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本当に好きな人(ウィルフレッドside)
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「クソッ!」
俺はガン! と拳で強く壁を殴った。普通なら皮膚を傷めるところだが、自分は誇り高く、そして強い竜人族であるため、何の支障もない。
今は「運命の番」であるセルマと茶会をしたその、すぐ後のことである。
「……俺は、ヴィオラが好きなんだ。セルマなんか好きじゃない、好きじゃない……!」
お茶会でのことを思い出す。
さらりと流れる黒髪も、切れ長の黒目も、どちらもとても麗しく、そして可愛らしかった。ウィルフレッドから見たセルマはヴィオラと同じ……いやそれ以上にキラキラ輝いて見えるのだ。愛しさを抑えるので精いっぱいだった。
(これが、竜人族の本能か)
ふ、と自嘲するような笑みを浮かべる。
そうだ、こんなもの、種族による本能でそう見えているだけに過ぎない。俺の心とは、別のものだ!
「ヴィオラ……」
彼女を思うときゅう……と胸が締め付けられる。
数年前。父の再婚時、ヴィオラは夫人に連れられてブレイアム公爵邸にやってきた。
初めて見た時からその姿に目を奪われたのだ。
太陽を一身に受けたような光る金髪、美しい空色の瞳。
『お兄さま?』
そう言って、小首を傾げる彼女の、何もかもが可愛らしかった。
自分はすぐにヴィオラを溺愛し始めて、成長するにつれて、それが単なる兄としての愛情ではないことを知った。ヴィオラの本音を聞くのが怖くて、まだちゃんと告白をしたことはなかったが、自分はいつでもヴィオラに対し「君が世界で一番だよ」と伝え続けてきた。
ヴィオラも、それに「嬉しいわ」と答えて。
それでよかったのだ。
それで十分に回り続けていたのだ、俺の世界は。
……その日は本当にたまたま、人間の国、その中のとある街に下りていた。
理由なんかどうでもいい。忘れた。確か、父の仕事についてきたのだったか、なんだったか。
とにかく俺はその街で出会った。
出会ってしまったのだ。
セルマ・コールドウェル──自分の、「運命の番」に。
初めて見た時は、その凄まじい衝撃に息が止まりそうになった。
自らの運命。それが自分の視界に居る。すぐさまその少女の元に行って、細そうな体を抱きしめたかった。
この瞬間、ヴィオラを忘れた。
「ん? どうした、ウィルフレッド」
「……父上……、あそこに、俺の番が……!」
衝撃に耐えきれず、父にその話をしてしまったのが、自分の大きな間違いだったのだろう。
息子が運命の番を見つけたことに大喜びした父がすぐにその少女の身元を調べ、我が屋敷に来てもらうことになってしまった。俺は嬉しい、と思う反面、とてつもなく後悔した。
(俺には、ヴィオラが居るのに!)
慌ててももう遅い。自分の運命の番が居ることは家族の知れるところになり、そしてそれを知った家族が動きを止めることはないだろう。
竜人族にとって、運命の番はそれほどまでに重要な意味合いを持つのだから。
セルマが実際にこの屋敷に来てからも、俺は番をこの視界に入れられることへの喜びと、自分にはヴィオラが居るという理性の気持ちのせめぎあいになっていた。セルマは自分の態度に縮こまっていたが関係ない。俺は本能に勝たなければならないのだ! ヴィオラのために!
そう思うと、セルマに接する実際の態度は、どうしても喜んでしまう心とはどんどん相反するものとなる。自分でもひどいことをしているという自覚はあるが、どうしてもやめられないのだ。こうしないと、今すぐにでも自分がセルマに何もかもを捧げてしまうことが分かっているから。
でも、そうはならない。俺にはただ一人と決めた、愛する人が居る。
その人のために、俺は自分の本能と永遠に戦ってみせるぞ。
……そう考えながら、先ほどの茶会も必死に戦っていた。
すげない態度をする俺に、終始申し訳なさそうな顔をするセルマ。できることなら今すぐにでも態度を改め、今までの非礼を詫びたかった。
だが、それはできない。俺には、彼女が居るのだから──!
「あ、ウィルフレッド!」
ぐるぐると思考を張り巡らせていた俺の耳に、心地のいい音が入ってきた。
顔を上げれば、そこには俺の愛しい女性の姿が。
「こんなところで何をしてるの? 暇なら一緒に遊びましょうよ!」
「あはは、ヴィオラ。遊ぶって一体何をするんだい?」
彼女はいつでも無邪気だ。くるくると変わるその表情が愛おしい。
(……セルマは、いつも暗い顔をしているな)
ふと、そんなことを考える。だがすぐにぶんぶんと首を横に振って振り払った。
傍にヴィオラが居るのだ。セルマのことなど、考える必要はない。
「そうねえ……、あっ、じゃあお茶! お茶をしましょう? 私、お茶菓子が食べたいわ!」
「うっ……」
「ウィルフレッド? どうかした?」
お茶と聞いて心臓が痛くなった。先ほどまでセルマとしていたことだ……。
まあろくにお茶も飲んでなかったし、茶菓子も食べてなかったからいいのだけれど……。
「い、いや、大丈夫だよヴィオラ。うん、お茶、しようか。用意させるね」
「やった! 嬉しいわ、ウィルフレッド!」
使用人に言づけて、お茶の用意をさせる。
先ほどのセルマの茶会とほぼ同じことをさせられる使用人は何を思っているのか……。考えるのはよそう。
「そういえば、セルマさんとはどうなの?」
お茶を吹き出しそうになった。ヴィオラのこういう、天真爛漫で人のことを考えるところは好きだが、だが……! タイミングが……!
「……特に何もないよ」
コメントに困ってしまう。あまりヴィオラの前では酷い態度をとる自分を見せたくはない。
が……、万一にもセルマが嫉妬をしてヴィオラを害してしまうことがあるかもしれない。そう考えると、どうしても二人一緒に居ると警戒心を持ってしまう。
「そう? ……セルマさんは、あなたの運命の番、なのよね?」
「え? ……ああ、そうだけど……」
「そうよね……。……ねえ、あまり、彼女にばかりかかりきりにならないでね? 私、ウィルフレッドが居ないと寂しくて……」
「! ヴィオラ……!」
妹としての言葉かもしれない。いや、きっとそうに決まってる。
それでも嬉しかった。彼女が自分を求めてくれている。それだけで、天にも昇る心地になったのだ。
「っ約束するよ! 俺はヴィオラをないがしろにしたりなんかしない、君だけを見る!」
「本当? 嬉しいな……。約束よ? ウィルフレッド」
「ああ!!」
「ふふ。じゃあ、指切りしましょ? はい、小指出して」
ヴィオラが可愛らしく笑って、小さくて細い小指を差し出してくる。
……セルマの指もこんななのだろうか。そこまで考えて、俺は自分の中で自分を殴った。今はそんなことはどうでもいいだろう!! ヴィオラがかわいく「約束♡」と言っているのだぞ!!
俺も自分の小指を出して、ヴィオラのそれと絡み合わせる。しっとりと柔らかいヴィオラの肌は、触れているだけでとろとろと溶けていってしまいそうだった。
「約束、破っちゃだめよ? そんなことになったら、私、怒っちゃうんだからね?」
「まさか。怒った君もかわいいだろうが、そんなことには絶対ならないさ。安心しておくれ、ヴィオラ」
「ええ、信じているわ。だって、ウィルフレッドはいつだって私を愛してくれたものね?」
そうだ。俺はヴィオラを愛している。
運命の番なんかが現れたって関係ない。これが竜人族の本能だというのなら、俺は全力で、それに抗ってみせる。
それが。紛れもない、ヴィオラへの愛の証明になるだろうから。
「…………」
「ウィルフレッド?」
そう。俺の心は決まっている。これは揺るがない決定事項だ。
……けれど。
どうしても、心のどこかに。あの、所在なさげに自分の前に座っていた、セルマの姿があって。それがどうしても、消えないのだった。
俺はガン! と拳で強く壁を殴った。普通なら皮膚を傷めるところだが、自分は誇り高く、そして強い竜人族であるため、何の支障もない。
今は「運命の番」であるセルマと茶会をしたその、すぐ後のことである。
「……俺は、ヴィオラが好きなんだ。セルマなんか好きじゃない、好きじゃない……!」
お茶会でのことを思い出す。
さらりと流れる黒髪も、切れ長の黒目も、どちらもとても麗しく、そして可愛らしかった。ウィルフレッドから見たセルマはヴィオラと同じ……いやそれ以上にキラキラ輝いて見えるのだ。愛しさを抑えるので精いっぱいだった。
(これが、竜人族の本能か)
ふ、と自嘲するような笑みを浮かべる。
そうだ、こんなもの、種族による本能でそう見えているだけに過ぎない。俺の心とは、別のものだ!
「ヴィオラ……」
彼女を思うときゅう……と胸が締め付けられる。
数年前。父の再婚時、ヴィオラは夫人に連れられてブレイアム公爵邸にやってきた。
初めて見た時からその姿に目を奪われたのだ。
太陽を一身に受けたような光る金髪、美しい空色の瞳。
『お兄さま?』
そう言って、小首を傾げる彼女の、何もかもが可愛らしかった。
自分はすぐにヴィオラを溺愛し始めて、成長するにつれて、それが単なる兄としての愛情ではないことを知った。ヴィオラの本音を聞くのが怖くて、まだちゃんと告白をしたことはなかったが、自分はいつでもヴィオラに対し「君が世界で一番だよ」と伝え続けてきた。
ヴィオラも、それに「嬉しいわ」と答えて。
それでよかったのだ。
それで十分に回り続けていたのだ、俺の世界は。
……その日は本当にたまたま、人間の国、その中のとある街に下りていた。
理由なんかどうでもいい。忘れた。確か、父の仕事についてきたのだったか、なんだったか。
とにかく俺はその街で出会った。
出会ってしまったのだ。
セルマ・コールドウェル──自分の、「運命の番」に。
初めて見た時は、その凄まじい衝撃に息が止まりそうになった。
自らの運命。それが自分の視界に居る。すぐさまその少女の元に行って、細そうな体を抱きしめたかった。
この瞬間、ヴィオラを忘れた。
「ん? どうした、ウィルフレッド」
「……父上……、あそこに、俺の番が……!」
衝撃に耐えきれず、父にその話をしてしまったのが、自分の大きな間違いだったのだろう。
息子が運命の番を見つけたことに大喜びした父がすぐにその少女の身元を調べ、我が屋敷に来てもらうことになってしまった。俺は嬉しい、と思う反面、とてつもなく後悔した。
(俺には、ヴィオラが居るのに!)
慌ててももう遅い。自分の運命の番が居ることは家族の知れるところになり、そしてそれを知った家族が動きを止めることはないだろう。
竜人族にとって、運命の番はそれほどまでに重要な意味合いを持つのだから。
セルマが実際にこの屋敷に来てからも、俺は番をこの視界に入れられることへの喜びと、自分にはヴィオラが居るという理性の気持ちのせめぎあいになっていた。セルマは自分の態度に縮こまっていたが関係ない。俺は本能に勝たなければならないのだ! ヴィオラのために!
そう思うと、セルマに接する実際の態度は、どうしても喜んでしまう心とはどんどん相反するものとなる。自分でもひどいことをしているという自覚はあるが、どうしてもやめられないのだ。こうしないと、今すぐにでも自分がセルマに何もかもを捧げてしまうことが分かっているから。
でも、そうはならない。俺にはただ一人と決めた、愛する人が居る。
その人のために、俺は自分の本能と永遠に戦ってみせるぞ。
……そう考えながら、先ほどの茶会も必死に戦っていた。
すげない態度をする俺に、終始申し訳なさそうな顔をするセルマ。できることなら今すぐにでも態度を改め、今までの非礼を詫びたかった。
だが、それはできない。俺には、彼女が居るのだから──!
「あ、ウィルフレッド!」
ぐるぐると思考を張り巡らせていた俺の耳に、心地のいい音が入ってきた。
顔を上げれば、そこには俺の愛しい女性の姿が。
「こんなところで何をしてるの? 暇なら一緒に遊びましょうよ!」
「あはは、ヴィオラ。遊ぶって一体何をするんだい?」
彼女はいつでも無邪気だ。くるくると変わるその表情が愛おしい。
(……セルマは、いつも暗い顔をしているな)
ふと、そんなことを考える。だがすぐにぶんぶんと首を横に振って振り払った。
傍にヴィオラが居るのだ。セルマのことなど、考える必要はない。
「そうねえ……、あっ、じゃあお茶! お茶をしましょう? 私、お茶菓子が食べたいわ!」
「うっ……」
「ウィルフレッド? どうかした?」
お茶と聞いて心臓が痛くなった。先ほどまでセルマとしていたことだ……。
まあろくにお茶も飲んでなかったし、茶菓子も食べてなかったからいいのだけれど……。
「い、いや、大丈夫だよヴィオラ。うん、お茶、しようか。用意させるね」
「やった! 嬉しいわ、ウィルフレッド!」
使用人に言づけて、お茶の用意をさせる。
先ほどのセルマの茶会とほぼ同じことをさせられる使用人は何を思っているのか……。考えるのはよそう。
「そういえば、セルマさんとはどうなの?」
お茶を吹き出しそうになった。ヴィオラのこういう、天真爛漫で人のことを考えるところは好きだが、だが……! タイミングが……!
「……特に何もないよ」
コメントに困ってしまう。あまりヴィオラの前では酷い態度をとる自分を見せたくはない。
が……、万一にもセルマが嫉妬をしてヴィオラを害してしまうことがあるかもしれない。そう考えると、どうしても二人一緒に居ると警戒心を持ってしまう。
「そう? ……セルマさんは、あなたの運命の番、なのよね?」
「え? ……ああ、そうだけど……」
「そうよね……。……ねえ、あまり、彼女にばかりかかりきりにならないでね? 私、ウィルフレッドが居ないと寂しくて……」
「! ヴィオラ……!」
妹としての言葉かもしれない。いや、きっとそうに決まってる。
それでも嬉しかった。彼女が自分を求めてくれている。それだけで、天にも昇る心地になったのだ。
「っ約束するよ! 俺はヴィオラをないがしろにしたりなんかしない、君だけを見る!」
「本当? 嬉しいな……。約束よ? ウィルフレッド」
「ああ!!」
「ふふ。じゃあ、指切りしましょ? はい、小指出して」
ヴィオラが可愛らしく笑って、小さくて細い小指を差し出してくる。
……セルマの指もこんななのだろうか。そこまで考えて、俺は自分の中で自分を殴った。今はそんなことはどうでもいいだろう!! ヴィオラがかわいく「約束♡」と言っているのだぞ!!
俺も自分の小指を出して、ヴィオラのそれと絡み合わせる。しっとりと柔らかいヴィオラの肌は、触れているだけでとろとろと溶けていってしまいそうだった。
「約束、破っちゃだめよ? そんなことになったら、私、怒っちゃうんだからね?」
「まさか。怒った君もかわいいだろうが、そんなことには絶対ならないさ。安心しておくれ、ヴィオラ」
「ええ、信じているわ。だって、ウィルフレッドはいつだって私を愛してくれたものね?」
そうだ。俺はヴィオラを愛している。
運命の番なんかが現れたって関係ない。これが竜人族の本能だというのなら、俺は全力で、それに抗ってみせる。
それが。紛れもない、ヴィオラへの愛の証明になるだろうから。
「…………」
「ウィルフレッド?」
そう。俺の心は決まっている。これは揺るがない決定事項だ。
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