説得マン

浅谷

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15話

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ガロラス「何?」
…よっしゃ!頼もしい仲間が増えるんや!いや…、喜ぶのは早いな…。
陸斗「だって、お前は魔人で空間移動が出来る。なら、人間1人魔人の星へ連れ去ることだって出来た筈だ。だけどわざわざ自分から地球へ出向いて来た。そして何も破壊活動をしなかった。狂暴化を克服したっていうのもあるが、何より優しさがある。」



ガロラス「何を寝ぼけたことを…!俺は貴様らを恨んでいる!仲間たちを…。家族を!俺から離れさせた貴様らを!!」
ガロラスはそう叫びながら戦闘態勢に入りよった。
陸斗「そうは言うけどさ…、お前も「もの」を手に入れたんだろ?教えてくれよ。」
ガロラスは戦闘態勢を解除し、話し出した。


ガロラス「…確かに俺は、あの時貴様ら4人と対峙した時に、
「もの」を手に入れた。…それは実感だ。俺はただ知りたかった。仲間や家族を俺から離れさせた者達の事を…。だから物陰から気配を隠して貴様らの話を聞き、帰り際の貴様らの前に姿を見せた。そして実感したんだ。成世の言葉を聞いて、貴様らは悪ではないと。貴様らが去った後、「狂暴化」から脱却することが出来た。…感謝する…。」



ガロラスが打ち明けてくれた。めっちゃええやつやん…。
ガロラス「あの時、貴様らを追う事も出来たが、「狂暴化」から脱却させてくれた恩がある。だから追わなかった。」
ありがたや…。やけど1つだけ言わせてくれや!
成世「いや…、スタジオに乱入した時点でプラマイゼロやん!」



俺の言葉を聞いた4人は大笑いしよった。
陸斗「ハハハッ!そりゃそうだ!」
アリンナ「ふふふっ!もう何!?成世くん!」
レツラ「アッハハ!もう止めてよ~!」
ガロラス「ガッハハ!そうだな!悪かった!」



笑い合った後、再び本題に戻った。
陸斗「で、条件を呑んでくれるのか?」
ガロラス「ああ!地球の文明にも興味が湧いてきたところだ!よろしく頼むぞ!」
ガロラスはそう言うと、俺ら4人に、1人ずつ握手をしてきた。
他の3人は普通に握手して終わったな…。俺んとこに来たな…。来いや!


俺は手を差し出したが、ガロラスは無視して通り過ぎよった。
成世「なーんでやねん!悲しい悲しい!戻って来てや!」
俺がそうツッコミをいれると、ガロラスは、笑顔で俺んとこに戻って来て、握手をした。



ガロラス「ガッハハ!お前をからかうのは面白いなぁ!」
ガロラスは大笑いしながら言うた。貴様からお前になったな。
成世「へーへー!ありがとうございやす!」
ガロラスは俺から手を離し、真剣な顔をして言うた。
ガロラス「…また1対1で、勝負しよう…。」
俺は一瞬戸惑ってもたけど、こう返したった。もちろん、真剣な顔で。


成世「…ああ!」
それを聞いたガロラスは満足したのか、また笑顔になった。
ガロラス「よし!じゃあここから出ようじゃないか皆!」
アリンナが待ったをかけた。
アリンナ「ちょっと待って!これ!」
アリンナがガロラスに人に擬態出来る指輪を渡した。



ガロラス「これは?」
アリンナ「それは人間に擬態する為の指輪です。親指にはめて、中央のボタンを押してください。」
ガロラスは言われた通りに指輪を親指にはめ、中央のボタンを押した。するとガロラスは光りに包まれた。
光が消えると、そこには男が立っとった。2m超えの身長から180cm程に縮み、紫の長髪の天然パーマの大きな垂れ目の美形や…!服は紫のスーツを着とう。もう全身が紫や…。レツラもやけど…、なんで擬態直後は派手やねん…。




ガロラス「なぁ…。この服装…。派手じゃないか…?」
ほらガロラスも同じ事言う…。
アリンナ「それはおまけです~!後で着替えれば良いんですから!その服だってクローゼットにしまえるし!」
アリンナが不貞腐れながら言うた…。


ガロラス「なぁレツラ。その名前からして、お前も魔人だろう?最初に擬態した時、お前もこうだったのか?」
レツラは前髪をを弄りながら恥ずかしそうに言うた。
レツラ「あはは…。うん…。」



微妙な雰囲気に終止符を打ったのは陸斗やった。
陸斗「あーもう良いだろ!早く出ようぜ!」
アリンナ「え、ええ。ごめんなさい。」
アリンナは自分が取った態度に申し訳なさがあった様で、気持ちを切り替えると同時にガロラスに頭を下げた。


ガロラス「あ、ああ。大丈夫だ。出よう。」
ガロラスはアリンナの行動に少し動揺しながらも、陸斗の要求に応じた。
レツラ「うん!」
レツラは元気よく応じた。
陸斗「そうやな。出よか。」
俺ら5人は横一列に並んだ。そして両腕を上げた。


ガロラス「勢いでやってはみたが、俺が加わっても大丈夫か?」
ガロラスが戸惑いながら聞いた。
アリンナ「大丈夫です。私達に合わせて、いつも通りやれば良いんですよ。…まあ開き方は少々異なりますが…。」 
ガロラス「…まあ、やれるだけやろう…。」
5人「はあっ!」
空間を5人同時に、まるで張り紙を剝がす様に開いた。




時間が停止したスタジオが見えた。
ガロラス「俺達が出た後、この星はどうなるのだ?」
アリンナ「消滅します。出入り出来るのは1回限りです。」
アリンナが答えた。
ガロラス「そうか…。儚いものだな…。」
ガロラスはしんみりとしとった。


陸斗「まあ、その話は一旦置いといて。お前はどうするガロラス?俺達はスタジオに残るが。」
ガロラス「とりあえず、お前達が所属する「結晶隊」本部に向かうとしよう…。なあに、組織の位置は把握済みだ。それに不審な男が紛れ込んでいたら、それこそ先程の二の舞だ。」


レツラ「うん!それが良いよ!本部に君の事を報告しておくね!」
ガロラス「ありがたい。」
各々の行先が決まったところで俺が言うた。
成世「じゃあせーので出ましょうや!出た後は、入り口が閉じて光る前に、各々の場所へGOや!」
陸斗「ああ!」
アリンナ「ええ!」
レツラ「うん!」
ガロラス「うむ!」


5人「せーのっ!」
俺らは息を合わせて停止した地球へ戻った。入り口が閉じて光るスピードはめっちゃ速くてもう一瞬て感じやったけど、俺らは即座に空間移動を駆使して難を逃れた。時間が動き出す頃には、皆目的地に着いとった。俺はスタジオの登場カーテンの裏側、陸斗、アリンナ、レツラは観客席、ガロラスは「結晶隊」の本部へ行ったな。



おっと、もう俺の出番やな!
洋貴「春崎成世さんですどうぞ!」
カーテンが開かれたと同時に、悲鳴と歓声と拍手があがった。…よく分からん…。
でも、今日はええ日やな…。

【続く】























    
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