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6話
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謙吾はそのあとは寄り道をすることなく、たい焼き屋へとむかった。
「いらっしゃい」
いつものおじさんが快く謙吾を迎えてくれる。
「粒あん、一つ持ち帰りで」
「あいよ」
手際よく焼きたてを渡してくれる。
「あっちぃ」
アツアツのたい焼きをその場で一つ頬張り、一つ母へのお土産として購入した。
…
再び自転車に乗った謙吾はスーパーに向かった。
母に頼まれたものをそそくさと購入して家路につく。
…
家に着き、母の車の横に自転車を止めた。
家の中に入ると母がキッチンから顔をのぞかせた。
「おかえり、今日はいつもより遅かったわね」
「ただいま、折角の良い天気だったから、ちょっと遠回りしたきた。はいこれ」
スーパーで買ったものを手渡す。
「ありがとう、助かったわ」
冷蔵庫に買ってきたものを片付け始めた母の背中に呼びかける。
「か、母さん」
「なぁに?」
母がエプロンを翻しながら振り向く。
「これ…」
謙吾はそっとたい焼きを差し出した。
「あら、私の分も買ってきてくれたの?ありがとう」
母はとてもうれしそうに顔をほころばせた。
…
一息ついた謙吾はリビングでテレビを見ている。
後ろでは母がたい焼きを頬張っている。
「そういえばお駄賃は何に使ったのかしら?」
「秘密―」
「えー…」
不満そうな母を尻目に謙吾はおばあさんとあの店のことを思い出していた。
「次はいつ行こう……。今度は『春』が食べたいなぁ」
謙吾の自転車のプチ旅も、季節も始まったばかりなのだった。
「いらっしゃい」
いつものおじさんが快く謙吾を迎えてくれる。
「粒あん、一つ持ち帰りで」
「あいよ」
手際よく焼きたてを渡してくれる。
「あっちぃ」
アツアツのたい焼きをその場で一つ頬張り、一つ母へのお土産として購入した。
…
再び自転車に乗った謙吾はスーパーに向かった。
母に頼まれたものをそそくさと購入して家路につく。
…
家に着き、母の車の横に自転車を止めた。
家の中に入ると母がキッチンから顔をのぞかせた。
「おかえり、今日はいつもより遅かったわね」
「ただいま、折角の良い天気だったから、ちょっと遠回りしたきた。はいこれ」
スーパーで買ったものを手渡す。
「ありがとう、助かったわ」
冷蔵庫に買ってきたものを片付け始めた母の背中に呼びかける。
「か、母さん」
「なぁに?」
母がエプロンを翻しながら振り向く。
「これ…」
謙吾はそっとたい焼きを差し出した。
「あら、私の分も買ってきてくれたの?ありがとう」
母はとてもうれしそうに顔をほころばせた。
…
一息ついた謙吾はリビングでテレビを見ている。
後ろでは母がたい焼きを頬張っている。
「そういえばお駄賃は何に使ったのかしら?」
「秘密―」
「えー…」
不満そうな母を尻目に謙吾はおばあさんとあの店のことを思い出していた。
「次はいつ行こう……。今度は『春』が食べたいなぁ」
謙吾の自転車のプチ旅も、季節も始まったばかりなのだった。
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