接近禁止!なのにその壁を、溺愛男子に破られました

らいち

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第二章

惚気ないで

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 連休明け、いつものようにヒロくんと登校した。教室に着いた時、雅乃も椎名君も既に登校していた。 

「よお、お二人さん」
「おはよう。相変わらず仲良いね」 
「おはよ~、何言ってんのよ」
「あはは、おはよう」 
「ねえねえ、初デートどうだった?」
「えっ?」

 たじたじとする私を他所に、ヒロくんが嬉々として話し始めた。 

「そりゃもう、めっちゃ楽しかった! 未花ちゃん可愛いし、かっこいいし。洋服も選んであげたし」
「ええっ? 秋永君が未花の洋服選んであげたの?」
「うん、そう! もう可愛くってさ、お姫様かと思った」
「ヒロくん!」 
「あはは、もうこいつ、本当に糸魚川さんにべた惚れしてるよな」

  二人に囃し立てられながらもヒロくんが惚気るものだから、周りからの眼圧が半端ない。

「あ、あのさ……」
「ほら、これ見て。これ、ヒーローショーでの未花ちゃんと俺の雄姿」
「え~、どれどれ」

 雅乃も椎名くんも、ヒロくんの手元を覗き込む。

「何これ。シャインと一緒! うわっ、飛び蹴りだよ、かっこいい」
「だろ、だろ? 未花ちゃんかっこいいよな。可愛いいし」
「ヒロくん……」

 もうそろそろ恥ずかしくなってきたので、いい加減にこの話は終わりにして欲しかった。クラスのほとんどの人達が呆れたようにこちらを見ているし、美代たちなんてきっと私たちの悪口を言っているに違いない。冷めた表情で何かをコソコソと話している。

「許してやってよ。こいつ本当に糸魚川さんのこと溺愛してるから」
「いや、でもさ……」 
「当麻の言ってるのは当たってるけど、それだけじゃないぞ。牽制も兼ねてるんだからな」
「ええっ?」

 驚く私の隣で、雅乃も悲鳴のような声を上げた。そしてパシパシと私の肩を叩く。

「愛されてるねー」 
「だからもう、そういうの止めてってば」

 ヒロくんの言うように牽制だけで済むのならいいんだけど、美代たちの表情はもっと陰湿だ。あの子達面倒くさいんだもん。

「あ、先生来たよ」
「本当だ」

 椎名くんの言葉に、みんな自分の席へと戻って行った。
 そんな中視線を感じて振り返ると、美代が未だに睨むように私を見ていた。
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