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第十二章 長期休暇

2話

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「マルク、一週間禁止」

その日の夕方、意識が戻ったグレンはマルクに言い放った。

「えええ」

マルクはとてつもなく不服そうだ。

「当たり前だろ!ね、寝込み襲うとか!」

「でもグレンも満更じゃなかったじゃないか」

「うっ」

マルクがそういうとグレンは言葉に詰まった。

「一週間は長すぎる」

「…5日」

「それじゃあ一週間と変わんないよ!」

二人でとてつもなく不毛なやり取りが始まった。

「1日!!」

「1日は意味ないだろ」

「じゃあ3日だね」

「わかった…3日な」

三日間の禁欲を言い渡されたものの、マルクは何故か機嫌が良い。

「なぁマルク…なんで3日禁欲なのに機嫌悪くなってないんだよ」

グレンがその様子に気が付き、ベッドの上からマルクを鋭く見上げた。

「え、いやぁ、なんでもないよ」

マルクはヘラヘラと笑っている。

「…薬とか盛って俺に破らせるのはなしだからな」

「ドキッ」



「でもさぁ、3ヶ月も休みって何やればいいのかな」

ベッドの横に置いた椅子に腰をかけたマルクが首を傾げる。

「休暇なんだから休んでればいいんじゃねーか?」

グレンは眠くなってきたのか返答が適当だ。

「だからその休むが何かを聞いてるんだよ!」

マルクはベッドをパシパシと叩いた。

「わかったから叩くなって」

グレンは少し鬱陶しそうだ。

「ちゃんと考えてよね」

マルクは頬を膨らませてベッドを叩くのをやめた。

「じゃあ旅行に行くとか?」

「この前任務で出かけたばっかり」

「家にいても仕方ないだろ」

「僕としてはグレンと一緒にいれればなんでも。あわよくばこの屋敷に永遠に二人きりでも…」

最後の方はマルクの声が小さかったためグレンにははっきりと聞こえてはいなかった。

「明日、明日考えてやるから。今日はおやすみ~」

眠気に耐えられなくなったグレンは布団をグッと顔まで隠すようにあげた。

「あー、グレン逃げた!」

マルクが布団を下ろすが、グレンは既に夢の中だった。

「全くしょうがないな」

愛おしそうにグレンをしばらく見つめていたマルクも、グレンの横に寝転がった。

「グレンに免じて明日考えることにしよう」








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