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はじまりはじまり。小さな冒険?
80、検査結果。
しおりを挟むでもあれって、属性関係ないから……。
そう思ってる側から、レオンハルト王子がさらに吹き出す声が聞こえてくる。
うん、我慢は拷問だね。素直に笑っちゃった方がいいと思うよ。
「あんな……アレと一緒にしないでっ!っ痛!」
ぱちん、という音とともに、ユージアが額を押さえて踞ろうとするのが見えたので、咄嗟に抱き込んだ。
流石に親としての教育的指導と言うにしてもやりすぎでしょう。
「いじめちゃダメ!」
冗談で話した砂糖などの固形が飛んできた感じではなかったから、たぶん風の魔法だとは思う。
直線で作用するものだろうから、抱き込んで頭を隠してしまえば狙えないはず。
ハンスイェルクに向かって声を上げると「もうしない」の意思表示か、両の手を小さく上げたのが見えた。
「……セシリアありがとう。でも…絵面的にこれはよろしくないと思うの」
「そうなの?でも、痛かったでしょう?」
「痛かったけど、そうね~その姿だとダメかなぁ」
絵面……絵面的にって、あぁ!
だって、ユージアの身体はともかく、実年齢は私やエルネスト達と変わらないって言ってたし、全く気にしてなかったんだけど。
見た目だけでいうなら、今の私もユージアも、こっちの成人と変わらない背格好だった。
「……難しいね」
ルークを軽く睨みつつ、そっとユージアを解放する。
顔を上げたユージアの額には、さっきの角砂糖より大きめのミミズ腫れができていた。
涙目だし、顔赤いし、相当痛かったんじゃないかな……。
今度やったら許さん!
「え、これだけなの?」
「文字が…読めないな」
シュトレイユ王子とレオンハルト王子の声がしたので、石版が見える距離まで近づくと……。
2人が納得いかない顔で、石板と睨めっこをしていた。
あぁ、読めないね。
そりゃそうだ。私が懐かしく感じたってことは1000年以上前のアーティファクトと呼ばれる類のマジックアイテムになるから……高性能かつ高品質。
……そして文字が古代語。
(使われていない言葉だもんなぁ。流石に王子でも読めないか……)
王族の子は、いずれは外交関係があるから、ある程度の外国語は幼いうちにマスターしてしまうらしいから読めるかな?と思ってたんだけど。
そもそもその科目からも外れちゃってるんだね。
この古代語は、魔法が栄えていた王国が使っていた文字で、当時は共通語の様に使われていたのだけれど、その国が滅んでしまうと途端に使われなくなってしまった。
……魔法の最先端を行っていた国だっただけはあって、今も昔からの魔法の術式には使われているので、記号や術式として勉強する人はいるけれど、本来の読み方を、書き方を知ってる人は少ないんじゃないかな。
「……シュトレイユ王子は、風と光の属性をお持ちの様だ。訓練すれば、土も使えそうです。魔力値は……10段階中の5です。学園の生徒の平均値が2ですから、かなり優秀です」
何も言わずに黙々と石板の数値を、書き取っていたルークが、作業を終えたのか先ほどよりは棒読み口調で、一気に説明をしていった。
……ていうか、一瞬、あからさまに面倒臭そうな顔をしたよね!?
「やった!光と風だって!僕もおけが、なおせるようになるのかな?」
「レイは凄いな。僕は……何だろう」
そう言いつつ、石板に触れると先ほどとは違う文字がずらりと浮かび上がった。
みんなの視線がルークに集中するのだけれど、書き終わるまでは結果を教える気はないらしく、黙々とペンを動かし続けていた。
ちなみに、レオンハルト王子は風と火だった。私の父様と同じだ。
レイのように希少属性ではなかったけど、潜在的な数値がすごく高くて…訓練次第では確実に化ける。
もともと風と火は、攻撃特化のような組み合わせだし、派手さという意味ではトップクラスなんじゃないかな?
(さすが王族というべきなんだろうなぁ。ま、他人事でもないけどさ、従兄弟だし)
ちなみに王族の血筋の者はもれなく風の適性が高い。
これはメアリローサ国を守護する龍の加護があるからなんだけどね。
守護龍が風龍なので、その加護によって風の属性との相性が良くなっている。
なので私も確実に風は適性が高く出るはず。
ちなみに私の父様は王家の血筋ではないので、純粋に属性の複数持ちです。
これも珍しいんだって。
「エルは何だろうね?獣人の魔力持ち自体が珍しいからなぁ~」
「……水が良いな。火もカッコいいけど、水が良い」
そう言いながら、石板に触れる。
風とか土だと、何やらワイルドなイメージが強く、私としてはカッコ良さそうだったのだけど、エルネスト本人の願いが通じていたのか、水の属性持ちだった。
しかも10段階中の9という高評価で。
属性の高評価は珍しくて、高くても6程度が良いところ。
それ以上であれば、いずれ派生や上位の魔法が使えてしまうかもしれない。
魔力値も4と、一般より高めだった。
(みんな優秀だなぁ。ユージアもエルフって事はそこそこの値を出すんだろうし、私はどうなるんだろうなぁ)
ユージアも恐る恐る石板に触れて、文字が浮かび上がる様子にわくわくしているのか、文字がはっきりと浮かび上がった後は、じっとルークを見つめ、作業が終わり説明してもらえるのを待っていた。
「……劣化版だな。全属性の評価が6だ。魔力値も6。エルフにしては及第点だな」
「は…?」
「私は全属性8だ」
いやいやいや……。
エルフでも、全属性持ってる時点で十分優秀だからね?
やたらと自分の息子にだけ、あたりが厳しいよね。
少し遠い目になりつつ、エルフの親子のやりとりを眺めていたら……周囲の視線が集まりだす。
……私の番だった。
そういえば、まともに測定した事なかったんだよね。
あの石板自体、石版として使ったのって、学園入学の時の試験以来だから……あははは。
軽く1000年と数十年以上昔のことですね。
(さて、何が出るかなぁ?)
石板に軽く触れると文字が浮かび上がり始め、文字をよく見ようと手を引くと、石版が小刻みに震え始め、瞬間強く赤く光ると、カシャリと石板は形状を変え私の左腕に、ブレスレットのように嵌まり込む。
すると、私の足元を中心に赤く、魔法陣が展開され、周囲の景色がぐにゃりと歪み始める。
『ID確認。生存を認識。緊急時につき転送を開始する』
「えっ……なに?」
機械的な女性の声が響き渡り、咄嗟に足元に広がった魔法陣から私を庇うようにユージアに抱き寄せられる。
そのユージアごと、引き寄せようとしたルークが、見えた気がした。
──直後、視界は暗転した。
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