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第四十一話 安らぎ
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天空を舞う鶴が急降下して小魚を捕らえるように、羽ばたいた時雨は一気に渦の中心を嘴の如く突きたる小太刀で貫いた。
「どうなった?」
鵡見が見ている前で時雨は水中に消え、渦は未だ健在。
「勝ったのか」
鵡見が喜色を浮かべると同時に凝結する音が響き渡り、渦巻く運河が凍り付いたかのように一面純白に固まった。
パチッキ、捻れるように運河が砕け氷砕が空に巻き上げられダイヤモンドダストのごとく降り注ぐ。
時雨は水が消え去ら晒された運河の底に立っていた。ゆっくり水が流れ込んでいく中、時雨はゆっくりと運河の底を鵡見に向かって歩いてゆく。
「ウォッシャーが殺られた」
ウォッシャーもトラップ型のユガミ、自由度は少ないがそれだけに嵌め込めば強い。時雨をまんまと罠に飛び込ませ勝ちを確信していただけに動揺も大きい。
「ユガミは滅ぼしました。次は貴方です」
鵡見を真っ直ぐ見る時雨に迷いは無い、研ぎ澄まされた日本刀を突きつける如き眼光。
「貴方に出来るかしら?」
まだ策はあるのか動揺から素早く立ち直った鵡見は時雨の紛う事なき殺気を受けてなお嘲笑う。
「貴方だけは許せない。例え貴方が人であろうとも」
ユガミと違い鵡見は人。化け物を倒すのと人を倒すのとでは心理的抵抗の次元が違う。ユガミを滅ぼしたことはあっても、魔人を滅ぼしたことは無い。これが時雨が今だ鉛の等級という下級にいる理由の一つである。
「お~怖い怖い、でもね。やっぱり貴方は甘ちゃんなのよ」
「なっ」
鵡見は寝かされていた大友を運河に蹴落とした。
「がはっ」
水の無い運河の底にダイレクトに落下した大友から嫌な呻き声が上がる。ぴくぴく痙攣する大友は流れ込む水に徐々に飲まれていく。
「あらあら、痙攣してる早く病院に連れて行かなきゃ。でもその前に早く引き上げないと溺れ死んじゃうかも。
貴方が本物の戦士というなら私を追ってきなさいな」
鵡見は嘲るだけ嘲るともう振り返ること無く逃走を開始した。
「むっ鵡見っ」
時雨は歯軋りをするのであった。
「はあ、はあ」
大友を引き上げ時雨も疲れたのか岸辺でへたり込み肩で息をしている。
「結局仇が取れなかった」
時雨の目には涙がうっすらとだが滲み出している。寒風に吹かれる小さい背中は置いていかれた幼子のように震えている。
その震える肩にコートが優しく掛けられる。
「大友さんを助けたじゃ無いですか」
「えっ」
「風邪を引いてしまいますよ」
時雨が振り返れば優しい顔をした前埜がいた。
「ぼっボクは・・・」
「仇を討てなかったことを嘆くより、守れたことを誇りなさい」
「おっおにいちゃん」
時雨は前埜の胸に抱きつき泣きじゃくった。
「懐かしい呼び方ですね。今だけですよ」
前埜は優しく時雨を両手で包み込み、時雨は安らぐ。
「どうなった?」
鵡見が見ている前で時雨は水中に消え、渦は未だ健在。
「勝ったのか」
鵡見が喜色を浮かべると同時に凝結する音が響き渡り、渦巻く運河が凍り付いたかのように一面純白に固まった。
パチッキ、捻れるように運河が砕け氷砕が空に巻き上げられダイヤモンドダストのごとく降り注ぐ。
時雨は水が消え去ら晒された運河の底に立っていた。ゆっくり水が流れ込んでいく中、時雨はゆっくりと運河の底を鵡見に向かって歩いてゆく。
「ウォッシャーが殺られた」
ウォッシャーもトラップ型のユガミ、自由度は少ないがそれだけに嵌め込めば強い。時雨をまんまと罠に飛び込ませ勝ちを確信していただけに動揺も大きい。
「ユガミは滅ぼしました。次は貴方です」
鵡見を真っ直ぐ見る時雨に迷いは無い、研ぎ澄まされた日本刀を突きつける如き眼光。
「貴方に出来るかしら?」
まだ策はあるのか動揺から素早く立ち直った鵡見は時雨の紛う事なき殺気を受けてなお嘲笑う。
「貴方だけは許せない。例え貴方が人であろうとも」
ユガミと違い鵡見は人。化け物を倒すのと人を倒すのとでは心理的抵抗の次元が違う。ユガミを滅ぼしたことはあっても、魔人を滅ぼしたことは無い。これが時雨が今だ鉛の等級という下級にいる理由の一つである。
「お~怖い怖い、でもね。やっぱり貴方は甘ちゃんなのよ」
「なっ」
鵡見は寝かされていた大友を運河に蹴落とした。
「がはっ」
水の無い運河の底にダイレクトに落下した大友から嫌な呻き声が上がる。ぴくぴく痙攣する大友は流れ込む水に徐々に飲まれていく。
「あらあら、痙攣してる早く病院に連れて行かなきゃ。でもその前に早く引き上げないと溺れ死んじゃうかも。
貴方が本物の戦士というなら私を追ってきなさいな」
鵡見は嘲るだけ嘲るともう振り返ること無く逃走を開始した。
「むっ鵡見っ」
時雨は歯軋りをするのであった。
「はあ、はあ」
大友を引き上げ時雨も疲れたのか岸辺でへたり込み肩で息をしている。
「結局仇が取れなかった」
時雨の目には涙がうっすらとだが滲み出している。寒風に吹かれる小さい背中は置いていかれた幼子のように震えている。
その震える肩にコートが優しく掛けられる。
「大友さんを助けたじゃ無いですか」
「えっ」
「風邪を引いてしまいますよ」
時雨が振り返れば優しい顔をした前埜がいた。
「ぼっボクは・・・」
「仇を討てなかったことを嘆くより、守れたことを誇りなさい」
「おっおにいちゃん」
時雨は前埜の胸に抱きつき泣きじゃくった。
「懐かしい呼び方ですね。今だけですよ」
前埜は優しく時雨を両手で包み込み、時雨は安らぐ。
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