4 / 328
第四話 決戦準備
しおりを挟む
目の前は人の海。
本当に人を掻き分け泳げそうだ。
俺は今若者の街渋谷にいる。
服装は最低限笑われないおかしな格好で無ければ良いが信条だったが、今は違う。
明日時雨さんとデートをするんだ。
顔はもうしょうが無い、無くも無いが整形する金は無い。
ならせめて格好だけはまともになろうとネットで調べて一番流行でかつ、カリスマコーディネーターが見繕ってくれる店を調べた。貯金が減ってしまうが、これも時雨さんと付き合う代償だ、食費を削れば何とかなる。
俺が一歩店に践み入ると一斉に店員の視線が向けられる。この視線は侮蔑、場違いが来たとばかりの視線に鴨にしてやろうという悪意が込められてる。
ここで戸惑ってもしょうが無い、俺は今の流行が展示されているディスプレイの方に向かっていく。
スタイル抜群のマネキンが格好いい服を着ている。丈夫で長持ちGパン主体の俺の服装とは根本から違うコーディネイト。更にいつも俺が買う服より○が一つ多い。
いつもなら値札を見た瞬間冷やかしに徹するが、今日はそういうわけにも行かない。真剣に選ばなくては。時雨さんの隣に立ってせめて彼女に恥を搔かせないくらいにならないと。
そんな俺の真剣な思いを速攻でくみ取り、冷やかしで無いと判断して近寄ってくる店員がいる。
「いらっしゃいませ。今日はどんな服装をお求めですか?」
少しオネーが入っているネットで見たカリスマ店員だ。流石伊達にカリスマと呼ばれてない、客の心を読むのに長けている。それに服もいいセンスしている。
俺にセンスは無い。なら丸投げもありかというか、それしかない。
「明日デートなんだ。それでネットで有名なカリスマコーディネイターのあなたに服を見繕ってもらいに来た」
そのものズバリ言った。主体性が無いと馬鹿にされるが、こう言った以上下手なものを進めては評判が落ちる。おかしな在庫品を無理矢理進めたりはしないだろ。
「あら~そう。なら責任重大ね。そうね~あなた年のわりには落ち着いているから、そこを強調していきましょうか。それともキャラチェンジする?」
丸投げしたのに、さらっと選択肢を提示された。
ふむ、時雨さんの横に立つならどっちがいいか?
①ちゃらく明るくして楽しませる。
②傍にいて静かに時を過ごす。
本来なら①がいいのだが、それはちょっと今の俺には荷が重すぎる。取り敢えずは傍にいられるようにしよう。
「渋くでお願いします」
「りょうかい」
「ありがとうございました」
買った服を片手に店を出る。
これで武器は揃った。後は帰って明日に備えてシミュレーションを重ね、体調を万全にするのみ。
駅に向かった歩き出す。その横を男が通りすがりに俺に呟く。
「身の程を知った方がいいよ」
「!」
慌てて振り返ったときには男はもう消えていた。
少年なのか青年なのか、はたまた中年だったのか分からない。
分からないが男だったことと、悪意が籠もった台詞だけが耳にこびり付く。
人が羨むものを欲すれば当然競争が生まれる。
今までそういったものから逃げてきた俺だが、今度は逃げない。
俺は受けて立つとばかりに胸を張って再び歩き出した。
本当に人を掻き分け泳げそうだ。
俺は今若者の街渋谷にいる。
服装は最低限笑われないおかしな格好で無ければ良いが信条だったが、今は違う。
明日時雨さんとデートをするんだ。
顔はもうしょうが無い、無くも無いが整形する金は無い。
ならせめて格好だけはまともになろうとネットで調べて一番流行でかつ、カリスマコーディネーターが見繕ってくれる店を調べた。貯金が減ってしまうが、これも時雨さんと付き合う代償だ、食費を削れば何とかなる。
俺が一歩店に践み入ると一斉に店員の視線が向けられる。この視線は侮蔑、場違いが来たとばかりの視線に鴨にしてやろうという悪意が込められてる。
ここで戸惑ってもしょうが無い、俺は今の流行が展示されているディスプレイの方に向かっていく。
スタイル抜群のマネキンが格好いい服を着ている。丈夫で長持ちGパン主体の俺の服装とは根本から違うコーディネイト。更にいつも俺が買う服より○が一つ多い。
いつもなら値札を見た瞬間冷やかしに徹するが、今日はそういうわけにも行かない。真剣に選ばなくては。時雨さんの隣に立ってせめて彼女に恥を搔かせないくらいにならないと。
そんな俺の真剣な思いを速攻でくみ取り、冷やかしで無いと判断して近寄ってくる店員がいる。
「いらっしゃいませ。今日はどんな服装をお求めですか?」
少しオネーが入っているネットで見たカリスマ店員だ。流石伊達にカリスマと呼ばれてない、客の心を読むのに長けている。それに服もいいセンスしている。
俺にセンスは無い。なら丸投げもありかというか、それしかない。
「明日デートなんだ。それでネットで有名なカリスマコーディネイターのあなたに服を見繕ってもらいに来た」
そのものズバリ言った。主体性が無いと馬鹿にされるが、こう言った以上下手なものを進めては評判が落ちる。おかしな在庫品を無理矢理進めたりはしないだろ。
「あら~そう。なら責任重大ね。そうね~あなた年のわりには落ち着いているから、そこを強調していきましょうか。それともキャラチェンジする?」
丸投げしたのに、さらっと選択肢を提示された。
ふむ、時雨さんの横に立つならどっちがいいか?
①ちゃらく明るくして楽しませる。
②傍にいて静かに時を過ごす。
本来なら①がいいのだが、それはちょっと今の俺には荷が重すぎる。取り敢えずは傍にいられるようにしよう。
「渋くでお願いします」
「りょうかい」
「ありがとうございました」
買った服を片手に店を出る。
これで武器は揃った。後は帰って明日に備えてシミュレーションを重ね、体調を万全にするのみ。
駅に向かった歩き出す。その横を男が通りすがりに俺に呟く。
「身の程を知った方がいいよ」
「!」
慌てて振り返ったときには男はもう消えていた。
少年なのか青年なのか、はたまた中年だったのか分からない。
分からないが男だったことと、悪意が籠もった台詞だけが耳にこびり付く。
人が羨むものを欲すれば当然競争が生まれる。
今までそういったものから逃げてきた俺だが、今度は逃げない。
俺は受けて立つとばかりに胸を張って再び歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる