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王の眼
黄金の卵生むバジリスク
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赦すは簡単。
私自身も、いつまでも怨んでいる程、暇でなく。
赦すは簡単。
されども、あの人はどうだろう?…どうあっても変わる事が無いだろう。
あの人は どうあっても私にとっての害毒で。
私の人生を、自分のものと思って違えない。_生かしておいては害毒で。只々只々、害毒で 。
姉妹たちは、母の血を喜ぶだろうか?
「…嫌がりそうだな」
もう、顔など見たくも無いだろう
人を呼ぶために鳴らした呼び鈴は高く澄んで響かせた。
「-------」
踵を鳴らして命を果たさんと出ていくのを見送って。
窓に寄って塔を見上げた。母の建てた塔。
…姉妹たち。
いつか貴女 達に殺されに行く私を、 待っていて
※
全ての塔は打ち壊し、代わり、大きな篝火を設けた。
国家の礎として。
"余りにも多くの塔が、人々を細かく分けて仕舞うから"と云う言い訳は、其れなりに確からしく響いた。
実際は、塔を建てる労力を他に向けたいというのが大きいだろう。
"王の試し"の権利も拡げた。占で選出された9人の娘へ。
そして王となった者を其の姉妹が助けるように。
「貴男の片割れ君のような、哀しみも少なくなるはず」
眼と眼合わせて掻き口説いた叔父が如何様にか説いて周り、両手を挙げて歓迎とはいかずとも其れなりの許容は見えた。
対岸の火事が此岸へ渡る。黄金の色を携えて。
火傷をしても欲しいもの?
※
其の国の今代の王は、黄金を生む。
国は年経るごとに富み栄え。王は燃えるように、星のように、輝く。
ああ、悍ましいほどに美しい 其の瞳よ
※
金の穂は見渡す限りを覆い尽くし、実りの季節は豊かに薫る。
薫りは鮮やか、錦に映える。紅に黄に緑色。色変える木々の葉は、一級織り子の織物に勝る。
空を見る。
高く抜ける。深く潜る。
くらくらくらくらくらと 私を酔わせる 其の青よ
貴女によりて 苦しみ遠のく幸いよ
神よ
我が上に君臨される方よ
貴女が在るなら
別に母など 居らずとも
fin.
私自身も、いつまでも怨んでいる程、暇でなく。
赦すは簡単。
されども、あの人はどうだろう?…どうあっても変わる事が無いだろう。
あの人は どうあっても私にとっての害毒で。
私の人生を、自分のものと思って違えない。_生かしておいては害毒で。只々只々、害毒で 。
姉妹たちは、母の血を喜ぶだろうか?
「…嫌がりそうだな」
もう、顔など見たくも無いだろう
人を呼ぶために鳴らした呼び鈴は高く澄んで響かせた。
「-------」
踵を鳴らして命を果たさんと出ていくのを見送って。
窓に寄って塔を見上げた。母の建てた塔。
…姉妹たち。
いつか貴女 達に殺されに行く私を、 待っていて
※
全ての塔は打ち壊し、代わり、大きな篝火を設けた。
国家の礎として。
"余りにも多くの塔が、人々を細かく分けて仕舞うから"と云う言い訳は、其れなりに確からしく響いた。
実際は、塔を建てる労力を他に向けたいというのが大きいだろう。
"王の試し"の権利も拡げた。占で選出された9人の娘へ。
そして王となった者を其の姉妹が助けるように。
「貴男の片割れ君のような、哀しみも少なくなるはず」
眼と眼合わせて掻き口説いた叔父が如何様にか説いて周り、両手を挙げて歓迎とはいかずとも其れなりの許容は見えた。
対岸の火事が此岸へ渡る。黄金の色を携えて。
火傷をしても欲しいもの?
※
其の国の今代の王は、黄金を生む。
国は年経るごとに富み栄え。王は燃えるように、星のように、輝く。
ああ、悍ましいほどに美しい 其の瞳よ
※
金の穂は見渡す限りを覆い尽くし、実りの季節は豊かに薫る。
薫りは鮮やか、錦に映える。紅に黄に緑色。色変える木々の葉は、一級織り子の織物に勝る。
空を見る。
高く抜ける。深く潜る。
くらくらくらくらくらと 私を酔わせる 其の青よ
貴女によりて 苦しみ遠のく幸いよ
神よ
我が上に君臨される方よ
貴女が在るなら
別に母など 居らずとも
fin.
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