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神官たちの陰口
しおりを挟むルナ視点
何よあの子っ!
腹が立つわ。折角仲良くしようと思ったのに……。
最悪の気分のまま、廊下を歩いていたら、神官たちが集まって何がコソコソ話す声が聞こえた。
「また、救世主が祈りの儀式をサボったんだろ?」
「あの救世主は気分屋で困るよ。いっそ、リズリーネ様に頭を下げて神殿に戻って来てもらえば良いのにな。リズリーネ様は文句なんて言ったことは無いだろ?」
「そんな事をすれば、また気に食わないって癇癪起こすよ。あの救世主はちやほやされたいんだからさ」
「とんだ救世主だな。アルフレード殿下も大変だ」
「ああ、あんな我儘な女を選んだ神様に文句を言いたいよ。リズリーネ様は優しくて綺麗だったのにな。俺、憧れてたんだぜ」
「俺もさ。リズリーネ様との婚約が解消されて、あんな女の面倒をみる立場になったアルフレード殿下こそ、泣きたいだろうよ」
「アルフレード殿下はリズリーネ様にぞっこんだったからな。王族とはいえ、気の毒だと思うよ」
「いつもお茶会の間中リズリーネ様の顔を眺めてただろ?学園の授業みたいな真面目な話しかしてないのに、殿下はいつも照れてて真っ赤でさ。俺も昔から殿下がカチコチになってる様子をずっと見てきたからさ……複雑な気分だよ」
「あーあ、リズリーネ様戻って来ないかな?」
お喋りしていた神官の一人が私に気づいて、気まずそうに声を上げた。
「リズリーネって誰……っ?」
「わっ!き、き、救世主様っ!!今の聞いて……?」
もう一人の神官も、ギョッとして私の方へと振り返った。
「リズリーネって誰?答えて」
「ぜ、前聖女様です」
……リズリーネは前聖女。
私の前に、結界を守っていた人ってことよね。
「あ、あの……救世主さま、今の聞いて……」
「何?何か不味いことでも話していたの?」
「い、いえ」
私は足早で自分の部屋へと戻った。
いつもニコニコしていた神官たちがそんな風に思っていたなんて……。ショックだった。
アルが照れて真っ赤になった顔なんて、私は見たことない。
「アルを呼んでっ!!」
私は付き人たちを追い出して自分の部屋に立て篭った。
この世界の人たちは皆嘘つきだ。
私が居なくても、前聖女が居れば結界は守られる。だから私は居なくても良いって、みんな思ってる?
私が死んだら、みんな清々する?
そんなの許さない。
「ルナ、入って良いか?」
「うん」
「アル、来てくれたの?」
「ああ。神官から聞いたよ。あの者たちには神殿から去ってもらった。申し訳なかった」
「あの神官たちが言ってたことは本当?リズリーネさえ居れば良いって内心思ってない?私は邪魔?」
「いや、そんな事は無いよ」
「本当?なら彼女をこの国から追放して」
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「いや、彼女は伯爵家の令嬢だ。理由も無く、そんな事出来ない」
どうして?
王子様なら、たかが伯爵令嬢を追放するなんて簡単なはずなのに……。
やっぱり、元婚約者が忘れられないんだ。
「どうして、私のお願いを聞いてくれないの」
やっぱりアルにとって私は一番じゃない。
死にたくなるほど、胸が苦しい。
だけどーー
今私が死んだらこの神殿の人たちも、アルも、みんなが喜ぶんだ。
私はこんなに辛くて悲しいのに。
厄介者が居なくなったって喜ぶなんて……そんなの……許さない。
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