私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

文字の大きさ
83 / 455
はじまりはじまり。小さな冒険?

83、可愛い。

しおりを挟む



「結局、セシリアに抱っこされちゃった……僕は抱っこする方が好きなのになぁ」

「……私はどっちも好きよ?ユージア可愛いし、たまには良いんじゃない?」


ふと顔をあげるユージアと目があって、思わず笑みが溢れる。
撫でる手を後頭部でとめて、顔を引き寄せるとおでこに頰を当ててみる。
幼児のおでこって、柔らかいんです。気持ち良いんだよ~。


「ん~大好き!」

「ちょっ…と!セシリアっ!……苦しいから、やめて…」


思わず強く抱きすぎてしまったようで、力を緩めてユージアを覗き込むと、相変わらず顔を赤く上気させ、涙目のまま上目遣いにこちらを見上げていた。
可愛すぎるっ!


「ごめん。あと、もう一つ…ごめん」

「ん?」


抱き上げる手を緩めた時に、ユージアが少しずり落ちてしまったので、抱き直したら、シャツが少しずり上がってしまっていて……。
よくあるよね?抱っこしてると、子供の服がどんどんずり上がっていくってやつ。

抱き上げる際に体重を支えている腕が……なにか、ダイレクトに柔らかいんです……。

備品室に到着し、ドアを……と思ったら、さっとルークが前に進み開けてくれた。
お礼を伝えるよりも何よりも先に、こちらに振り向いたルークが笑いを堪えるようにポツリと呟く。


「……尻、見えてるぞ?」

「あ、やっぱり?……そんな気がしてたんだ、ユージアごめん」


ずり上がってしまっているドレスシャツの裾を下げようと、背をさするように裾を探す……といきなり肌の感触。
あらやだ柔らかい。……じゃなくて、手を少し上へ戻し、シャツを掴みなおして下へ引っ張る。


「いやああああああああっ!降ろしてえええ!」

「……可愛いから大丈夫、あははっ」


お尻を隠すために何度か、むしろお尻を触ってしまったような気もするけど……気にしない。
可愛いから良いのだよ。



「やっぱ好きだ~」

「そういう問題じゃないからねっ!?」


これ以上無いってほどに、顔を首まで真っ赤にさせて、涙目で抗議をしてくるユージアをきゅっと抱きなおして、備品の棚を見て回る。

様々な種族用の特殊な縫製の衣類やサイズがあって、簡単に見つけ出せそうにない。
背後から、すでに『笑いを堪える』という行動を放棄し、爆笑しながらついてくるルークにも手伝ってもらうことにした。


「ルーク、悪いんだけど制服の100センチか110センチのサイズの棚を探して?初等部の最小サイズがそれくらいだったと思う」

「わかった」


……本当はそれ以下のサイズもあるんだけど、そっちは職員の子の為の保育園の制服になってしまうので…あれは可愛さ重視なんだよね。
初等部の制服であれば、それなりの機能性があって動きやすい構造になってる。
機能性ってのは魔法付与されてたりするんだよ。

今世で魔法付与のされた衣類なんて、物凄い高級品になるみたいだけどね。
これから通る場所は、しっかり準備を整えていかないと危険な場所だから。
使えそうなものはしっかり利用させてもらおう。

制服のコーナーへと向かうルークを見送りながら、改めて胸の中のユージアを見つめる。


(抱いた感触がエルネストよりもひと回り小さくて柔らかい)


年齢的には、セシリアわたしと同じ3歳か、エルネスト達と同じ4歳…にしても小柄な子なんだろうなぁ。
まぁ、エルフって華奢な体格してるから、そういうのも関係してるのかな?
可愛くてしょうがない。


さて……この学園は基本的には全寮制だったから、下着なんかもブランドやら縫製に拘らなければ、各種サイズがあったりする。

私が探してるのは、男の子の下着の棚。
パンツもだけどシャツと靴下も欲しいよね。
今着る分をユージアに渡して、替えを1セット余分に貰っておく。

抱っこから解放すると、凄い勢いで棚の影に隠れて下着をつけてきたようだった。
上には、さっきと同じぶかぶかのドレスシャツを着てるから、確認はできないけど。

憮然とした顔で戻ってきた…その姿を見つけたので、速攻捕獲して抱き上げる。
少し抵抗されたけどね。
……普段が信じられないくらい俊敏なユージアが、抵抗してるのに簡単に私に捕獲されてる時点で、かなり消耗してるっぽいから休ませないとだ。


「ユージア、魔力切れ起こしてるなら、今のうちに寝てて良いんだよ?これから大変だから」

「じゃあ、おろして~」

「それは私がイヤ!可愛いユージアをたっぷりと堪能させてください♡」

「……っ!…セシリアまで変態っぽくなってる…もう、本当にやめて?!」


終始、ユージアが涙目な気がするけど、気にしない。
というか、どんな表情でも、その鈴の鳴るような高い声で言われると、何もかもが可愛いすぎて無理なのですよ。

ユージアを抱いたまま、背をぽんぽんと軽く叩きつつ、他の衣類を眺めつつ歩き……試着室のコーナーの前にあったソファーに座る頃には、すっかり睡魔に負けてすやすやと寝息を立て始めていた。


(見た目的に身体が縮むだけじゃなくて、体力や特性も幼児と同じになってるっぽいなぁ)


完全に寝られてしまうと、脱力して抱えるのに少し重く感じるのだけどまぁ、無防備な寝顔がこれまた可愛くて……。
頭を、幼児特有のぽよぽよのふわふわのおでこから鼻筋から、頬も、思う存分撫で回して、まつげ長いなぁ、とか間近で観察したり。
触られてるのがむずかったのか、顔を胸にすりすりされる仕草や、払うように動かされたふにふにの小さな手に頬擦りしたり、思わずおでこにキスを落としたり。

……文字通り堪能してしまった。
ちゃんと本人には宣言しておいたし、いいよね?


「シシリー……ユージアの精神面は母親からの魔法の効果の通り、幼児ほどに幼いが、実際は…実年齢としては、もう成人してるんだよ?」

「……えっ!?」


いつの間にやら戻ってきたルークが隣に腰掛けてくる。
一揃い見つけてくれたようで、小さなテーブルに積まれていた。

ルークの黒く長い後毛が肩にかかる。
……妙に密着するような位置なんですけど、少し近すぎませんか?


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました

朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。 魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。 でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。

聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました

AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」 公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。 死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった! 人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……? 「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」 こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。 一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

処理中です...