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第一章 勇者パーティ崩壊
第42話 欠員の勇者パーティ
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やけにボロボロになったランドリアさんがアジトに帰ってきた。
ガードンはいない。
あれ、二人で出かけていたんじゃなかったのか?
「ガードンがやられた」
「え!?」
ガードンがやられた?
僕たち勇者パーティの戦士であるガードンが?
「……やるじゃないかカイセイ。あのまま離れてくれなかったら、私の方までくたばるところだった。しかし、気づくことはできないようだ。スキルの相性というものだろうか?」
「ら、ランドリアさん?」
「すまない。一人で反省をしてしまった。私はガードンとみんなを見つけた場所へ行ってきた」
「どうして二人で? それに、今じゃなきゃいけなかったんですか?」
「まあ、落ち着いて聞いてくれ」
少し苦しそうな雰囲気で話すランドリアさん。
それはそうだろう。仲間を一人失ったんだ。悲しくないはずがない。
どうしてかわからないが、ガードンを失った今、パーティメンバーが足りない気がする。
ガードンとは別で誰かいたようなそんな気がする。
だが、まさか、喪失感まで味わうことになるなんて。
「脅威が去っていれば、武器や記憶のヒントを回収できるのではないかと思ってね。まずは二人で行ってみたんだ。あまり大勢で行くと、目立って危ないかもしれないからね」
「なるほど」
確かに、ランドリアさんの言う通りかもしれない。ぞろぞろ行っては、余計に目立つ。
相手が強敵であるとわかっているなら、気づかれない方が得策だろう。
それに、今回はまだ倒すことが目的じゃないなかったのだ。それがよかったのだろう。
全員で行っていれば助かったのはランドリアさんだけだったかもしれない。
「だから、スキルを使える私と、一番丈夫なガードンの二人で行くことにしたんだ」
「トーナメントはそのため」
「ああ。攻撃的な力よりも、防御面を重視したくてね。……ま、本当は使えないのを捨て駒にして、魔王城の様子見に行ったんだが、スキルの片鱗は見せても、あれは使い物にならないな」
「そういうことだったんですね」
確かに、万一攻撃をくらっても丈夫なら耐えられるかもしれない。
ということは、ガードンが耐えられなかったほどの相手。それじゃあ、やっぱり誰が行っても結果は同じだったということか。
むしろガードンだからランドリアさんが助かっとも言える。
「私も実力不足でね。ガードンを救うことはできなかった」
「そんなことないですよ。一人でも帰ってきてくれたことが大事だと思います。な?」
「そうですよ。あまり気にやまないでください」
「ガードンもランドリアさんが自分を責めることは望んでいないと思います」
「そう言ってもらえると安心できるよ」
ランドリアさん。僕たちを助けるほどいい人だ。特に気に病んでいるのだろう。
少し疲れているようにも見える。
「あの、今日はもう休んだら」
「いや、忘れる前に報告、そして作戦会議をしておきたいんだ」
「わかりました」
真面目だな。だけど、この気持ちを受け取っておこう。
次に行くのはきっと僕たちなんだから。
「それでどんな敵だったんですか?」
「ああ、今回は私も見ることができた。敵はどうやら重力を操るらしい」
「重力?」
「ああそうだ。つまりは、動きを遅くしたり、そもそも動けなくさせたりできみたいだ」
「そんなの無理じゃないですか」
「それだけならな」
なんだろう。何か対処法がわかっているのか?
「ガードンのおかげでヒントが得られたんだ。現れた直後はスキルが発動していない。つまり、攻撃ができたんだ」
「なら、一撃目で仕留めろってことですか?」
「そうなる。あとは、無理矢理動くかだな。まあ、無理矢理動くのは無理にして、おそらく鎧だと思うんだが、それによって攻撃は防がれてしまった」
「動けないうえに攻撃が効かないんですか?」
「いや、まだそうと決まったわけじゃない。今回で出し惜しみは良くないとわかった。だから、次は全員で行く」
やっぱり。そんな気がした。
「それに、みんなスキルも思い出してきている。全力をぶつければいけるさ」
「けど、僕はまだ何も……」
そう、僕だけは今のメンバーの中で唯一スキルという技を使えない。
どう足掻いても僕だけ足手まといだ。
しかし、ランドリアさんは僕のことを責めることなく、肩にポンと手を置いてきた。
「これは私の経験則だが、まだスキルとして仕上がっていない状態で実戦へ行くと、最後の一押しになって、案外スキルとして使えるものだ」
「そうですか?」
「私の言葉を信じられないかい?」
「いえ」
だが、それなら、僕のスキルはどんな形になるのだろう。
一体どの部分がスキルになるのだろう。
電撃も使えなければ、剣の振りも甘い。
意識がくらくらした時、ランドリアさんは何か言っていたような気がする。
何かが起きていたのか?
「決行はすぐにしたい。と言っても、私は休まないといけないからね。今日、今からとはいかない。それまでに準備を済ませておいてくれ」
「わかりました」
「ええ」
「はい」
僕たちは頷いた。
「ガードンの仇は絶対に取るぞ」
「「「はい!」」」
全員の気持ちを一つにしてから、休み出すランドリアさんを見送り、僕は自分の準備に入った。
少ししか思い出せないが、構えが少し違った気がする。
握り方か?
「なんだか、体から力が外に流れ出るような気がしたような」
全く思い出せない。
それでも僕は剣を振り続けた。
何か掴めるかもしれないと信じて。
ガードンはいない。
あれ、二人で出かけていたんじゃなかったのか?
「ガードンがやられた」
「え!?」
ガードンがやられた?
僕たち勇者パーティの戦士であるガードンが?
「……やるじゃないかカイセイ。あのまま離れてくれなかったら、私の方までくたばるところだった。しかし、気づくことはできないようだ。スキルの相性というものだろうか?」
「ら、ランドリアさん?」
「すまない。一人で反省をしてしまった。私はガードンとみんなを見つけた場所へ行ってきた」
「どうして二人で? それに、今じゃなきゃいけなかったんですか?」
「まあ、落ち着いて聞いてくれ」
少し苦しそうな雰囲気で話すランドリアさん。
それはそうだろう。仲間を一人失ったんだ。悲しくないはずがない。
どうしてかわからないが、ガードンを失った今、パーティメンバーが足りない気がする。
ガードンとは別で誰かいたようなそんな気がする。
だが、まさか、喪失感まで味わうことになるなんて。
「脅威が去っていれば、武器や記憶のヒントを回収できるのではないかと思ってね。まずは二人で行ってみたんだ。あまり大勢で行くと、目立って危ないかもしれないからね」
「なるほど」
確かに、ランドリアさんの言う通りかもしれない。ぞろぞろ行っては、余計に目立つ。
相手が強敵であるとわかっているなら、気づかれない方が得策だろう。
それに、今回はまだ倒すことが目的じゃないなかったのだ。それがよかったのだろう。
全員で行っていれば助かったのはランドリアさんだけだったかもしれない。
「だから、スキルを使える私と、一番丈夫なガードンの二人で行くことにしたんだ」
「トーナメントはそのため」
「ああ。攻撃的な力よりも、防御面を重視したくてね。……ま、本当は使えないのを捨て駒にして、魔王城の様子見に行ったんだが、スキルの片鱗は見せても、あれは使い物にならないな」
「そういうことだったんですね」
確かに、万一攻撃をくらっても丈夫なら耐えられるかもしれない。
ということは、ガードンが耐えられなかったほどの相手。それじゃあ、やっぱり誰が行っても結果は同じだったということか。
むしろガードンだからランドリアさんが助かっとも言える。
「私も実力不足でね。ガードンを救うことはできなかった」
「そんなことないですよ。一人でも帰ってきてくれたことが大事だと思います。な?」
「そうですよ。あまり気にやまないでください」
「ガードンもランドリアさんが自分を責めることは望んでいないと思います」
「そう言ってもらえると安心できるよ」
ランドリアさん。僕たちを助けるほどいい人だ。特に気に病んでいるのだろう。
少し疲れているようにも見える。
「あの、今日はもう休んだら」
「いや、忘れる前に報告、そして作戦会議をしておきたいんだ」
「わかりました」
真面目だな。だけど、この気持ちを受け取っておこう。
次に行くのはきっと僕たちなんだから。
「それでどんな敵だったんですか?」
「ああ、今回は私も見ることができた。敵はどうやら重力を操るらしい」
「重力?」
「ああそうだ。つまりは、動きを遅くしたり、そもそも動けなくさせたりできみたいだ」
「そんなの無理じゃないですか」
「それだけならな」
なんだろう。何か対処法がわかっているのか?
「ガードンのおかげでヒントが得られたんだ。現れた直後はスキルが発動していない。つまり、攻撃ができたんだ」
「なら、一撃目で仕留めろってことですか?」
「そうなる。あとは、無理矢理動くかだな。まあ、無理矢理動くのは無理にして、おそらく鎧だと思うんだが、それによって攻撃は防がれてしまった」
「動けないうえに攻撃が効かないんですか?」
「いや、まだそうと決まったわけじゃない。今回で出し惜しみは良くないとわかった。だから、次は全員で行く」
やっぱり。そんな気がした。
「それに、みんなスキルも思い出してきている。全力をぶつければいけるさ」
「けど、僕はまだ何も……」
そう、僕だけは今のメンバーの中で唯一スキルという技を使えない。
どう足掻いても僕だけ足手まといだ。
しかし、ランドリアさんは僕のことを責めることなく、肩にポンと手を置いてきた。
「これは私の経験則だが、まだスキルとして仕上がっていない状態で実戦へ行くと、最後の一押しになって、案外スキルとして使えるものだ」
「そうですか?」
「私の言葉を信じられないかい?」
「いえ」
だが、それなら、僕のスキルはどんな形になるのだろう。
一体どの部分がスキルになるのだろう。
電撃も使えなければ、剣の振りも甘い。
意識がくらくらした時、ランドリアさんは何か言っていたような気がする。
何かが起きていたのか?
「決行はすぐにしたい。と言っても、私は休まないといけないからね。今日、今からとはいかない。それまでに準備を済ませておいてくれ」
「わかりました」
「ええ」
「はい」
僕たちは頷いた。
「ガードンの仇は絶対に取るぞ」
「「「はい!」」」
全員の気持ちを一つにしてから、休み出すランドリアさんを見送り、僕は自分の準備に入った。
少ししか思い出せないが、構えが少し違った気がする。
握り方か?
「なんだか、体から力が外に流れ出るような気がしたような」
全く思い出せない。
それでも僕は剣を振り続けた。
何か掴めるかもしれないと信じて。
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