれた。
学校の寮に入るので、毎日は「家」に帰れない。休みの日は届け出を出せば外泊も可能だという。
「おじさん、おばさん、お手伝いできなくて、ごめんね」
「そんなことはいいんだよ」
「そうさ。しっかり勉強してきな」
「じゃ、皆さん、いってきます」
「「「いってらっしゃい」」」
みんなに見送られて「家」を出た。魔法学校へは、ギルドのランスさんが送ってくれる。
馬車に乗って、みんなに手を振る。みんなも手を振って、見送ってくれた。
「アリサさんは、皆さんに大事にされているんですね」
「おじさんたちは本当に良くしてくれるんです。みんな、いい人たちです」
「羨ましいですね」
「あの、学校へ送ってもらって、すみません」
「いいんですよ。あなたが謝る必要はないんですから」
あの「魔獣売買グループ」の事件の後、警護団からギルドへ苦情がいったそうだ。警護団の人の多くが、食堂の常連さんだ。その団員さんたちが、私がオトリになったと聞いて、怒ったそうだ。
「子供を危険な目に合わせるなんて、ギルドは何をしているのか!」
私は小さな子供認定されてるのかなぁ?
「犯人グループを捕らえるためとはいえ、やり過ぎだ!」
とか。
そのため「お詫び」に、ギルドの方で入学手続きなどをすべてやってくれた。そして馬車までだしてくれた、という訳。
警護団のライカさんに言われたの。
「今度何かある時は、ギルドではなく警護団を頼れ」
って。でも「何か」がないことを祈りたい。
家を出て、街の中心を抜け、少し行くと、そこからは街の様子が一変する。
道を歩いている人たちを見ると、今までの人たちより上品なもの、あるいはきらびやかなものを着ている人が多い。露店はないし、建っているお店も高級商店街って感じ。立派な家が並んでいるし、スゴく場違いなところに来た感じがする。
「あのー、ラウルさん」
「なんですか?」
「魔法学校には庶民の子だっているんですよね?」
「もちろん、いますよ。どうしてです?」
「だって、この街並みを見ると、場違いなところに来たみたいで…」
「ああ、この辺は貴族たちが住む一等地に近いからですよ。貴族向けの高級店がありますから。でも安心してください。お手頃な値段の店もありますよ」
魔法学校はアルクトラスの一等地に近い東側に位置している。その理由もあるが、もうひとつ理由がある。魔法学校の生徒の大部分は、貴族の子供らしい。貴族は魔力が高い人が多いんだって。だから、貴族の子供相手の店が多いらしい。しかし、庶民の生徒だっている。それで、庶民的なお店もあるんだって。
それを聞いて、ホッとした。
++++++++
魔法学校はクラス別に分かれて、授業を受ける。
魔力が日常魔法レベルを教えるCクラス。
魔力が中級で、簡単な魔法を教えるBクラス。
魔力値が高く、複雑な魔法を教えるAクラス。
クラスの人数が多い場合は、C-1、C-2というようにクラスが分かれる。少人数教育である。
私の行く予定の特殊であるDクラスは、幼少期に魔力はなかったが、後に精霊の加護をもらったことで魔力持ちになった人たちが学ぶクラスだ。
昔、急に魔力持ちになったため、魔力をうまく扱えず大事になったことがあったので、設立されたクラスだという。そのため、生徒は子供から中年層までと年齢は幅広いらしい。
同年代の子がいるといいいな。
「学校が見えてきましたよ」
ラウルさんが言ったので、前方に目を向けると、大きな宮殿のような建物が見えた。
「あれが学校ですか?お城みたいです」
「お城ほど、きらびやかじゃないですよ」
「…そうですか?」
外観は凄いと思います。
「大きい建物ですね」
「生徒も多いですし、寮などの生活スペースもありますから」
大きな門をくぐり、正面玄関まで馬車は進む。門から学校の玄関までが長い!左右には木が植えてあり、その間から庭園らしきものも見える。凄いです。
「さあ、着きましたよ」
玄関に着いて、馬車を降りる。中に入るのが、躊躇われる。一応一番良い服で来たけど、正装する服とかの方がよかったのかな?持っていないけど…。
「どうしたんですか?」
「私、こんな格好でよかったんでしょうか?」
「何を言っているんですか?ここは学校ですよ?正装する方がおかしいですよ」
「そうですか…」
建物に入ると、天井が高い。でも、シンプルな内装だった。
右手にのびる廊下から、背広みたいな服を着た若い男性が歩いてきた。男性の髪はライトグレーで、背が高かった。
「ラウル、ご苦労様です」
「やあ、ポラス。この子が今日から入学するアリサさんだよ。アリサさん、こっちは学校の職員のポラスです」
「ポラスさん、アリサです。このシルバーウルフはシロガネです。よろしくお願いします」
「魔法学校へようこそ。早速ですが、校長先生たちが待っていますので、案内させていただきます」
「はい」
「ではこちらへどうぞ」
「アリサさん、私はここで失礼しますよ」
ラウルさんが言う。えっ⁉もう帰っちゃうの?
「私はアリサさんを送ってきただけですから。またなにかあったら、いつでもギルドへ来てください。そして勉強頑張ってください」
「ありがとうございます。もしなにかあった時は、よろしくお願いします」
~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
ようやく第3章を更新することができました。ここから少し趣が変わります。でも、いろいろ作っていきたいとは思います。よろしくお願いします。
中途入学ってスゴく不安なんだけど、大丈夫かなぁ?
「いいか、アリサ、ツラい時はいつでも帰ってくるんだぞ」
「アリサ、昼飯はここで食べるようにするといいよ。毎日用意してやるからさ」
「父さん、母さんも、アリサは学校へ行くだけよ?しかも同じ街なんだから、心配ししすぎよ」
「だってよー、メイ。アリサは物忘れ病だぞ。いろんなことを忘れてるって、誰かにいじめられたらどうするんだ?」
「大丈夫ですよ、お義父さん。アリサちゃんはしっかりしてるし、やさしい子です。みんなとうまくやっていけますよ」
コイルさん、ありがとう。
「私も頑張って、早く仕事できるようにします」
コメットさん、ありがとう。でもムリしないでね。
「アリサ、カッコいい男の子がいたら仲よくなって、紹介してね」
ドリーってば、勉強にいくんだからね!でもカッコいい男の子、いるかな?
おじさんたちだけでなく、メイさん一家、ドリーまで、みんなが見送りにきてくれた。
学校の寮に入るので、毎日は「家」に帰れない。休みの日は届け出を出せば外泊も可能だという。
「おじさん、おばさん、お手伝いできなくて、ごめんね」
「そんなことはいいんだよ」
「そうさ。しっかり勉強してきな」
「じゃ、皆さん、いってきます」
「「「いってらっしゃい」」」
みんなに見送られて「家」を出た。魔法学校へは、ギルドのランスさんが送ってくれる。
馬車に乗って、みんなに手を振る。みんなも手を振って、見送ってくれた。
「アリサさんは、皆さんに大事にされているんですね」
「おじさんたちは本当に良くしてくれるんです。みんな、いい人たちです」
「羨ましいですね」
「あの、学校へ送ってもらって、すみません」
「いいんですよ。あなたが謝る必要はないんですから」
あの「魔獣売買グループ」の事件の後、警護団からギルドへ苦情がいったそうだ。警護団の人の多くが、食堂の常連さんだ。その団員さんたちが、私がオトリになったと聞いて、怒ったそうだ。
「子供を危険な目に合わせるなんて、ギルドは何をしているのか!」
私は小さな子供認定されてるのかなぁ?
「犯人グループを捕らえるためとはいえ、やり過ぎだ!」
とか。
そのため「お詫び」に、ギルドの方で入学手続きなどをすべてやってくれた。そして馬車までだしてくれた、という訳。
警護団のライカさんに言われたの。
「今度何かある時は、ギルドではなく警護団を頼れ」
って。でも「何か」がないことを祈りたい。
家を出て、街の中心を抜け、少し行くと、そこからは街の様子が一変する。
道を歩いている人たちを見ると、今までの人たちより上品なもの、あるいはきらびやかなものを着ている人が多い。露店はないし、建っているお店も高級商店街って感じ。立派な家が並んでいるし、スゴく場違いなところに来た感じがする。
「あのー、ラウルさん」
「なんですか?」
「魔法学校には庶民の子だっているんですよね?」
「もちろん、いますよ。どうしてです?」
「だって、この街並みを見ると、場違いなところに来たみたいで…」
「ああ、この辺は貴族たちが住む一等地に近いからですよ。貴族向けの高級店がありますから。でも安心してください。お手頃な値段の店もありますよ」
魔法学校はアルクトラスの一等地に近い東側に位置している。その理由もあるが、もうひとつ理由がある。魔法学校の生徒の大部分は、貴族の子供らしい。貴族は魔力が高い人が多いんだって。だから、貴族の子供相手の店が多いらしい。しかし、庶民の生徒だっている。それで、庶民的なお店もあるんだって。
それを聞いて、ホッとした。
++++++++
魔法学校はクラス別に分かれて、授業を受ける。
魔力が日常魔法レベルを教えるCクラス。
魔力が中級で、簡単な魔法を教えるBクラス。
魔力値が高く、複雑な魔法を教えるAクラス。
クラスの人数が多い場合は、C-1、C-2というようにクラスが分かれる。少人数教育である。
私の行く予定の特殊であるDクラスは、幼少期に魔力はなかったが、後に精霊の加護をもらったことで魔力持ちになった人たちが学ぶクラスだ。
昔、急に魔力持ちになったため、魔力をうまく扱えず大事になったことがあったので、設立されたクラスだという。そのため、生徒は子供から中年層までと年齢は幅広いらしい。
同年代の子がいるといいいな。
「学校が見えてきましたよ」
ラウルさんが言ったので、前方に目を向けると、大きな宮殿のような建物が見えた。
「あれが学校ですか?お城みたいです」
「お城ほど、きらびやかじゃないですよ」
「…そうですか?」
外観は凄いと思います。
「大きい建物ですね」
「生徒も多いですし、寮などの生活スペースもありますから」
大きな門をくぐり、正面玄関まで馬車は進む。門から学校の玄関までが長い!左右には木が植えてあり、その間から庭園らしきものも見える。凄いです。
「さあ、着きましたよ」
玄関に着いて、馬車を降りる。中に入るのが、躊躇われる。一応一番良い服で来たけど、正装する服とかの方がよかったのかな?持っていないけど…。
「どうしたんですか?」
「私、こんな格好でよかったんでしょうか?」
「何を言っているんですか?ここは学校ですよ?正装する方がおかしいですよ」
「そうですか…」
建物に入ると、天井が高い。でも、シンプルな内装だった。
右手にのびる廊下から、背広みたいな服を着た若い男性が歩いてきた。男性の髪はライトグレーで、背が高かった。
「ラウル、ご苦労様です」
「やあ、ポラス。この子が今日から入学するアリサさんだよ。アリサさん、こっちは学校の職員のポラスです」
「ポラスさん、アリサです。このシルバーウルフはシロガネです。よろしくお願いします」
「魔法学校へようこそ。早速ですが、校長先生たちが待っていますので、案内させていただきます」
「はい」
「ではこちらへどうぞ」
「アリサさん、私はここで失礼しますよ」
ラウルさんが言う。えっ⁉もう帰っちゃうの?
「私はアリサさんを送ってきただけですから。またなにかあったら、いつでもギルドへ来てください。そして勉強頑張ってください」
「ありがとうございます。もしなにかあった時は、よろしくお願いします」
~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
ようやく第3章を更新することができました。ここから少し趣が変わります。でも、いろいろ作っていきたいとは思います。よろしくお願いします。
応援ありがとうございます!
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