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第一章 勇者パーティ崩壊
第32話 大爆発のその後
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老人が発した急な爆発の余波で俺はしばらくその場を警戒にあたった。
だが、爆発以上のことは何も起こらなかった。
派手に吹き飛ばされたスーとノーを優しく地面に着地させ、俺は老人を取り囲んだ壁へと歩き出した。
「あ、ありがとなの。カイセイ。助かったの」
「いいって。気にすることじゃない」
「でも、カイセイに助けられたのです」
「だからいいって。あんなに急な攻撃は誰だってかわせるものじゃない。それに二人は勢いよく突っ込んでいたんだ。無事でよかった」
「カイセイは優しいの」
「感謝感謝です」
「ちょ。本当にいいんだって!」
何を思ったのか、スーもノーも俺の背中に飛び乗ってきた。
なんだかテンション高いが、戦いの後ということだろうか。
原因は気になるが、今はそれどころじゃない。あんな爆発を使える人間だ。他にも危険な技を持っているかもしれない。
生きているなら早めに倒しておかないと面倒なことになりそうだ。爆発だけでも、どこで爆発を起こされるかわからない。
「あれ」
「今度はどうしたの?」
「何かあったんですか?」
「いや、逆だ。あったんじゃなくて、跡形もなくなってる」
あの壁をとっさに壊して脱出したことは考えられない。爆発で壊れただろうが、その後にまともに行動できたはずはない。老人にもダメージが入ったはずだからだ。
それに、老人が瞬間移動した時も、息子の方と違って移動がものすごい速いだけだった。
つまり、スキルで脱出してから爆発したとは考えにくい。
なら、あれだけの爆発だ。おそらく自爆技の類だろう。
「あのじいさん、スーとノーを巻き込んで自爆するつもりだったのか?」
とってもびっくりといった様子で、スーもノーも固まっている。
まあ、あれだけの爆発をくらえば、いかに魔王軍幹部と言えど、無事では済まなかっただろう。
「間に合ってよかった」
「こ、怖かったのー」
「ノーもです。ノーも」
いきなりどうしたのか、柄にもなく二人は首に抱きついてくる。
まあ、見た目は子供だし、死にかけたとなれば怯えて当然か。
老人の反応は消えたようだし、息子の方も出てくる様子はない。ここは一旦帰るか。
「もう大丈夫だから。俺が魔王城まで送ってくよ」
「本当なの?」
「本当ですか?」
「ああ」
急に元気を取り戻した二人を背負い、俺は魔王城まで移動した。
しかし、あのじいさんは一体全体何したかったって言うんだ?
息子の行動も謎だったし、ひとまず全員帰ってくれたということでいいのか。
「お疲れ様。大きな音がここまで聞こえたけど、何かした?」
「いや、俺じゃない。俺じゃないが、パトラにちょっと話があるんだ」
「え、話? やだ。こんなところで? 私まだ心の準備が」
「いや、壁の外まで移動して話をしたいんだけど」
「それならいいわ。移動中で心の準備もできるだろうし」
やはり、パトラもショックなのだろう。顔を赤くして動揺している。
自爆による大爆発。
全員が全員使えるものでもないだろうが、今回のようにわけのわからない連中が集団でやってきたらその限りではない。
もっとも、本当に自爆なのかはこの目で見たわけではないためわからないが、警戒しておく価値はあろう。
俺は壁の外、老人と戦った現場まで移動するとパトラに事情を説明した。
「な、なあんだ。そっちね。そうよね。カイセイが急に、ね。そんなわけないか」
「なんの話?」
「ううん。なんでもない。こっちの話だから」
まだ顔を赤くして動揺している様子のパトラ。
情報を整理するために独り言を言っているようだが、いまいちどういうことかわからない。
しかし、不思議だ。改めて見てみると、勇者たちの死体がない。確かに戦いが始まった時にはあったはずだ。
それに、息子の方の動向も不自然だ。なぜ一切援護しなかったんだ。
あれだけの力があれば、不意打ちは容易だろうに。
「それで、今回の相手は警戒すべきってことね」
「ああ。今はなぜか帰ってくれたから問題にならなかったが、次来た時、どんな手を使ってくるかわからない。ゆらゆら揺らめいて出たり消えたりしていたことしか俺にもわからなかった」
「そっか。ま、みんな怪我がなかったんだし、それがいいじゃん」
「だな」
「それに、ゆらゆら揺らめくようだったってことはわかったんでしょ?」
「そうだけど、なんかのヒントになるか? 顔だけ出したり、そっから体が生えたりって」
俺の言葉に少し考える様子のパトラ。もしかして能力に思い当たる節があるのか?
反応が消えるような相手だ。なんでも対策を知ることができるならありがたいが。
「似たようなのに霧の魔竜ってのがこの周辺に住んでるんだ。近くを通るたびに道に迷う子が出てくるから、討伐に向かわせようかと思ってたところなんだけど、カイセイお願いできる?」
それ完全に俺に押し付けようとしてんだろ。
まあいいけど。防衛できないような相手のヒントになるかもしれない。行ってみる価値はあるか。
「助っ人も頼んでおくから。頼りにしてるよ?」
「わっかりました!」
と言っても霧の魔竜か。名前の響きからして強そうだが、そんなのどうやって倒せばいいんだ?
ま、助っ人ってのがいるらしいし、その人から聞けばいいか。
「明日にも行くって言ってたから後で紹介するね」
「おう。え、明日? 早くない?」
「まあ、こっちとしては前々から準備してたことだからね。急だけどお願い」
上目遣いに甘えた声で頼み込まれ、俺は改めて承諾してしまった。
だが、爆発以上のことは何も起こらなかった。
派手に吹き飛ばされたスーとノーを優しく地面に着地させ、俺は老人を取り囲んだ壁へと歩き出した。
「あ、ありがとなの。カイセイ。助かったの」
「いいって。気にすることじゃない」
「でも、カイセイに助けられたのです」
「だからいいって。あんなに急な攻撃は誰だってかわせるものじゃない。それに二人は勢いよく突っ込んでいたんだ。無事でよかった」
「カイセイは優しいの」
「感謝感謝です」
「ちょ。本当にいいんだって!」
何を思ったのか、スーもノーも俺の背中に飛び乗ってきた。
なんだかテンション高いが、戦いの後ということだろうか。
原因は気になるが、今はそれどころじゃない。あんな爆発を使える人間だ。他にも危険な技を持っているかもしれない。
生きているなら早めに倒しておかないと面倒なことになりそうだ。爆発だけでも、どこで爆発を起こされるかわからない。
「あれ」
「今度はどうしたの?」
「何かあったんですか?」
「いや、逆だ。あったんじゃなくて、跡形もなくなってる」
あの壁をとっさに壊して脱出したことは考えられない。爆発で壊れただろうが、その後にまともに行動できたはずはない。老人にもダメージが入ったはずだからだ。
それに、老人が瞬間移動した時も、息子の方と違って移動がものすごい速いだけだった。
つまり、スキルで脱出してから爆発したとは考えにくい。
なら、あれだけの爆発だ。おそらく自爆技の類だろう。
「あのじいさん、スーとノーを巻き込んで自爆するつもりだったのか?」
とってもびっくりといった様子で、スーもノーも固まっている。
まあ、あれだけの爆発をくらえば、いかに魔王軍幹部と言えど、無事では済まなかっただろう。
「間に合ってよかった」
「こ、怖かったのー」
「ノーもです。ノーも」
いきなりどうしたのか、柄にもなく二人は首に抱きついてくる。
まあ、見た目は子供だし、死にかけたとなれば怯えて当然か。
老人の反応は消えたようだし、息子の方も出てくる様子はない。ここは一旦帰るか。
「もう大丈夫だから。俺が魔王城まで送ってくよ」
「本当なの?」
「本当ですか?」
「ああ」
急に元気を取り戻した二人を背負い、俺は魔王城まで移動した。
しかし、あのじいさんは一体全体何したかったって言うんだ?
息子の行動も謎だったし、ひとまず全員帰ってくれたということでいいのか。
「お疲れ様。大きな音がここまで聞こえたけど、何かした?」
「いや、俺じゃない。俺じゃないが、パトラにちょっと話があるんだ」
「え、話? やだ。こんなところで? 私まだ心の準備が」
「いや、壁の外まで移動して話をしたいんだけど」
「それならいいわ。移動中で心の準備もできるだろうし」
やはり、パトラもショックなのだろう。顔を赤くして動揺している。
自爆による大爆発。
全員が全員使えるものでもないだろうが、今回のようにわけのわからない連中が集団でやってきたらその限りではない。
もっとも、本当に自爆なのかはこの目で見たわけではないためわからないが、警戒しておく価値はあろう。
俺は壁の外、老人と戦った現場まで移動するとパトラに事情を説明した。
「な、なあんだ。そっちね。そうよね。カイセイが急に、ね。そんなわけないか」
「なんの話?」
「ううん。なんでもない。こっちの話だから」
まだ顔を赤くして動揺している様子のパトラ。
情報を整理するために独り言を言っているようだが、いまいちどういうことかわからない。
しかし、不思議だ。改めて見てみると、勇者たちの死体がない。確かに戦いが始まった時にはあったはずだ。
それに、息子の方の動向も不自然だ。なぜ一切援護しなかったんだ。
あれだけの力があれば、不意打ちは容易だろうに。
「それで、今回の相手は警戒すべきってことね」
「ああ。今はなぜか帰ってくれたから問題にならなかったが、次来た時、どんな手を使ってくるかわからない。ゆらゆら揺らめいて出たり消えたりしていたことしか俺にもわからなかった」
「そっか。ま、みんな怪我がなかったんだし、それがいいじゃん」
「だな」
「それに、ゆらゆら揺らめくようだったってことはわかったんでしょ?」
「そうだけど、なんかのヒントになるか? 顔だけ出したり、そっから体が生えたりって」
俺の言葉に少し考える様子のパトラ。もしかして能力に思い当たる節があるのか?
反応が消えるような相手だ。なんでも対策を知ることができるならありがたいが。
「似たようなのに霧の魔竜ってのがこの周辺に住んでるんだ。近くを通るたびに道に迷う子が出てくるから、討伐に向かわせようかと思ってたところなんだけど、カイセイお願いできる?」
それ完全に俺に押し付けようとしてんだろ。
まあいいけど。防衛できないような相手のヒントになるかもしれない。行ってみる価値はあるか。
「助っ人も頼んでおくから。頼りにしてるよ?」
「わっかりました!」
と言っても霧の魔竜か。名前の響きからして強そうだが、そんなのどうやって倒せばいいんだ?
ま、助っ人ってのがいるらしいし、その人から聞けばいいか。
「明日にも行くって言ってたから後で紹介するね」
「おう。え、明日? 早くない?」
「まあ、こっちとしては前々から準備してたことだからね。急だけどお願い」
上目遣いに甘えた声で頼み込まれ、俺は改めて承諾してしまった。
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