私は「あなたのために」生まれてきたわけではありませんのよ?~転生魔法師の異世界見聞録~公爵令嬢は龍と謳う。

まゆみ。

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はじまりはじまり。小さな冒険?

234、可愛い子たち?の紹介。

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「あの可愛い子たちっ!」とフィリー姉様が襲い掛からんばかりだった対象は、ルナとフレアだけじゃなくて…ユージアも混ざっているようだった。
ユージアに至っては、さっきガッツリ襲ってたじゃないですか……と思ったけど、10代の姿とはお初だったのね。

ま、行動を起こす前にヴィンセント兄様に、立ち上がれないように颯爽と肩を押さえられていたけど、その膝の上には遠い目をしたカイルザークがしっかりと抱えられていた。
……ちなみにエルネストはそんな2人に挟まれて、怯えた目をして固まっていた。


「あ、あの2人はセシリアの契約精霊でっ…」

「ハンス先生のじゃなくて、セシリアなの?!2人ともっ?」


恐る恐るレオンハルト王子が答えると、思いっきり前のめりになりつつ、私とルークを交互に見ているのがわかった。

いや、でも、可愛い子達ってさ……えっと、ルナとフレアは小学校高学年くらいの姿をとっているから、まぁ成人しているとはいえ、前世にほんでの女子高生相当の年齢のフィリー姉様から見れば『可愛い』の部類に入っちゃうのかもしれないけどさ。
一応、ユージアは中学生くらいの体格してるからなぁ。
発展途上とはいえ、身長もそこそこあるし『可愛い』はそろそろ脱出するんじゃないかな?と思うんだけど。

3人ともかなり整った容姿ではあるから、可愛く……見えるわ。
うん、やっぱり『可愛い』の表現でも良いかも。


「……じゃああの子は?」


あの子。と、フィリー姉様がユージアを指差す。
おや?とヴィンセント兄様がセグシュ兄様へと振り向いて「説明したよ?」と呟くのを見て、再びフィリー姉様へと視線を戻すと…深いため息を吐いた。


「あの子…?あの子はフィリーがさっき襲ってたユージア君だろう?」

「……へっ?」

「じゃあ、改めて紹介するよ?先ほども説明はしたけど、彼がハンス先生のご子息のユージア君。ちなみに彼ははセシリアの専属執事(候補)だよ」

「は…っ?!3歳児ようじに執事とか…しかも専属とか、早すぎるでしょう?父様も母様も甘やかしすぎっ!……まさかセグシュにも専属とかつけてるわけ?」

「あ~ないない。セシリアだけだよ」

「末っ子だからって甘やかしすぎっ!……しかもハンス先生の息子さんとか。いくら公爵家だからって、辺境伯の子息を使用人として雇っちゃダメでしょう…」


ヴィンセント兄様の説明に、最初は鳩が豆鉄砲をくらったようなぽかん顔だったフィリー姉様が、徐々に怒った色を帯びていくのがわかる。

甘やかし…甘やかされてたのかな?

あ、そうそう、フィリー姉様の言う『辺境伯の子息を使用人にしてはダメ』これは本当。
王侯貴族とか言う言葉、あるよね?尊い血筋の人達~って意味だけど。

そういう意味で一応、『王様』の次に尊いのは『公爵』そして『侯爵』その次が『伯爵』って続いていくんだ。
ルークの『辺境伯』ってのは一応伯爵の一種らしいんだけどね、『辺境の警備を担う』っていう国の要でもある人達だから、国にもよるけど実質公爵や侯爵相当の扱いとなっている場合が多いみたいなんだ。
ここ、メアリローサも、その例にたがわずってところなんだと思う。


(そう考えると同格の家の子供をこき使おうとしているというなんとも言えない状況になってしまうのですよ!)


一般的に公爵家や侯爵家で花嫁修行も兼ねて、子女を使用人としてお預かりする場合がそもそも、子爵家や男爵家の子たちがメインで、むしろ伯爵なら雇い入れる立場なんだって!

この前情報からだけだと、セシリアわたしってとっても非常識な子になっちゃうのですよ。


「……今は奴隷だけどね☆」

「それもっとダメ…って、ええぇぇぇっ!?どう言う事なのっ?」


ユージアが奴隷紋のある位置を指差すようにして、嬉しそうに笑うと、フィリー姉様から怒りを通り越して悲鳴のような声が飛んできた。
それと同時に、今まで黙っていたルークがポツリと呟く。


「余計な事を……」

「えっ…?」


ルークの呟きにきょとん顔のユージアと…フィリー姉様のドアップ顔。
というか、すごい勢いでガシッと肩を掴まれて、身体がびくりとなる。


「セシリア!今すぐ奴隷契約を破棄しなさいっ!『知りませんでした』じゃ済まないからっ!絶対やっちゃダメな事だから!」


「えっと…」


フィリー姉様の剣幕に、おにぎりを持ったまま固まってしまう身体。
やっちゃダメなのはわかってる。というか私は解除したい。
でもユージアが!……でも…どうやって説明したら良いかもわからずに、あまりの剣幕に思わず身体がすくみ、涙で視界が歪み始める。


「はーい、フィリー!ストップ!セシリアは悪くないから!泣かさないでやって」

「でもっ!すごく失礼な事なのよ!?」

「おー……フィリー姉さんが珍しくまともな事言ってる…ような気がする。けど今はダメ。…セシリア、おにぎり、ちょっとここに置こうね」


セグシュ兄様は、肩からフィリー姉様の手を外すとびっくりして固まってしまった手から、そっとおにぎりを外して、座り抱っこのようにして私を抱える。
怖かった、らしい。また涙があふれてきてポロリとこぼれると、止まらなくなってしまった。

そのまま頭を胸に押し付けられるように支えられて、背を撫でられてほっとしたのか、余計に涙が止まらなくなってしまった。
うーん、大丈夫って言いたいのに、大丈夫じゃないかも。
震えが止まらない。


「姉さん……いきなり怒鳴っちゃ、幼児には相当怖いよ?これじゃあ、言葉や意味じゃなくて、怒鳴る恐ろしさしか伝わらないから、虐めでしかないし、ただ可哀想なだけだよ?」

「僕が、破棄を嫌がったからそのままなんだ。だから、セシリアは失礼なんかじゃ、ないよ」

「でもっ!!ダメでしょう」


ちゃんと自分で説明したいのに、頭ではわかっているのに、また恐ろしさで身体が震えて、涙も止まらなくて……何もできない。悔しい。
幼児のセシリアわたしには、本当に怖かったんだろう。
こうなると完全に感情のコントロールがきかないからなぁ……ごめんなさい。



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