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第四十五話 人の本質
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「さてと、貴方達とおしゃべりしている暇は無いわね」
言った瞬間スキンコレクターは反転すると部屋の俺達がいる側と反対にある扉に向かって走り出した。
「逃がすか」
ここで逃走!? 俺は慌ててスキンコレクターの後を追い出す。
「素人の深追いは危険よ」
「ここで彼奴を逃がすほうが危険だっ」
俺は野牛の制止を振り切りスキンコレクターの後を追った。
功名心に狩られたわけじゃ無い。純粋に恐怖からだ。
彼奴は自由に外見を変えることが出来る。その上僅かながらの間とは言え時雨さん達を騙し通したんだ、演技力もあるのだろう。
そんな奴をここで見失ったらどうなる?
俺は外で会う人間全てを疑い、騙し討ちに怯えて暮らすことになる。
俺はまだいい。どうせ今も似たような生活だ。だが彼奴の狙いは時雨さんだ。あの美しい肌を諦めるわけが無い。きっと今回同様時雨さんの周りの人間から攻めてくる。
時雨さんなら騙し討ちを躱せるかもしれないが、それは時雨さんの心を痛めつける。
そんなことが繰り返されたら、時雨さんの美しい心も俺のように壊れてしまう。
そんなことはさせない。
差し違えても彼奴を倒す。
それが釣り合わない俺が時雨さんと付き合う為の義務である。
部屋の外に出ると一直線に続く廊下が延びていた。その伸びる先に逃げるスキンコレクターの背中が見えた。
奴はそのまま廊下の先にある扉を開けて奥に入っていった。
迂闊に続きたくは無いが、躊躇する猶予は無い。彼奴から目を離せば、次にはどんな顔になっているか分かったもんじゃない。
俺も直ぐさま奥の部屋に突入していった。
「なっなんだこの部屋は!?」
さっきの部屋も不気味だったが、この部屋は比じゃ無い。
テニスが出来るくらいの広い部屋。
少し肌寒いくらいの温度で湿度は適切にコントロールされている。
なのに噴き出す汗が止まらない。
高い天井から種々様々な人の皮が視線の高さくらいでハンガーで吊されていた。
ひらひら、ひらひらと空調の風に靡いている。
艶めかしい人肌が視界いっぱいに映り込んでくる。
流石の俺でも夢に出そうだ。
「人は外見。人は見た目と言うじゃない。つまり人の本質は皮膚なのよ。
つまりここに吊された人の数だけ人の本質があるのよ」
さっきまでの鵡見の声とは違う、もっと機械的というかデジタル的というか中性的でクリアな声が響いてくる。
「初めて聞くぜ、そんな説。
少なくても男なら中身で勝負じゃ無いのか」
「それは負け犬の言い訳。どんなに取り繕うと人は外見。
外見が良ければ、どんなに中身がクズでもいい女いい男を抱ける。
どんなに立派なことを言おうとも、外見が駄目なら誰も耳を貸さない。
つまり人間の一番の外側、皮膚こそが人の本質なのよ」
ちきしょうどっこから声がする。この部屋音が天井からしか反響しないから位置が掴みづらい。
「否定はしないでおいてやるが、それだとお前は本質の無い奴にならないか」
「そうよその通り。だから私は本質を求めてこの姿になった」
スキンコレクターは皮膚を掻き分け、俺の正面に堂々と姿を晒した。
一糸纏わぬ、その姿は中性的。
男でも女でも無く。
中性的な美しさに輝き、俺に性欲は一切湧かない。
人の裸を見てただ美しいと思う。
「それが本当の姿なのか?」
「本当の姿って何?
これは私が今まで集めた皮膚の内優れた部分を解して紡いで編み込んだ究極の皮膚。
まあ究極は言い過ぎかしら。
本当は時雨と京の皮膚も編む込む予定だったのよ。
画竜点睛、究極にはまだまだ。
でもね。私を狙うクズ共を一掃するにはこれで十分」
スキンコレクターが微笑んだ瞬間、衝撃に俺の意識は吹っ飛んだ。
言った瞬間スキンコレクターは反転すると部屋の俺達がいる側と反対にある扉に向かって走り出した。
「逃がすか」
ここで逃走!? 俺は慌ててスキンコレクターの後を追い出す。
「素人の深追いは危険よ」
「ここで彼奴を逃がすほうが危険だっ」
俺は野牛の制止を振り切りスキンコレクターの後を追った。
功名心に狩られたわけじゃ無い。純粋に恐怖からだ。
彼奴は自由に外見を変えることが出来る。その上僅かながらの間とは言え時雨さん達を騙し通したんだ、演技力もあるのだろう。
そんな奴をここで見失ったらどうなる?
俺は外で会う人間全てを疑い、騙し討ちに怯えて暮らすことになる。
俺はまだいい。どうせ今も似たような生活だ。だが彼奴の狙いは時雨さんだ。あの美しい肌を諦めるわけが無い。きっと今回同様時雨さんの周りの人間から攻めてくる。
時雨さんなら騙し討ちを躱せるかもしれないが、それは時雨さんの心を痛めつける。
そんなことが繰り返されたら、時雨さんの美しい心も俺のように壊れてしまう。
そんなことはさせない。
差し違えても彼奴を倒す。
それが釣り合わない俺が時雨さんと付き合う為の義務である。
部屋の外に出ると一直線に続く廊下が延びていた。その伸びる先に逃げるスキンコレクターの背中が見えた。
奴はそのまま廊下の先にある扉を開けて奥に入っていった。
迂闊に続きたくは無いが、躊躇する猶予は無い。彼奴から目を離せば、次にはどんな顔になっているか分かったもんじゃない。
俺も直ぐさま奥の部屋に突入していった。
「なっなんだこの部屋は!?」
さっきの部屋も不気味だったが、この部屋は比じゃ無い。
テニスが出来るくらいの広い部屋。
少し肌寒いくらいの温度で湿度は適切にコントロールされている。
なのに噴き出す汗が止まらない。
高い天井から種々様々な人の皮が視線の高さくらいでハンガーで吊されていた。
ひらひら、ひらひらと空調の風に靡いている。
艶めかしい人肌が視界いっぱいに映り込んでくる。
流石の俺でも夢に出そうだ。
「人は外見。人は見た目と言うじゃない。つまり人の本質は皮膚なのよ。
つまりここに吊された人の数だけ人の本質があるのよ」
さっきまでの鵡見の声とは違う、もっと機械的というかデジタル的というか中性的でクリアな声が響いてくる。
「初めて聞くぜ、そんな説。
少なくても男なら中身で勝負じゃ無いのか」
「それは負け犬の言い訳。どんなに取り繕うと人は外見。
外見が良ければ、どんなに中身がクズでもいい女いい男を抱ける。
どんなに立派なことを言おうとも、外見が駄目なら誰も耳を貸さない。
つまり人間の一番の外側、皮膚こそが人の本質なのよ」
ちきしょうどっこから声がする。この部屋音が天井からしか反響しないから位置が掴みづらい。
「否定はしないでおいてやるが、それだとお前は本質の無い奴にならないか」
「そうよその通り。だから私は本質を求めてこの姿になった」
スキンコレクターは皮膚を掻き分け、俺の正面に堂々と姿を晒した。
一糸纏わぬ、その姿は中性的。
男でも女でも無く。
中性的な美しさに輝き、俺に性欲は一切湧かない。
人の裸を見てただ美しいと思う。
「それが本当の姿なのか?」
「本当の姿って何?
これは私が今まで集めた皮膚の内優れた部分を解して紡いで編み込んだ究極の皮膚。
まあ究極は言い過ぎかしら。
本当は時雨と京の皮膚も編む込む予定だったのよ。
画竜点睛、究極にはまだまだ。
でもね。私を狙うクズ共を一掃するにはこれで十分」
スキンコレクターが微笑んだ瞬間、衝撃に俺の意識は吹っ飛んだ。
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