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第一章 勇者パーティ崩壊
第19話 スキルの実験
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俺たちは行方不明になっていた双子幹部のスーとノーを探し、南の果ての洞窟にやってきた。
二人を発見した俺たちだったが、レッドドラゴンと遭遇してしまった。
ワックワクだったレバレちゃんの攻撃は、レッドドラゴンに通用せず、レッドドラゴンの攻撃もレバレちゃんに効かない様子。
そんななか、魔王パトラが俺を頼ってきた。
さて、一か八か試してみるか。
「『ブリザードプリズン』!」
「あれ?」
何か期待と違ったのか、パトラが不思議そうな声を漏らした。
いや、ここで雨は降らせない。
スーとノー。あの二人に働いてもらう。
「私、二人が雪を得意としてるって話したっけ?」
「聞いてない。でも、話と服装からなんとなくね」
まあ、雪が得意だからと言って、常々厚着はどうかと思うけど。
しかし、軽く雪を降らせるつもりだったが、近くにパトラがいるからか豪雪。
先ほどまでの暑さが嘘のように、今度は冷気が漂い始めた。
まあ、俺のスキルだから俺はどうってことないんだけど。
「何これ! カイセイ君でしょ! なにしてるのさ!」
レバレちゃんが抗議するようにこちらに叫び声を上げた。
レッドドラゴンまで同じことを言っているかのようにこっちを見ている。
「いやだって、攻撃効かないんでしょ? だったらなんとかしないと、と思って」
「思って、じゃないよ! 何してくれてんのさ! これじゃボクの活躍の機会が」
「ギャウ!」
不意にドラゴンが情けない声を出しながら、大きくのけぞった。
レバレちゃんは何もしていない。
ドラゴンは話の最中に何者かに攻撃されたのだ。
攻撃するために炎を吐き出そうとしているものの、息を吸うと雪で冷やされるのか、なかなかブレスが放たれない。
「え、なんでレッドドラゴンやられてるの?」
「それはもちろんスーのおかげなの。レバレん」
「ノーもいるのです」
気づいた時には、俺の目の前に二人の少女が立っていた。
雪と同化してしまいそうな真っ白い服、髪。
幼いながらも整った顔からは、まるで俺のことを見定めるような視線を感じる。
「それボクじゃないんだけど、今ボクに話してなかった?」
「それくらい知ってるの」
「レバレさんには話していないのです」
全くレバレちゃんの方を見向きもせず、俺のことを見ながら話している。
「スーを助けたのはあなたなの?」
「ノーのこともですか?」
「えっと、多分そうだと思う」
雪を降らせたことならそうだが、ここまで動きが速くなるどころか、回復するとは思わなかった。
もちろん、動いてもらおうとは思っていたが、ここまで早く効果が現れるとは、といった感じだ。
雨に満たされたダンジョンでのパトラもそうだが、これなら俺が全力を出しても迷惑をかけることはなさそうだ。
しかし、どうしてだろうか、スーもノーもなんだか顔が赤いような。
「もしかして、二人ともレッドドラゴンにやられて無理してる? なら、あとは俺がやるけど」
「そんなことないの。スーは前衛か後衛かくらいわかる幹部なの。ここはスーに任せてほしいの」
「ノーにもノーにもです!」
何が何だかわからないが、どうやらやる気になってくれたらしい。
そりゃ、まあ俺は一応後衛だけど。
後ろから攻撃だってできるし、無理しなくてもいいと思うんだが。
ま、因縁があるんだろう。それなら任せた方がいいか。
「じゃ、俺はこのまま雪を降らせておくよ」
「お願いするの!」
「ノーからもです!」
スーの方がお姉さんなのか、先に飛び出して行った。
続いてノーの方がドラゴンへと駆け出した。
いや、足跡を残して消えてしまった。
どうやら、二人がレバレちゃんに匹敵する実力というのは本当のようだ。
小さな体の二人だが、目にも止まらぬ速さで、ドラゴンの反撃を許さず攻撃を続けている。
「マジか。これが魔王軍幹部の力」
「ふふっ。そうよ。ね、言ったでしょ? スーちゃんもノーちゃんもしっかり活躍できるんだから」
「ああ。これは勇者が慎重に自分の力を高めようとするわけだ。」
「冷えるなぁ。二人ともこれで動けるなんて」
さすがに、魔王様雨以外はきついのか、寒そうに体を震わせている。
いや、確かに今のパトラは薄いドレスしか着てない。それに、暑い時もフラフラだった。
でも、俺のスキルは発動時の規模が大きい。小さい範囲だけってのはできるのか?
辛そうなのは見ていて辛いし、試してみよう。
「あれ?」
俺がパトラの周りだけスキルを解除させると、パトラが周りを見回し出した。
「少しはあったかくなった?」
「うん。あったかい。でも周りは吹雪いてるのに、どうして?」
「俺が調整しといた」
俺の言葉を聞くと、パトラは驚いたように口を開けた。
「な、なんだよ。俺がやったことがそんなに意外だったか?」
「ううん。そうじゃなくて。ありがとう」
なんだか、嬉しそうに笑顔で感謝されてしまった。
不思議な気分だ。
こんなことができたなら、最初からやっておけばよかったんじゃないかと思えてくる。
いやいや、今これができるのはパトラのおかげだ。パトラがいるから、気づかせてくれたから上手くいくんだ。
「あ、ほら二人が」
「ん?」
なんだか恥ずかしくなって、俺はドラゴンの方を指差した。
そこではちょうど、スーとノーの二人の猛攻でドラゴンが弱っていた。
「これで決まりなの」
「ノーもやるです」
「「『ブリザードスラッシュ』!」」
二人の掛け声とともに、ドラゴンは左右から斜めに切られ、その場に倒れ込んだ。
すごい。まさかドラゴンを倒してしまうなんて。
二人を発見した俺たちだったが、レッドドラゴンと遭遇してしまった。
ワックワクだったレバレちゃんの攻撃は、レッドドラゴンに通用せず、レッドドラゴンの攻撃もレバレちゃんに効かない様子。
そんななか、魔王パトラが俺を頼ってきた。
さて、一か八か試してみるか。
「『ブリザードプリズン』!」
「あれ?」
何か期待と違ったのか、パトラが不思議そうな声を漏らした。
いや、ここで雨は降らせない。
スーとノー。あの二人に働いてもらう。
「私、二人が雪を得意としてるって話したっけ?」
「聞いてない。でも、話と服装からなんとなくね」
まあ、雪が得意だからと言って、常々厚着はどうかと思うけど。
しかし、軽く雪を降らせるつもりだったが、近くにパトラがいるからか豪雪。
先ほどまでの暑さが嘘のように、今度は冷気が漂い始めた。
まあ、俺のスキルだから俺はどうってことないんだけど。
「何これ! カイセイ君でしょ! なにしてるのさ!」
レバレちゃんが抗議するようにこちらに叫び声を上げた。
レッドドラゴンまで同じことを言っているかのようにこっちを見ている。
「いやだって、攻撃効かないんでしょ? だったらなんとかしないと、と思って」
「思って、じゃないよ! 何してくれてんのさ! これじゃボクの活躍の機会が」
「ギャウ!」
不意にドラゴンが情けない声を出しながら、大きくのけぞった。
レバレちゃんは何もしていない。
ドラゴンは話の最中に何者かに攻撃されたのだ。
攻撃するために炎を吐き出そうとしているものの、息を吸うと雪で冷やされるのか、なかなかブレスが放たれない。
「え、なんでレッドドラゴンやられてるの?」
「それはもちろんスーのおかげなの。レバレん」
「ノーもいるのです」
気づいた時には、俺の目の前に二人の少女が立っていた。
雪と同化してしまいそうな真っ白い服、髪。
幼いながらも整った顔からは、まるで俺のことを見定めるような視線を感じる。
「それボクじゃないんだけど、今ボクに話してなかった?」
「それくらい知ってるの」
「レバレさんには話していないのです」
全くレバレちゃんの方を見向きもせず、俺のことを見ながら話している。
「スーを助けたのはあなたなの?」
「ノーのこともですか?」
「えっと、多分そうだと思う」
雪を降らせたことならそうだが、ここまで動きが速くなるどころか、回復するとは思わなかった。
もちろん、動いてもらおうとは思っていたが、ここまで早く効果が現れるとは、といった感じだ。
雨に満たされたダンジョンでのパトラもそうだが、これなら俺が全力を出しても迷惑をかけることはなさそうだ。
しかし、どうしてだろうか、スーもノーもなんだか顔が赤いような。
「もしかして、二人ともレッドドラゴンにやられて無理してる? なら、あとは俺がやるけど」
「そんなことないの。スーは前衛か後衛かくらいわかる幹部なの。ここはスーに任せてほしいの」
「ノーにもノーにもです!」
何が何だかわからないが、どうやらやる気になってくれたらしい。
そりゃ、まあ俺は一応後衛だけど。
後ろから攻撃だってできるし、無理しなくてもいいと思うんだが。
ま、因縁があるんだろう。それなら任せた方がいいか。
「じゃ、俺はこのまま雪を降らせておくよ」
「お願いするの!」
「ノーからもです!」
スーの方がお姉さんなのか、先に飛び出して行った。
続いてノーの方がドラゴンへと駆け出した。
いや、足跡を残して消えてしまった。
どうやら、二人がレバレちゃんに匹敵する実力というのは本当のようだ。
小さな体の二人だが、目にも止まらぬ速さで、ドラゴンの反撃を許さず攻撃を続けている。
「マジか。これが魔王軍幹部の力」
「ふふっ。そうよ。ね、言ったでしょ? スーちゃんもノーちゃんもしっかり活躍できるんだから」
「ああ。これは勇者が慎重に自分の力を高めようとするわけだ。」
「冷えるなぁ。二人ともこれで動けるなんて」
さすがに、魔王様雨以外はきついのか、寒そうに体を震わせている。
いや、確かに今のパトラは薄いドレスしか着てない。それに、暑い時もフラフラだった。
でも、俺のスキルは発動時の規模が大きい。小さい範囲だけってのはできるのか?
辛そうなのは見ていて辛いし、試してみよう。
「あれ?」
俺がパトラの周りだけスキルを解除させると、パトラが周りを見回し出した。
「少しはあったかくなった?」
「うん。あったかい。でも周りは吹雪いてるのに、どうして?」
「俺が調整しといた」
俺の言葉を聞くと、パトラは驚いたように口を開けた。
「な、なんだよ。俺がやったことがそんなに意外だったか?」
「ううん。そうじゃなくて。ありがとう」
なんだか、嬉しそうに笑顔で感謝されてしまった。
不思議な気分だ。
こんなことができたなら、最初からやっておけばよかったんじゃないかと思えてくる。
いやいや、今これができるのはパトラのおかげだ。パトラがいるから、気づかせてくれたから上手くいくんだ。
「あ、ほら二人が」
「ん?」
なんだか恥ずかしくなって、俺はドラゴンの方を指差した。
そこではちょうど、スーとノーの二人の猛攻でドラゴンが弱っていた。
「これで決まりなの」
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