婚約者はいるから…

夜空のかけら

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3 魔法

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2時間の昼休み明けで、午後の授業は魔法実技だ。
先生は、レントではなくてきちんと学園の教師だった。
セルカがいなければ。

学園の教師もセルカの教えを受けている教え子なのだから、授業がやりにくそうだった。
ちなみに、セルカは俺の2つ上で隣国の王立魔法学園を最大飛び級して6歳で卒業している。(6歳で入学、3日後に飛び級で卒業。王族貴族は卒業しないと要職に付けない決まり)

「セルカ先生。お手本を見せてくれませんか」
「嫌よ。私はあなたにお手本を見せるために来た訳じゃない」
「王子も期待しているのでは?」
「…期待してるぞ」

思わず先生の言葉に乗っかる俺。

「そ、そう。なら少し披露しようかしら」
「さすがです」

先生は、何かに感激しているかのよう。
俺?セルカ?まぁいいか。

パチパチバチバチバチゴロゴロゴロ

実習は当たり前だが屋外でやっている。
その屋外の空が怪しくなってきた。
これは、セルカが起している極大魔法の前兆だ。
ただし、何の極大魔法なのかは発動しないと分からない。

ぴかっ…どーん

一瞬周囲が光、地面を揺るがすような地震が起きて、辺りは粉じんで真っ白。
それが晴れていくと、そこには立体模型が。
で、どうしてそれが俺なんだ。

「俺の立体模型か?」
「あなたの格好良いところを知ってもらうために」
「…リアルだな」

材質は何だろうか。
金や銀ではないことは確かだが。

「魔法でミスリルを合成しました」
「ミスリルって魔法で作れたか?」

隣にいるアイリスに聞くと…

「普通は無理でしょうね。セルカならお茶の子さいさいでしょうけど」

こっちにブイサインをしながら

「まだまだ精進が必要ね」

と言う。
良かった。
攻撃魔法でなくて。
どんな規模の破壊魔法になるか見当がつかなかったし。

「セルカ先生。大変素晴らしいものを見せて貰えました。私ももっと精進します」

先生感動。
目をうるうるしている。
そこまで感動しているのもびっくりだが。

授業は終わりかな。
もう、何もする気が起きないぞ。

「今日の授業は終わりにします。今日の感動を胸に明日からも頑張っていきましょう」

やっぱり終わりだった。


「やっぱりすごいね。セルカは」
「えへへ、そんなことないよ」
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