接近禁止!なのにその壁を、溺愛男子に破られました

らいち

文字の大きさ
20 / 75
第一章

参ったなあ

しおりを挟む
「何買って来たの?」

 興味津々といった風情で、雅乃が秋永君の手元を覗き込む。

「ああ、これ? おにぎりとサラダの大盛り。未花ちゃんから唐揚げとキンピラもらったから」

 嬉しそうにどや顔で言う秋永君に、ああ~と言った表情で雅乃が私を見た。
 ……だから、そんな風に見ないでよ。

「おい……、ヒロ……、お前早すぎ……。全力で走っていくなよな」
「ああ、わりわり。当麻が遅すぎるんだろ」
「ああ~? ……ったく。……あ、俺もここで食べても大丈夫?」
「うん、いいよ。ね? 未花?」
「うん」

「あ、いいんだ。良かった。さすがに登校くらいは大丈夫だろうとは思ったけど。……糸魚川さんってさ、必要ないのに男子が寄って来たら片っ端から殴り倒すイメージだからー」

「おい、変な誤解してんなよ」

「……それはっ! 不意打ちに近づかれるとびっくりして反射的に手と足が出ちゃうだけなの。……ずっと、男嫌いだったから」

「今は、違うのか?」

 椎名君は、目をちょっぴり丸くして私に聞いた。

「……違わない。でも、男の人皆が皆厭らしい人たちばかりじゃないのかなって、ちょっとだけ思えるようにはなったかな……」

 言いながら、チラリと秋永君を見る。すると秋永君もこちらを見ていて、パチリと目が合った。そして目が合ったと同時に凄く優しい表情をされて、胸がキュウンってなった。
 うう~ん。やっぱりなんだか変な感じだよ。秋永君に対しての私の反応、今までとなんだか違い始めてる。ちょっぴり恥ずかしいような、微妙な気持ちにどうしても戸惑っちゃう。

 私はそれがなんだか気まずくて、気を取り直そうとお弁当箱を取り出してカパッと開けた。それを見た雅乃も、同じようにお弁当を広げる。秋永君も椎名君も、同じように広げ始めた。

「わあ、美味そー」

 私の作った唐揚げをお箸でつまんだ秋永君に、椎名君が感嘆の声を上げた。

「だろー? あげないからな」
「なんだよー、ケチー。ね、糸魚川さん、俺も貰ってもいいよね?」
「え? えとっ……」

「ダーメ! 未花ちゃんからもらった時点でもうこれは俺のモノなんだから、拒否権は俺にあるの。ダメったら、ダメ」

「チェー、ケチ―」

 ぶうぶう文句を言う椎名君を横目に、秋永君がパクリと唐揚げを頬張った。そしてすごく美味しそうな幸せそうな顔で、もぐもぐと食べている。

 もう、参ったな。こんなに幸せそうな顔されたら、また作ってあげたくなっちゃうじゃないの。
 ……だけど、不思議だなあ。男子にこんな風に何かしてあげたいとか、傍にいてもらって安心するとか、そんな風に思えるようになる日が来るだなんて、今まで想像もつかなかったよ。

「ホントよね」
「……え?」

 雅乃が、まるで私の心の声が聞こえたかのように絶妙に頷いたから驚いた。驚いて、食べ終わった弁当箱を片付ける手が止まった。するとそのびっくりした私の顔を見て、雅乃は可笑しそうに笑った。

「なに驚いてんのよ。大体想像つくもん。……でも、良かった。ちょっと安心したよ」
「雅乃……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

処理中です...