学校にいる人たちの卑猥な日常

浅上秀

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音痴な学生の放課後練習

前編

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FILE7  高松(音楽教師)×里見(学生)



音楽の授業は里見にとっては地獄の時間だった。
音痴かつ楽譜は読めない、楽器は吹けないと何もできない彼にとっては苦痛でしかなかった。
それゆえに実技の試験はおろか、筆記の試験でも全く点数が取れずに成績が伸び悩んでいる。

「里見、さすがに音楽の成績が悪くて留年はダサイぞ…」

「だよなぁああ」

休み時間、友人と昼食の焼きそばパンを食べていた里見はうなだれる。

「なんでお前、音楽の授業でなんにもできないんだろうな」

友人はうなだれた里見の頭をポンポンと叩きながらからかうように声をかけてくる。

「俺が知りてぇよ」

里見はその手を払って起き上がった。

「たかまっちゃんから呼び出されてんだろ?」

音楽教師の高松は生徒からとても慕われており、たかまっちゃんと呼ばれている。

「あぁ、まぁな。くそだりぃけど…」

里見は再びうなだれた。



「失礼しまーす」

音楽室の隣には楽器をしまってある部屋がある。
所狭しとおかれた楽器たちの奥には高松の仕事机と椅子、そしてなぜかソファが置かれている。

「そこ、座っていいよ」

「はーい」

どさりと床に荷物を置いて里見はソファに腰を下ろした。

「さてと、多分呼び出された理由はわかってると思うけど、里見おまえ本当に音楽の成績がまずいぞ」

「げ…だって苦手だからしかたないじゃないすか…」

里見は不満げに唇をとがらせる。
高松は苦笑しながらプリントを取り出した。

「まぁさすがに音楽で留年はかわいそうだから救済措置だ」

「救済措置?」

里見は高松から渡されたプリントをのぞき込んだ。

「そ、今週から毎週金曜に俺と音楽の補講授業」

「えー、補講はだるいって…」

「しょうがないだろ?次の音楽のテストでいい点取れるのか?」

「いや、それは100%無理な気がする」

「だろ?特別に補講に出るだけで留年逃れられるんだから黙って出ろ」

「はーい」

こうして里見は毎週金曜の放課後は高松と二人きりで過ごすことになったのだった。


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