【完結】真実の愛の元には、婚約破棄なんて意味を成さない

夜空のかけら

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序章

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「ア、アン、何をしているんだ」

まだ衝撃から立ち直っていないバカ王子が動揺を隠せずにこちらへ問いてくる。

取巻き?は相変わらずの添え物で、何もしてこないし立ちポスター状態。

「僕は、君が嫌いだ!」

「照れなくてもいい」

「はいはい終了。私たちから、バカ王子に言い渡します」

「何をだ」

「今日を持って、神聖王国の王族は解体。あなたは、平民に墜ちてもらいます」

「ふう、何を言うと思えば、出来るわけがないだろうが!」

「アン王子には、私の夫として王国に婿入りしてもらいます」

「?婿?」

バカ王子が混乱している間に、続けざまに申し渡していく。

「真実の愛と称して、毎年の様に婦女子を攫ってきては、やりたい放題は、バカ王子であっても許容できるものではありません。本来なら、極刑するべきところですが、平民として様子を見ることとします」

「アンは、女だろうが、何を言っている」

立ち直ったようだけれど、これを見てもそう思うのかしら。

「アン王子、解いても大丈夫ですよ」

「うん」

変身魔法を解くと、そこにはイケメンな男性が出現する。

身長は、私よりも少し高いくらいだけど、これはこれでいいかも。

「我が兄よ。男と女の見分けも付かないとは、嘆かわしい。やりたい放題なのは知っていたが、真実の愛か。我にも真実の愛を説いた時にはトリハダがたったぞ」

まぁ、実の兄から…だからね。

知らなかったことにしても。

でも、だから、そう

「我は、王国の次期王として、そして幼い頃から変わらぬ、真実の愛の誓いから、ローザと結婚して王国を豊かにすると誓おう」

婚約破棄。

それは、たった数瞬のこと。

でも、幼き時に好き合った同士が誓った”真実の愛”には叶わないものだ。

***

バカ王子は、宣言通りに平民墜ち。
その後、窃盗などを繰り返した罪で、とても遠い地へ送られた。

取巻きは、同罪。
犯罪を犯そうとしている者を止めなかったからだ。
ただ、平民になってからは、返ってのびのびとしているらしい。

----
著者より
あらっぽくってすみません。
この小説は、これで終わりです。

タイトルの“序章”というのは、
 次期王・王妃にとっては…という意味で、ここからお話が続く…という意味では、ありません。
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